PRESSRELEASE プレスリリース

第23110号

半導体材料の世界市場を調査
― 2027年予測(2022年比) ―
■半導体材料の世界市場 586億ドル(114.2%)
2024年には半導体デバイスの在庫の積み上げが解消されるとみられるほか、次世代通信やAIの進展とともに半導体デバイスの需要が高まる
●フォトマスクの世界市場 69億ドル(113.1%)
半導体デバイス製造の先端ラインで微細化目的の設備投資が進むことから、EUV向けが大きく伸びる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、2023年は半導体の在庫調整の影響で市場が縮小しているものの、中長期的には次世代通信やAI、クラウドサービスの進展に伴う半導体需要の増加とともに拡大が予想される半導体材料の世界市場を調査した。その結果を「2023年 半導体材料市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、前工程25品目、後工程11品目を対象に、半導体材料の世界市場の現状を明らかにし、将来を展望した。また、半導体デバイス3品目についても調査を行った。

◆調査結果の概要

●半導体材料の世界市場

 

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

前工程

334億ドル

88.1%

431億ドル

113.7%

後工程

131億ドル

97.8%

155億ドル

115.7%

合 計

465億ドル

90.6%

586億ドル

114.2%

2021年末からメモリーを中心とした半導体デバイスの需要が減少し始め、2022年の前半から在庫調整に入った。半導体材料も半導体デバイスの在庫調整の影響を受け、2022年後半から多くの品目で需要が減少し、2023年の市場は縮小が予想される。

2024年には半導体材料の在庫調整が解消されるとみられ、以降は次世代通信やAI、クラウドサービスの進展とともに半導体デバイスの需要が高まることから、市場が拡大するとみられる。

工程別でみると、前工程材料は、2023年は前年比11.9%減が見込まれる。ただし、EUVに対応するフォトマスクやフォトレジストの需要が増加しているほか、トランジスタ構造の変化や3D-NANDの高層化による工程数の増加を背景に既存の成膜材料、エッチング材料、洗浄液などの需要の増加が予想され、今後は市場が拡大するとみられる。

後工程材料は、2023年は前年比2.2%減が見込まれる。長期的には通信トラフィックの増加に伴う世界的な半導体市場の拡大に連動して需要が高まるとみられる。また、パッケージ基板用銅張積層板材料のサーバ向けは FC-BGAの大型化によって伸長するとみられ、市場拡大に貢献すると予想される。

◆注目世界市場

●フォトマスク

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

59億ドル

96.7%

69億ドル

113.1%

半導体やプリント基板、液晶ディスプレイなどの回路パターン形成のために使用されるフォトマスクを対象とする。半導体デバイスメーカーの新規デバイス開発時やラインの立ち上げ時に多く使用され、半導体のアプリケーションの増減によって需要が大きく変動する。

2023年は、メモリーメーカーの稼働率の低迷や、TSMCがロジック半導体の設備投資を先送りしたことなどを受け光リソグラフィ、EUV向けともに需要が伸び悩んでいることから、市場は縮小が予想される。

2024年以降は、半導体デバイスメーカーの先端ラインで微細化目的の設備投資が積極的に進むとみられ、EUV向けが大きく伸長すると予想される。また、半導体の用途の多様化や全てのアプリケーションに最先端の微細な半導体を適用する必要がないことから、光リソグラフィ向けも引き続き伸長するとみられ、2027年の市場は2022年比13.1%増の69億ドルが予測される。

●フォトレジスト

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

21億ドル

91.3%

28億ドル

121.7%

ウエハー上にパターン形成を行うフォトリソグラフィ工程で使用される各種の感光性材料を対象とする。照射光の波長が短い順にEUV向け、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、i線、g線にタイプ分類でき、光の波長が短いほど微細なパターン成型が可能である。

2023年は、前年の伸びの反動を受けメモリーを始めとする半導体デバイスの需要が減少しているため、EUV向けを除く全てのタイプで販売が減少しており、市場は縮小するとみられる。EUV向けは微細化需要を背景に伸びている。

今後は、半導体デバイス市場の回復に伴ってすべてのタイプで伸長し、2025年には2022年の市場規模を超え、2027年の市場は2022年比21.7%増が予測される。

●CMPスラリー

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

17億ドル

89.5%

23億ドル

121.1%

対象物の表面を平坦化するCMP工程で用いるスラリーを対象とする。

2023年は、前年の伸びの反動減により、メモリー・ロジック半導体ともに工場の稼働率が低下しているため、需要が減少している。

今後は、ロジック半導体向けは、レイヤー層の増加やトランジスタ構造の複雑化に伴って需要が増加するとみられる。メモリー向けは、3D-NANDの製造方法として、メモリーセルとロジック部を別々のウエハー上で作成し貼り合わせるボンディングタイプ方式と、セル面積の縮小を目的にロジック部とメモリーセルをモノリシック構造で形成するCUA(CMOS Under Array)方式が新たに普及するとみられ、いずれも研磨工程が増加することなどから、2027年に向けて市場は拡大が予想される。

●PFCエッチングガス

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

8億ドル

88.9%

11億ドル

122.2%

エッチング、装置のクリーニングで用いられる炭素とフッ素が結合した化合物を対象とする。

2022年の前半はロジックの3nm製品や多層化した3D-NANDが市場投入されたことにより、順調に伸びた。しかし、後半からはメモリーが供給過多となり、2023年に入っても引き続き影響を受けている。

2023年末から2024年頃には需要が回復し始めるほか、3D-NANDの高層化需要も高まっていることから、今後は市場拡大が予想される。

◆調査対象

前工程材料

・シリコンウエハ

・イソプロピルアルコール

・HFCエッチングガス

・フォトマスク

・アンモニアガス

・塩素系ガス

・フォトレジスト

・亜酸化窒素

・臭化水素

・反射防止膜(BARC)

・シランガス

・三フッ化窒素

・レジスト現像液

・Low-k材料

・フッ素混合ガス

・高純度洗浄液

・High-k材料

・ターゲット材

・CMPスラリー

・六フッ化タングステン

・バッファーコート膜・

・CMPパッド

・メタルプリカーサ

再配線形成材料

・CMP後洗浄液

・PFCエッチングガス

 

後工程材料

・バックグラインドテープ

・ボンディングワイヤ

・封止材

・ダイシングテープ

・リードフレーム

・仮固定接着剤

・ダイアタッチフィルム

・パッケージ基板用銅張積層板材料

・ハイブリッド接合用材料

・ダイボンドペースト

・層間絶縁材料

 

半導体デバイス

・モバイル用SoC

・NANDフラッシュメモリー

・DRAM


2023/10/11
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