PRESSRELEASE プレスリリース
■生物由来の機能性成分・素材35品目 3,681億円(17.6%増)
機能性表示食品の新規ヘルスクレーム、高齢者増加やフェムケアブームを受けて需要増加
●乳酸菌 73億円(52.1%増)
機能性表示食品での採用増加が続く。新たな機能性訴求の開発も市場拡大に貢献
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、サプリメントや健康食品、化粧品・トイレタリー用品、医薬品などに採用され、特に機能性表示食品への採用の広がりなどで注目される、生物由来の機能性成分・素材の国内市場を調査した。その結果を「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2024」にまとめた。
この調査では、注目される生物由来の機能性成分・素材35品目(動物系15品目植物系12品目その他8品目)の市場について、現状を把握し将来を予想するとともに、今後の需要増加が期待される注目素材15品目について現状の市場動向や将来性を整理した。
◆調査結果の概要
■生物由来の機能性成分・素材35 品目の国内市場
2023 年の市場は前年比3.7%減の3,012 億円が見込まれる。植物系やその他は堅調だったが、動物系は前年に好調だった乳タンパクが価格下落により落ち込んだ影響から約5%縮小するとみられる。生産コストの上昇を価格に反映しにくく、また、海外の低価格品の流入もあるため、品目によっては価格競争が激化している。
2024 年は乳タンパクの需要が持ち直し、コンドロイチンやプラセンタ、乳酸菌などの好調により動物系が伸び、植物系はイヌリンや大豆イソフラボンなどが堅調、その他はNMN やGABA の需要が増えていることから、市場は前年比4.6%増の3,150 億円が予測される。
今後、機能性表示食品制度での新規ヘルスクレームによるユーザー開拓、また、高齢者の増加やフェムケアブームなどを受け た需要増加が期待されるとともに、生産 コスト の 上昇を 受けた 値上げ 実施も想定されることなどから、市場は拡大が続くとみられる。
◆注目市場
●乳酸菌
腸内フローラの改善や便通の改善をはじめ、多様な健康機能性を訴求できる素材として普及している。近年は、生菌はプロバイオティクス、死菌(殺菌体)はプレバイオティクスとしての働きも訴求されている。
コロナ禍では、体調・免疫サポート機能が注目されたことから、市場は堅調に推移した。新型コロナの流行が落ち着いてからは、日常的な健康意識の向上訴求や、機能訴求の広がりを受けた機能性表示食品への採用増加などで市場は拡大を続けている。
サプリメントや加工食品など、食品用途が大部分を占める。特に機能性表示食品での採用が増えており、従来はサプリメントが中心であったが、明らか食品や飲料でも申請が増えている。免疫機能の維持や肌のうるおい、胃の負担緩和、目や鼻の不快感緩和など、機能訴求が整腸作用以外に広がることにより、機能性のコンセプトにあった食品形状での商品化が進められている。また、死菌が多数展開されるようになったことが、さまざまなタイプの明らか食品への採用を促している。
乳酸菌の研究が進むに伴いさまざまな機能性や特性が明らかになっており、新たな機能性を訴求する乳酸菌も登場している。安全性や信頼性の高い素材であるため、機能性解明の進展は活用シーンや採用商品の増加につながりやすいことから、今後さらなる市場拡大が期待される。
●大豆イソフラボン
食品、健康食品、医療機関で処方されるサプリメント、化粧品・トイレタリー用品、ペットフードなどに機能性原料として使用されるものを対象とする。
“骨の成分維持に役立つ"とする機能性表示食品の関与成分としての採用が多く、また、主に女性向けサプリメントに採用される機能性素材として安定した需要がある。近年はフェムテック・フェムケアに関連するサプリメントや化粧品、トイレタリー用品などの開発が活発であり、不眠や抑うつ、めまい、イライラなどの更年期の不調改善効果、また、肌の弾力やハリ、新陳代謝を高める働きなど、女性の課題解決を訴求する素材として採用が広がっている。
内閣府の食品安全委員会で提言された上限摂取量の問題や、“骨の成分維持"や“骨の健康"などのヘルスクレームは体感性が弱いためリピート需要や摂取のきっかけを得にくいという課題はあるものの、今後、女性向けサプリメントの需要に加えて、訴求機能である骨や肌の健康維持にニーズがある高齢者層の増加により、市場は堅調な拡大が予想される。
●グルコサミン
高齢者をメインターゲットとする関節サポート訴求のサプリメントで採用され、抗ロコモ素材として需要が確立しているほか、抗メタボや美肌などを訴求する機能性素材としても定着している。
関節サポート訴求サプリメント用途の需要一巡や、競合素材の増加などにより、一時市場は停滞していたが、2021年は、コロナ禍で外出自粛を受けた運動不足から膝関節の不調を訴える人が増えたことから関節サポートのサプリメント需要が回復し、また、在宅時間の増加で飲み忘れが減った定期購入サプリメントの注文が増加したことから、市場は前年比2.3%増の44億円となった。2022年、2023年もサプリメントを軸に需要は堅調で市場は拡大を続けている。筋力低下対策で定期購入が増えたこともサプリメントの需要底上げにつながったほか、機能性表示食品としても採用商品が増えている。
関節サポートサプリメントで採用される機能性素材の5割以上を占めており、既に認知度も高いため、関節サポート訴求での需要の広がりには限界があるとみられる。現状グルコサミン以外の素材が採用されている、肌の保湿や体脂肪減少などを訴求したサプリメントでの採用促進などが期待される。
◆調査対象
動物系・DHA/EPA
・アスタキサンチン
・イミダゾールジペプチド
・エラスチン
・肝臓加水分解物
・グルコサミン
・コラーゲン
・コンドロイチン
・乳タンパク
・ヒアルロン酸
・プラセンタ
・プロテオグリカン
・乳酸菌
・ビフィズス菌
・ラクトフェリン
植物系
・イチョウ葉エキス
・イヌリン
・サラシア
・セラミド
・ナットウキナーゼ
・ニンニク抽出物
・ノコギリヤシ
・フコキサンチン
・ブラックジンジャー
・マカ
・ルテイン
・大豆イソフラボン
その他
・BCAA
・GABA
・HMB
・L-アルギニン
・L-オルニチン
・L-カルニチン
・NMN
・コエンザイムQ10
その他
・アグアヘエキス
・アケビエキス
・エクオール
・エルゴチオネイン
・カキエキス
・クレアチン
・スピルリナ
・ネムノキ樹皮抽出物
・ターミナリアベベリカ抽出物
・天然ヒト型セラミド
・プラズマローゲン
・ヘム鉄
・ホスファチジルセリン
・ラフマ
・高麗人参