PRESSRELEASE プレスリリース

第24019号

機能性表示食品、特定保健用食品などの国内市場を調査
― 2024年予測(2022年比) ―
■機能性表示食品の国内市場 7,350億円(27.7%増)
脂肪や睡眠に関するヘルスクレームに対応した商品への需要が高く、市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、脂肪やストレス、睡眠、免疫に関連するヘルスクレームがトレンドとなる中、商品数の増加や人気のヘルスクレームを掛け合わせたマルチヘルスクレームによる商品の差別化が進む保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)の市場動向を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2024 No.3 機能性表示別市場分析編」にまとめた。

この調査では、保健機能食品について訴求効能別、成分別、ヘルスクレーム別に分類し、最新の市場動向を捉えた。

◆調査結果の概要

■機能性表示食品の国内市場

機能性表示食品の国内市場

2023年の市場は、新商品の発売や前年までに発売された商品のPR・販促活動の強化、価格改定によって、前年比19.3%増の6,865億円が見込まれる。明らか食品・ドリンク類が市場拡大をけん引している。特に、前年に機能性表示食品としてリニューアルした「明治プロビオヨーグルトLG21」(明治)が好調であるため、明らか食品が伸びた。ドリンク類は、猛暑による止渇需要も獲得し、大きく伸長している。

訴求効能別では、ドリンク類の新商品発売が前年から続いており、3割強を占める脂肪・コレステロール値改善が伸びている。続く睡眠サポートは、「Yakult1000」、「Y1000」(ヤクルト本社)の発売以降急伸しており商品数の増加とともに伸びている。

成分別では、乳酸菌が消費者からの認知度が高いことや、脂肪(低減)や免疫機能維持、睡眠、ストレス緩和など幅広い機能を表示できることから伸長している。同様に表示できる機能が多いことでGABAも好調である。また、脂肪(低減)をヘルスクレームとする無糖茶飲料が女性の需要を取り込んでいることから、カテキンが伸びている。

今後も脂肪や睡眠に関する商品の需要は高いとみられ、2024年の市場は、2022年比27.7%増の7,350億円が予測される。

■特定保健用食品の国内市場

特定保健用食品の国内市場

2019年以降、機能性表示食品の商品数増加が続いており、ヒット商品も登場していることから、需要が流出しているため、市場は縮小が続いている。2023年の市場は前年比4.4%減が見込まれる。

機能性表示食品において表示できるヘルスクレームが多様化しているのに対し、特定保健用食品では表示できる機能が少なく、また、商品化までに時間やコストがかかることから、今後も新商品の発売は限定的とみられる。2024年の市場は、2022年比6.3%減が予測される。

◆注目市場

※ヘルスクレーム別と成分別の市場は、対象商品が重複する場合がある。

【ヘルスクレーム別】

●脂肪に関するヘルスクレームを訴求する特定保健用食品と機能性表示食品

脂肪に関するヘルスクレームを訴求する特定保健用食品と機能性表示食品

脂肪に関する機能を表示する特定保健用食品と機能性表示食品を対象とする。

生活習慣病予防やダイエットに関連する機能として需要が高く、2023年は、サントリー食品インターナショナルやコカ・コーラシステムから大型ブランドが投入されたことで、脂肪(低減)が大きく伸びている。また、腸を整え脂肪を減らすというストーリーのわかりやすさとターゲットの広さから、「Lakubi Premium」(ニコリオ)をはじめとする脂肪(低減)と腸内環境を組み合わせたマルチヘルスクレームの機能性表示食品も需要を獲得しており、市場は前年比8.3%増の3,669億円が見込まれる。

健康維持のための中心的な訴求であることから、今後も脂肪対策の需要は高いとみられる。機能性表示食品では商品数増加による競合激化が懸念されるものの、活発な商品展開によって引き続き市場は拡大が予想される。

●睡眠に関するヘルスクレームを訴求する特定保健用食品と機能性表示食品

睡眠に関するヘルスクレームを訴求する特定保健用食品と機能性表示食品

睡眠に関する機能を表示する機能性表示食品を対象とする。

「グリナ」(味の素)をはじめとした、機能性表示食品へとリニューアルした商品を中心に市場が形成された。新型コロナウイルス感染症の流行によるライフスタイルの変化で、需要が活性化し機能性表示食品の届出が大幅に増加したほか、2022年に「Yakult1000」がヒットし、伸長してきた。

2023年は前年までのブームが収まりつつあるものの、消費者の睡眠への関心は高い。「Yakult1000」のほか「届く強さの乳酸菌W」(アサヒ飲料)、「メンタルサポート ココカラケア」(アサヒグループ食品)など、腸内環境改善とストレス緩和を組み合わせたマルチヘルスクレームが好調であり、市場は急拡大が続いている。

今後も、睡眠のヘルスクレームに対する需要は高いとみられるほか、新たなマルチヘルスクレームを探索する企業も増えており、新商品が発売されることにより、2024年も市場拡大が続くとみられる。

【成分別】

●乳酸菌を関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

乳酸菌を関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

乳酸菌を関与成分とする特定保健用食品と機能性表示食品を対象とする。ビフィズス菌は対象外とした。

2023年は、前年から続くブームによって睡眠関連商品が好調であるほか、前年12月に機能性表示食品へリニューアルし胃の負担軽減をヘルスクレームとした「明治プロビオヨーグルトLG21」がストレスやプレッシャーを感じるビジネスパーソンを中心に需要を獲得し、市場は前年を超える伸びが予想される。

睡眠と腸内環境改善、ストレス緩和など睡眠を組み合わせたマルチヘルスクレームがトレンドであるほか、免疫機能維持をヘルスクレームとした新商品発売や機能性表示食品へのリニューアルが多くみられ、今後も市場は拡大が予想される。

●カテキンを関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

カテキンを関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

茶カテキンやメチル化カテキン、ガレート型カテキンなどを主成分とする特定保健用食品と機能性表示食品を対象とする。

近年、リニューアル商品の発売によって市場は急伸している。2022年は、「伊右衛門 濃い味」(サントリー食品インターナショナル)が、茶カテキンを関与成分とした機能性表示食品としてリニューアル発売された。脂肪(低減)機能を訴求しながら、カテキンの認知度の高さや緑茶の濃い味わいを背景に需要を獲得したことで、ドリンク類が伸びた。2023年は、「綾鷹 濃い緑茶」(コカ・コーラシステム)が、茶カテキンを含む機能性表示食品としてリニューアル発売され、前年に引き続きドリンク類の伸びによって市場は前年比18.4%増が見込まれる。

機能性表示食品のうち、脂肪(低減)を訴求するドリンク類やサプリメントが好調であり、これらの需要の増加によって、今後も市場拡大が予想される。

●GABAを関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

GABAを関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品

GABAを関与成分とした特定保健用食品と機能性表示食品を対象とする。

2016年から2017年に「メンタルバランスチョコレートGABA」(江崎グリコ)などの新商品が発売され、市場は急拡大した。

血圧対策をヘルスクレームとした機能性表示食品の需要が堅調なほか、幅広い世代でストレス対策意識が高まっている。2023年は、ストレス緩和と睡眠の組み合わせなど、ストレス緩和と他のヘルスクレームを掛け合わせたマルチヘルスクレーム商品が好調であるため、市場は前年比21.3%増の199億円が見込まれる。

今後は、疲労感軽減や睡眠を含むマルチヘルスクレーム商品の需要獲得によって市場は拡大するとみられる。また、血圧対策などを副次的な訴求とし、糖や脂肪の吸収抑制などを主訴求とする商品の伸長が予想され、2024年の市場は2022年比32.9%増が予測される。

*富士経済H・Bフーズの定義

H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。

*同H・Bフーズの分類

全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。

さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。

(1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載)

●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。

●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤形は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。

(2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載)

●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能性成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。

●ドリンク類:一般加工食品のうち、リキッド形状の商品を対象とし、医薬品/医薬部外品のドリンク剤と区分するために本調査では「ドリンク類」と呼称する。

*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係

特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。

◆調査対象

保健機能食品
・特定保健用食品
・栄養機能食品
・機能性表示食品

ヘルスクレーム
・脂肪横断
・糖横断
・血圧横断
・コレステロール横断
・認知横断
・ストレス緩和横断
・睡眠横断
・肌の保湿横断
・光刺激保護・コントラスト調節横断
・体温・血流横断
・脂肪(低減)
・腸内環境
・腸内環境×ストレス緩和×睡眠
・脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
・膝関節
・脂肪(吸収抑制)
・膝関節×筋力維持
・血圧
・免疫機能維持
・脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)×血圧
・コレステロール
・脂肪(低減)×脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
・疲労感軽減
・睡眠
・肌の保湿(弾力・バリア機能)
・便通改善
・認知(記憶)
・脂肪(低減)×認知
・脂肪(低減)×腸内環境
・ストレス緩和×睡眠

成分
・乳酸菌
・食物繊維
・カテキン
・ビフィズス菌
・DHA・EPA
・GABA
・ローズヒップ由来ティリロサイド ・クエン酸
・テアニン
・中鎖脂肪酸
訴求効能
・滋養・強壮
・肝機能改善
・美容効果
・整腸効果
・食事代替ダイエット
・抑制系・燃焼系ダイエット
・その他ダイエット
・スポーツサポート
・脂肪・コレステロール値改善
・血糖値改善
・高血圧予防
・認知機能サポート
・その他生活習慣病予防
・血行促進
・免疫対策
・ストマックケア
・基礎栄養チャージ
・骨サポート
・関節・筋肉サポート
・貧血予防・改善
・オーラルケア
・アイケア
・ビタミン・ミネラルチャージ
・ストレス緩和
・睡眠サポート
・グリーンチャージ

機能性表示食品における生鮮食品・惣菜
・生鮮食品・惣菜

機能性表示食品におけるPB
・PB(プライベートブランド)


2024/2/19
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