PRESSRELEASE プレスリリース

第25104号

製造業のDX化(デジタルファクトリー)に関する市場を調査
― 2030年世界市場予測(2024年比) ―
■製造業のDX化に関する市場 12兆5,472億円(61.8%増)
設計・製造・販売システム・ソリューションやPAシステム・ソリューションを中心に伸長
●PLM/PDM 7,850億円(2.4倍)
設計のDX化、設計と製造のDX連携ニーズの高まりによりユーザー層が拡大
●MES 6,100億円 (64.9%増)
PLMやERPとの連携・セット提案による案件の大型化が進む

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸03-3241-3470)は、モノづくり全体のDX化・最適化に向けた設計・製造の連携進展を目的とした取り組みや投資が進む、製造業のDXに関連する市場(デジタルファクトリー関連市場)を調査した。その結果を「2025年版 DIGITAL FACTORY関連市場の実態と将来展望」にまとめた。

世界的に業務の効率化、自動化・省人化に向けたモノづくり基盤の構築・刷新が加速しており、日本でも熟練工の退職による技術継承や、労働力確保のハードルによる人手不足などの課題に対応するため、製造業のDX化の取り組みが広がっている。

この調査では、設計・製造・販売システム・ソリューション10品目、生産現場システム・ハードウェア8品目、PAシステム・ソリューション6品目、ネットワーク・セキュリティ7品目、注目サービス・ソリューション3品目の市場について、現状を調査し、将来を予想した。

◆調査結果の概要

■製造業のDX化に関する世界市場(デジタルファクトリー関連世界市場)

製造業のDX化に関する世界市場(デジタルファクトリー関連世界市場)

業務の効率化、自動化・省人化をテーマにしたモノづくり全体のDX化に対する投資が活況であり、各領域は順調な市場の成長がみられる。多種多様な目的を持つユーザーによる新規・更新・刷新・拡張需要が増加しており、特に、エンジニアリングチェーンのDX化、設計と製造のDX連携のニーズの広がりが市場拡大をけん引している。

また、FA(ファクトリーオートメーション)向けでは自動車関連や電機・電子関連、PA(プロセスオートメーション)向けではオイル&ガスや化学関連、医薬品関連を中心に需要は活発化しており、大規模企業から中小規模企業まで幅広いDX投資の拡大が市場成長を後押ししている。ネットワーク・セキュリティ領域ではデジタルファクトリー化の進展に伴い、無線化への投資意欲が高まっているほか、OTセキュリティ(製造装置や製造工程システムの制御・監視システムに関するセキュリティ)に対する意識も高まっており、関連するツールやサービスが大きく伸びている。

日本では、人手不足や技術・ノウハウの継承、労働力確保など製造業が抱える喫緊の課題に対する解決策として、モノづくりに関わる各業務フローのDX化により変革・連携・最適化して、製造現場のDX基盤構築を目的に旺盛な投資が継続するとみられ、市場拡大が続くと予想される。

領域別にみると、設計・製造・販売システム・ソリューションの規模が大きく、市場をけん引している。特に、モノづくりのDX化を進める軸となるPLM/PDMや生産プロセスシミュレータ(組立製造ライン向け)が好調である。また、ローコードプラットフォーム(製造業向け)は米州や欧州を中心に、アジアでも採用する企業が増えている。

生産現場システム・ハードウェアでは、3Dプリンターやハイブリッド複合加工機が伸びている。複合加工機は次世代の金型製造装置としての需要が高まっているほか、金属3Dプリンターでは難しい大型部品の造形ニーズの拡大により、大幅な伸びが予想される。

PAシステム・ソリューションは、DCS(Distributed Control System)が7割以上を占めており、欧米や日本、中国などでは更新・拡張案件が中心であるが、インフラ関連の設備投資が活発なインド、オイル&ガス向けの設備投資が回復している中東の需要が期待される。LIMS(Laboratory Information Management System)はDX推進に加えて、既存顧客のリプレース案件や複数拠点のシステム統合などにより伸びている。医薬品メーカーの採用が中心であるが、石油化学・化学関連などでも需要が増えている。

ネットワーク・セキュリティは、製造業のDX化によるデータ伝送量の増大や、産業施設内の無線化ニーズの高まりなどにより、産業用セルラー基地局が大きく伸びている。また、ネットワーク化に伴うユーザーのセキュリティ意識の高まりから産業用ファイアウォールや不正侵入検知システム(OT-IDS)などの需要が増えている。

注目サービス・ソリューションでは、オンデマンド部品調達サービスがDX化の進展で伸びている。また、図面管理・検索システムは日本メーカーが積極的な展開を進めている。

エリア別にみると、現状は米州と欧州が市場の中心であり、デジタルデータをベースとした設計と製造のDX連携、サプライチェーン全体の最適化、新たなネットワーク・セキュリティ運用が他エリアに先行して、幅広い業種で進められている。日本はモノづくりのDX化が本格的に始まった段階である。エンジニアリングチェーンのDX化、設計と製造のDX連携をメインテーマにした投資が、業種・ユーザー層を問わず好調である。中国は人件費の高騰などを背景に、業務の効率化や自動化・省人化ニーズが高く、市場ポテンシャルは大きいとみられる。近年は経済の低迷を受け、DX化への投資・需要はやや低調であるが、今後の回復が期待される。その他エリアでは、中国からの生産拠点シフト先として注目されるインドや東南アジアでの需要増加が予想される。

◆注目市場

●PLM/PDM

PLM(Product Lifecycle Management)/PDM(Product Data Management)

PLMは、製品の企画からアフターサポートまでの製品ライフサイクル全体を相互に関連づけながら設計や人員などの情報を一元管理し、業務に応じた情報を提供するシステムである。PDMは、CADデータなど製品に関するさまざまなデータの一元管理に特化した情報管理システムである。

幅広い業種・ユーザー層で需要が増えており、前年比二桁の伸びが続いている。レガシーシステムからの刷新や複数拠点への導入、サプライヤー間の連携、MESやERP(Enterprise Resource Planning)など他システム・ソフトウェアの更新・刷新・連携に応じた需要やセット提案が増加している。設計と製造のDX連携や、設計領域のDX化ニーズが高まっており、M-BOM(製造部品表)やS-BOM(サービス部品表)、BOP(製造工程表)の構築・見直し・刷新・連携需要の増加により、ユーザー層が広がっている。モノづくりの入り口となるエンジニアリングチェーンのDX化に不可欠なため、今後も大幅な需要増加が続くとみられる。

業種別にみると、自動車関連は電動化やSDV(Software Defined Vehicle)を契機にモノづくり基盤のDX化に対する投資が活発であり、大規模案件が目立っている。また、設計と製造の連携を目的としたエンジニアリングチェーンのDX化に対する意識の高まりを受けて、グローバルで広く設備投資が活発な半導体関連や防衛関連、モノづくりが複雑化する産業機械関連で新規・更新・刷新・連携需要が好調である。化学関連や製薬関連では配合管理やレシピ管理、レギュレーション管理を目的に需要が増えている。

●MES

MES(Manufacturing Execution System)

生産計画をもとに製造実行を指示すると共に、生産設備の稼働情報を収集し、必要に応じて生産設備にPLCを介して制御するシステムである。ここでは、MESを拡張し経営情報や市場情報との連携などを追加したMOM(Manufacturing Operations Management)も含む。

実績管理やトレーサビリティ、生産現場の可視化による生産性向上を目的に、幅広いユーザー業種・規模で需要が増加しており、市場拡大が続いている。既存システムの刷新・更新・拡張・改造需要が多いほか、複数拠点への横展開が増えている。また、近年はPLMやERPとの連携・セット提案による案件規模の大型化が顕著である。競争力の維持、強固なサプライチェーン構築にはDX化が必須であり、MESを活用した新たなモノづくり基盤の構築が進展しており、今後もエリア・業種・ユーザー規模を問わず市場拡大が続くとみられる。

業種別では、自動車関連は電動化に伴う生産ライン・システム変更が進展していることから、完成車メーカーやTier1、Tier2の需要が増えている。また、EVバッテリー関連のサプライヤーによる新規・刷新案件も増加している。製薬関連は医薬品の製造管理、品質管理に関する基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)でMESの導入が推奨されており、近年は欧米を中心にSaaSでの提供が増えている。また、電機・電子関連では半導体の新工場建設に伴う新規・拡張需要の増加、化学関連は更新・刷新・改造需要が堅調である。

●不正侵入検知システム(OT-IDS)

不正侵入検知システム(OT-IDS)

ネットワークやコンピュータをリアルタイムで監視し、コンピュータシステムへの不正な侵入や攻撃を検知・検出するセキュリティシステムで、OT(Operational Technology/製造装置や製造工程の制御や監視などを運用する技術)領域向けの製品を対象とする。

ファイアウォールではブロックが難しいパケット内容の精査が可能であるため、OTセキュリティに対する意識の向上や各国のセキュリティガイドライン制定に伴い、市場が拡大している。現状はPA関連における甚大な損害につながる重要な局面に対応するための採用や、FA関連の大規模企業への導入増加が市場拡大の要因となっている。今後は新規購入したユーザーの複数拠点での導入や中規模企業以下の新規導入が増えることにより市場拡大が予想される。

日本では一部の大規模企業において実証段階での採用が始まるなど、市場は黎明期の段階である。2024年の市場は11億円と限定的であるが、ガイドラインの制定や、参入メーカーや代理店展開を行っているソリューションベンダーの積極的な展開により、今後の伸びが期待される。

◆調査対象

設計・製造・販売システム・ソリューション

・PLM/PDM
・機械系3D CAD・CAM
・CAE
・生産フロー全体シミュレーション
・生産プロセスシミュレータ(組立製造ライン向け)
・MES
・生産管理システム
・ERP(製造業向け)
・WMS
・ローコードプラットフォーム(製造業向け)

生産現場システム・ハードウェア

・ダッシュボード(製造業向け)
・SCADA(製造業向け)
・生産スケジューラ
・スマートグラス
・樹脂3Dプリンター
・金属3Dプリンター
・ハイブリッド複合加工機
・リニア搬送システム

PAシステム・ソリューション

・DCS
・プロセスシミュレータ
・LIMS
・QMS
・EAM
・CMMS

ネットワーク・セキュリティ

・FA無線システム
・産業用マネージドスイッチ
・産業用セルラー基地局
・産業用ファイアウォール
・不正侵入検知システム(OT-IDS)
・USB型ウイルス検索・駆除ツール
・データダイオード

注目サービス・ソリューション

・モノづくりマッチングサービス
・オンデマンド部品調達サービス
・図面管理・検索システム


2025/10/23
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