PRESSRELEASE プレスリリース
●リサイクル樹脂コンパウンド 685億円(14.1%増)
自動車業界でのリサイクルプラスチック採用増加に伴って需要が増加
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、環境対応から将来性が期待されるリサイクル樹脂コンパウンドや生分解性樹脂コンパウンド、xEVのへの対応で変化する自動車用コンパウンドなど、注目コンパウンドの市場について調査した。その結果を「2024年 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略 下巻」にまとめた。
この調査では、世界の有力樹脂メーカー・コンパウンドメーカー81企業を取り上げ、各社の取り扱い樹脂や得意とする用途、環境対応や機能性グレードの動向、材料の調達実態などを整理し、コンパウンド市場における環境対応グレードや、高機能グレードの動向をまとめた。
◆注目市場
■リサイクル樹脂コンパウンド(国内市場)
国内のリサイクルプラスチックは、MR-PPなどの汎用樹脂が大半であるが、そのうちコンパウンド品は、フィラーや難燃剤を配合して、自動車部品や家電、OA機器、建材などに使用されている。特に自動車部品でリサイクルプラスチックの採用率向上が急がれており、2027年に向けては自動車部品向けが市場をけん引するとみられる。
自動車部品ではリサイクルプラスチックの採用増加が急がれていることが市場の追い風となっている。欧州を中心にリサイクル材の割合を高める議論が活発に行われており、今後日本でも欧州のような自動車向けプラスチックの利用規制に踏み切ることが想定される。
家電・OA機器は筐体や内部部品で使用され、近年OA機器への採用が増えている。
物流資材は輸送用の物流パレットやコンテナに用いられ、物流パレットでは既に半数近くが採用している。
今後の市場拡大には物性の向上や回収工程の整備などが課題であるが、リサイクルプラスチックの品質確保やトレーサビリティの確立に向けて参入メーカーが連携して活動を開始しており、改善が進むと期待される。
■自動車用コンパウンド(世界市場)
調査対象品目のうち、自動車向けを対象とする。近年は世界的な自動車生産台数の増加に伴い市場拡大が続いた。2023年は、自動車部品の在庫調整の影響が懸念されたが、PPなど汎用樹脂コンパウンドの需要が堅調であったため市場は前年比5.1%増が見込まれる。
自動車電装化の進展やxEVへのシフトに伴い、バッテリーやパワーモジュールなどの車載電子部品向けにエンプラの利用が増加する一方で、内燃車の減少によりエンジン周辺部品向けが減少するなどの変化も起きている。今後はEVのバッテリーケースやパワーモジュールケース、コネクタや、ECUケースといった電装部品が有望な用途で市場をけん引するとみられ、2027年の市場は2022年比12.4%増の4億4,500万ドルと予測される。
環境対応としては、欧州における自動車向けプラスチックの利用規制強化の動きが今後世界的に波及していくとの見方から、リサイクル化対応が急がれている。欧州ではバイオ素材の活用についても研究開発が進められており、樹脂原料だけではなく、添加剤においてもケナフやヘンプなどの植物性素材(バイオフィラー)を用いる動きが加速している。国内では樹脂メーカーやコンパウンドメーカーとリサイクルメーカーの提携が強化されている。
◆調査対象
環境対応・自動車用コンパウンド・リサイクル樹脂コンパウンド
・生分解性樹脂コンパウンド
・自動車用コンパウンド
企業事例
・日系企業 42社
・中国系企業 15社
・台湾系企業 4社
・韓国系企業 5社
・インド系企業 15社
・欧米系企業、ほか 12社
調査対象品目(上巻の品目に準ずる)
・PPコンパウンド
・PEコンパウンド
・PVCコンパウンド
・PSコンパウンド
・ABS
・PCコンパウンド
・m-PPE
・POMコンパウンド
・PA6コンパウンド
・PA66コンパウンド
・PBTコンパウンド
・GF-PET
・PPSコンパウンド
・LCPコンパウンド
・PA6Tコンパウンド
・PA9Tコンパウンド
・PEEKコンパウンド
・PTFEコンパウンド
・溶融フッ素樹脂コンパウンド
・ガラス繊維
・炭素繊維
・セルロースファイバー
・臭素系難燃剤
・リン系難燃剤
・難燃助剤