PRESSRELEASE プレスリリース
■バイオベース粘・接着剤の国内市場 354トン(2.5倍)
2026年以降にスマートフォン分野で粘着剤の採用が広がり大幅に拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、Scope3におけるCO2排出量低減に繋がり、カーボンニュートラルへの寄与が期待される、生物由来の樹脂や原料などを使用した粘着剤・接着剤(バイオベース粘・接着剤)の市場を調査した。その結果を「バイオベース粘・接着剤の将来展望」にまとめた。
この調査では、バイオベース粘・接着剤市場の最新動向を把握し、主な用途や今後の注目用途、普及に向けた課題などを分析した。また、企業事例として参入5社を取り上げ、開発動向や製品についてまとめた。
◆調査結果の概要
●バイオベース粘・接着剤の国内市場
バインダーにバイオマス樹脂または生分解性樹脂を使用した粘・接着剤のうち、主成分であるモノマーに一定量のバイオマス原料を使用したものを対象とする。原料となる植物が成長する過程でCO2を吸収するため、廃棄時にCO2を排出したとしてもトータルの排出量は増加しないという考えから、カーボンニュートラルを実現する方法の一つとして注目されている。
2022年時点ではサンプルワークや、電機・電子分野の一部で採用がみられる。採用は各業界のバイオマスへの関心度にも左右されるため、カーボンニュートラルの目標を掲げるスマートフォン業界などから採用が始まり、その後は自動車業界や軟包装材業界などに採用が広がっていくとみられる。
バイオベース粘着剤は原料のバイオマス度が50%以上の製品を対象とする。2021年ごろからサンプルワークが増加し、2022年時点では電機・電子分野で粘着シートの粘着層に一部採用がみられる。
2026年以降にスマートフォンでの採用が広がることで市場が本格化し、2030年以降には自動車やラベル・軟包装で採用され拡大していくと予想される。
大手企業が採用することで追随する企業が増えると考えられ、バイオマス化に積極的に取り組むスマートフォン業界や、自社でカーボンニュートラルの目標を設定している各業界の大手企業で採用検討が進むと期待される。
バイオベース接着剤は原料のバイオマス度が30%以上の製品を対象とする。ポリアミド系接着剤など、元々原料が天然由来のものは対象外である。
現状、電機・電子分野で採用がみられるが、原料の選択肢が少ないことやバイオマス度を上げにくいことから開発企業が少なく、市場が本格化するのは2030年以降と予想される。機能面では近年石油由来と競合できる製品が登場してきており、今後サンプルワークが進んでいくとみられる。
接着剤においては、バイオベース化は製品特徴の一つと捉えられている。今後はバイオ原料の使用だけではなく異種接合や硬化時間の短縮など、機能性を高めることが求められる。
今後の拡大に向けては高機能化に加え、価格面も課題の一つとなっている。現状の価格は石油由来製品と比較して粘着剤は2~5倍、接着剤は1.5~2倍程度となっており、特に国内市場は低価格化の要求が厳しいことから採用に至らないケースも多い。また、バイオベース粘・接着剤を採用する目的をどこに置くのか(CO2排出抑制、枯渇資源の使用量削減など)を明確にしていくこともバイオ化を進める上では重要である。
◆調査対象
バイオベース粘着剤 |
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・アクリル系粘着剤 |
・ウレタン系粘着剤 |
・ポリエステル系粘着剤 |
バイオベース接着剤 |
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・アクリル系接着剤 |
・エポキシ系接着剤 |
・オレフィン系接着剤 |
・ウレタン系接着剤 |
・ポリエステル系接着剤 |
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