PRESSRELEASE プレスリリース
■サプリメント市場 1兆678億円 (0.3%増)
インバウンド需要獲得で活性化に期待も、内需が落ち着き、微増にとどまる
訴求別では美容効果、チャネルではドラッグストアなど店頭チャネルが好調
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナウイルス感染症の影響が収束する中で、人流の増加やインバウンド需要の回復で店頭チャネルが好調な一方、通信販売チャネルが減少するなど、需要が変動しているサプリメントの国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2024 No.1 機能志向食品編」にまとめた。
この調査では、27の訴求効能別にサプリメント市場を分析した。なお、「同 No.2」では訴求効能別に一般加工食品を明らか食品とドリンク類に分けて調査し、「同 No.3」では保健機能食品市場、「同 総括編」でH・Bフーズ市場全ての分析結果を総括する。
H・Bフーズ:健康(Health)の維持増進・回復や美容(Beauty)を目的に飲食する何かしらの
効能・効果(機能性)を期待できる・期待されるイメージをもつ食品
◆調査結果の概要
●サプリメントの国内市場
2023年見込 |
2022年比 |
2025年予測 |
2022年比 |
1兆678億円 |
100.3% |
1兆967億円 |
103.0% |
機能性表示食品制度がスタートした2015年以降市場は拡大を続けており、新型コロナの感染が流行するなかでも体調管理や健康意識の高まり、コロナ太り対策など新たな需要を獲得した。
2022年はコロナ禍の特需は落ち着いたが、消費者の健康への意識、ダイエットやボディメイクに対するニーズは引き続き高かった。脂肪対策商品やスポーツ向けプロテインは、需要を期待した企業の参入や商品投入によって伸びた。このほか、関節・筋肉サポートや認知機能サポート、ビタミン・ミネラルチャージなどが続伸した。一方、競合激化がさらに進んだことや、消費者庁からの広告表現についての改善指導などがあったことから、前年と比較し市場の伸びは鈍化した。
2023年は新型コロナの5類移行に伴い、人流が増加し、インバウンド需要が回復に向かっている。美容サプリメントやビタミン・ミネラルサプリメントなどがインバウンド需要を獲得しており、ドラッグストアなど店頭チャネルの伸びが期待される。一方で、国内需要は特需が収束しており、成長を続けていた通信販売チャネルでの減少により、市場はわずかな伸びにとどまるとみられる。
競合激化などは市場拡大の逆風になるが、高齢者人口の増加によりサプリメントの担う役割・重要性がさらに高まっていくと考えられ、健康寿命の延伸を目的に需要が増加し、今後も市場拡大が続くと予想される。
◆注目市場
●美容効果
2023年見込 |
2022年比 |
2025年予測 |
2022年比 |
571億円 |
107.1% |
616億円 |
115.6% |
2023年は外出機会の増加やインバウンド需要の回復などにより、店頭チャネルを中心に伸びている。上期は東南アジアからの旅行客のインバウンド需要を取り込み、大幅に実績を伸ばす商品がでてきている。また、8月には中国からの団体旅行が解禁されており、さらなる需要増加が期待される。一方で、前年まで好調だった通信販売では新規顧客の減少などにより伸びが鈍化しており、店頭チャネルの伸びが市場をけん引するとみられる。
成分別では、コラーゲンやヒアルロン酸をはじめとして多くの定番成分が安定した需要を獲得しているものの、美容トレンドの変化や健康情報の発信によってプロテインやビタミン、ミネラルなど身体に必要な栄養素を摂取するという基本的な志向が強まっており他の訴求効能市場へ需要が分散している。また、近年は新奇性の高い注目成分が登場しておらず内需停滞が懸念される。
●スポーツサポート
2023年見込 |
2022年比 |
2025年予測 |
2022年比 |
1,187億円 |
103.6% |
1,244億円 |
108.6% |
2022年頃からライトユーザーの離脱などプロテインブームに落ち着きがみられ、2023年はさらに市場の伸びが鈍化している。新興ブランドなどは引き続き好調であるが、既存メーカーの停滞による伸びの鈍化が強くみられる。プロテインブームにより多くの商品が投入されたが、成長鈍化に伴って商品投入の減少や既存商品の整理など、淘汰が進むと予想される。
今後は、プロテインの認知拡大に加え、既に筋トレやプロテインの摂取が習慣化しているユーザーも多く、小幅ながら伸びが続くとみられる。また、企業やメディアからの情報発信によってアミノ酸やクレアチンなど、プロテイン以外の成分の啓発も進んでおり、複数の成分の併用などによる顧客単価の向上やミドル・ヘビーユーザー向けの展開強化が進んでいくとみられる。
●認知機能サポート
2023年見込 |
2022年比 |
2025年予測 |
2022年比 |
307億円 |
105.9% |
345億円 |
119.0% |
2022年3月に消費者庁から認知機能サポート関連の機能性表示食品を展開する115社の広告表示に対し改善指導が行われた。これにより、広告出稿の中止・大幅削減などが行われたことから、露出減少により、市場の伸びが大きく鈍化した。2023年はサントリーウエルネスが市場をけん引しているが、注力度を落とす企業も増えている。
認知機能サポート商品については、衰えていく認知機能への不安感からくる強い予防意識が需要増加につながっており、メインユーザーである高齢者層の増加により、今後も市場拡大が続くと予想される。なお、アルツハイマー病治療薬の承認による影響が懸念されるが、医療用医薬品の適応は進行を遅らせることであり、予防という観点では、サプリメントに対する期待は引き続き高いとみられる。
*富士経済H・Bフーズの定義 H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。
*同H・Bフーズの分類 全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。 さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。 (1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載) ●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。 ●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤型は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。 (2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載) ●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。 ●ドリンク類:明らか食品で飲料分野に属するものは、(医薬品/医薬部外品のドリンク剤と区分するために)本調査では「ドリンク類」と呼称する。
*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係 特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。 |
◆調査対象
機能志向食品(サプリメント) |
|
1.滋養・強壮
2.肝機能改善 3.美容効果 4.整腸効果 5.食事代替ダイエット 6.抑制系・燃焼系ダイエット
7.その他ダイエット 8.スポーツサポート 9.脂肪・コレステロール値改善 10. 血糖値改善 11 .高血圧予防 12 .認知機能サポート 13 . その他生活習慣病予防 14.抗酸化・抗加齢 15.血行促進
16.免疫対策 17.基礎栄養チャージ 18.骨サポート 19.関節・筋肉サポート 20.貧血予防・改善 21.オーラルケア 22.アイケア 23.ビタミン・ミネラルチャージ
24.ホルモンバランス 25.ストレス緩和 26.睡眠サポート 27.グリーンチャージ |
ローヤルゼリー、高麗人参、ニンニク、黒酢・香醋、深海鮫エキス、スッポン、マカ、他 オルニチン、ウコン、スルフォラファン、カキ肉エキス、肝臓エキス、他 コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、アスタキサンチン、他
アロエ、プルーン、ビフィズス菌、乳酸菌、食物繊維、他
葛の花由来イソフラボン、L-カルニチン、サラシア、ギムネマ酸、他 酵素、食物繊維・マンナン、他 プロテイン、アミノ酸、他 DHA・EPA、ナットウキナーゼ、キトサン、レシチン、他 サラシア、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、他 サーデンペプチド、GABA、ラクトトリペプチド、他 DHA・EPA、イチョウ葉、他 ルテオリン、アンセリン、他 核酸、ゴマエキス、酵素、コエンザイムQ10、レスベラトロール、他 ビタミンE、生姜、シトルリン、モノグルコシルヘスペリジン、 ヒハツ由来ピペリン、他 乳酸菌類、プロポリス、アガリクス、霊芝、β-カロチン、エキナセア、甜茶、他 プロテイン、アミノ酸、他 カルシウム、他 グルコサミン、コラーゲン、アミノ酸、他
非ヘム鉄、ヘム鉄
ルテイン、ブルーベリー、カシス、アスタキサンチン、他 マルチビタミン・ミネラル、ビタミンC、マルチビタミン、マルチミネラル、 ビタミンB群、亜鉛、他 大豆イソフラボン、ノコギリヤシ、ザクロ、ガウクルア、他 乳酸菌類、GABA、セントジョーンズワート、他 グリシン、テアニン、GABA、他 青汁(大麦若葉、ケール、その他)、ミドリムシ(ユーグレナ)、クロレラ、 野菜粒、スピルリナ、他 |