PRESSRELEASE プレスリリース
●自動車向け放熱部材 3,330億円(86.7%増)
駆動用電池(LiB)、インバーター、ECU向けが拡大をけん引
●サーバー向け放熱部材 1,293億円(3.9倍)
AIサーバーの需要増加により高熱伝導品のニーズ高まる
放熱シートとべーパーチャンバーが市場をけん引
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、幅広い用途でサーマルマネジメントを担い、自動車や通信分野では高出力化により高熱伝導品の需要が高まる放熱部材の世界市場を調査した。その結果を「2025年 熱制御・放熱部材市場の現状と注目用途展開」にまとめた。
この調査では、放熱部材14品目、放熱フィラー5品目の世界市場の現状を把握し、自動車、サーバー、スマートフォン、通信基地局など主な用途における放熱部材の需要動向を分析した。
◆調査結果の概要
■放熱部材の世界市場

2024年は、主な用途であるxEVが補助金の打ち切りや縮小などにより低迷し、市場の伸びが鈍化した。2025年はxEVの在庫調整が順調に進んでいることに加え、生成AIの需要増加に伴いAIサーバー向けが堅調であり、市場は前年比二桁増が見込まれる。
自動車や通信分野では、高出力化により放熱部材に求められる熱伝導率は上昇している。また、中国メーカーが高い価格競争力により多くの品目でシェアを拡大させており、日米欧メーカーは以前に増して高熱伝導率品など付加価値の高い製品への注力度を高めている。
価格幅が広がっているほか、自動車向けでは構造の変化により駆動用電池(LiB)などで従来ほどの熱伝導率を必要としないケースも出始めているが、xEVや通信、家電、産業機器、電鉄車両など、幅広い用途でサーマルマネジメントの中核を担っていることから、市場は今後も拡大し、2035年には1兆380億円が予測される。
■カテゴリー別市場動向■
TIM・封止材は、放熱ギャップフィラーの市場規模が最も大きい。製造工程の自動化が進む中で放熱シートからの切り替えがみられ、特にxEVの駆動用電池(LiB)での使用が多い。また、車載電装品向けで高熱伝導率品の開発が進められている。次いで規模が大きいのは放熱シートであり、車載電装機器や通信基地局などを中心に幅広い用途で堅調な需要がある。この他、xEVの駆動用電池(LiB)のセル形状の変化やセルを車体に直接固定する"セルtoパック""セルtoボディ"の採用増加を背景に放熱接着剤の採用が増えており、今後の順調な市場拡大が期待される。
放熱基板は、自動車や産業機器などを中心に採用されている。特にxEVでの搭載機器の高出力化・小型化により、絶縁性や信頼性に優れる窒化ケイ素ベース回路基板の採用が拡大している。自動車のインバーターのほか、再生可能エネルギーにおけるパワーコンディショナー向けも伸びている。また、銅ベース回路基板は、LEDヘッドライトに加え産業機器のパワーモジュール向けが主であるが、2025年にデンソーの「パワーカード」で採用されたことで、今後はxEVの駆動用インバーターでの需要が伸びると予想される。
放熱絶縁板は、セラミックよりも低価格な金属ベース回路基板の採用増加により、市場拡大が予想される。特に、はんだ付けなどの工程が省略可能な放熱絶縁シートの需要の高まりが予想される。これまではエアコンなど白物家電のインバーター向けが中心であったが、近年はLED照明のほか、xEVのインバーターやDC-DCコンバーターでも採用され、需要が増加するとみられる。
その他放熱部材は、グラファイトシートとべーパーチャンバーのスマートフォンでの需要が中心である。2025年はAppleで新たにベーパーチャンバーが採用されており、市場は大幅に拡大するとみられる。また、今後はAIサーバーでのベーパーチャンバーの採用により長期的な需要の増加が期待される。
◆注目市場
●自動車向け放熱部材

自動車向けは駆動用電池(LiB)、インバーター、ECU、車載充電器(OBC)で使用される放熱部材を対象とした。
駆動用電池(LiB)やインバーター向けはxEV需要の影響を受けるため、2024年は伸びが鈍化したが、長期的には大幅な拡大が予想される。需要が大きいのは駆動用電池(LiB)、インバーター向けである。規模の大きさと高出力化による高熱伝導率品の需要の高さから、特にインバーター向けが注目される。
インバーターは、近年はギアボックス・モーターと一体化したeAxleの増加により、内部構造が複雑化しているほか、冷却回路をギア・ベアリングの潤滑油と統合する動きが顕在化している。そのため、TIMでは複雑な構造部の隙間を充填し、熱源から冷却回路への熱伝導効率の確保がこれまで以上に求められており、放熱ギャップフィラーの需要が増加している。放熱基板では、600V・50A程度の中出力帯域では金属ベース回路基板が主に採用されており、それ以上の領域では窒化アルミやZDA、窒化ケイ素などのセラミックベース回路基板が採用されている。今後はEVの800V化により、より放熱性や絶縁性に優れる窒化アルミやZDA、窒化ケイ素ベース回路基板の需要増加が予想される。
駆動用電池(LiB)では、放熱部材に要求される熱伝導率は高くないものの、車両1台あたりの使用量が多いため、安価な中国メーカーによる放熱ギャップフィラーが中心となっている。しかし、近年円筒・ラミネート型の採用増加により、狭小スペースでの定着性や構造の固定性に優れる放熱接着剤の需要増加が予想される。
ECUでは、自動車1台あたりの搭載数の増加などから放熱部材の需要も増加している。また、ADASなどECUの高性能化、高密度化が進んでおり、より高い熱対策が求められている。TIMは製造工程の自動化により液状製品の採用が進んでおり、放熱基板は銅ベース回路基板の実装が進むとみられ、今後の市場拡大が期待される。
車載充電器(OBC)は、高出力化や小型化の進展に伴い内部構造が複雑化しており、狭小な隙間への確実な充填性と高熱伝導性の両立が可能な放熱ギャップフィラーの需要が増加している。
●サーバー向け放熱部材

近年は生成AIの普及に伴いAIサーバー向けが急速に拡大している。サーバーでは高熱伝導率品が使用されるが、AIサーバーの需要増加により更なる高熱伝導率品が求められており、今後も高い伸びが予想される。
サーバー向けで需要が大きいのは放熱シート、ベーパーチャンバーであり、このほか放熱グリース、封止材なども採用される。放熱シートは、汎用サーバーでは5W/m・K以上の製品が、AIサーバーでは処理量が増加し発熱量が多くなるCPUやGPUにおいて10W/m・K以上の絶縁性放熱シートや、炭素繊維フィラーを配向した20W/m・K以上の非絶縁性放熱シートも採用されている。ベーパーチャンバーは、2024年よりAIサーバーのGPUを中心に採用されており、今後はラック当たりの使用量の増加が期待される。
AIサーバーは、汎用サーバーと比較して発熱量の高い半導体チップの搭載率が高くなり、現状冷却方式として導入されている空冷に加え、将来的には液冷や液浸方式による冷却が進むとみられる。なお、液冷においても冷却水を通したコールドプレートとチップ間のギャップを埋める用途でTIMの採用が続くとみられる。
◆調査対象
・放熱グリース
・放熱ギャップフィラー
・封止材
・アルミナベース・ZDA回路基板
・窒化ケイ素ベース回路基板
・ベーパーチャンバー
・低ソーダアルミナ
・アルミナ(球状・丸み状・多面体)
・窒化アルミ
・窒化ホウ素
・炭素繊維
用途別
・自動車〔駆動用電池(LiB)向け、インバーター向け、車載充電器(OBC)向け、ECU向け〕
・サーバー(汎用/AI)
・スマートフォン
・通信基地局
