PRESSRELEASE プレスリリース
脱炭素に関するアンケート調査を実施
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、脱炭素目標達成に向けた製造業のエネルギー消費や脱炭素動向化を調査した。その結果を「産業施設・工場におけるエネルギー消費の実態総調査 2025」にまとめた。
この調査では、主要20業種を対象にエネルギーの利用用途・消費状況を詳細に整理・分析し、電化技術の導入や電力・燃料の脱炭素化などによるエネルギー消費量の変化やそれに伴うCO2排出量の変化を予測した。
◆調査結果の概要
■主要20業種におけるエネルギー消費量とCO2排出量

【エネルギー消費量】
2022年度の最終エネルギー消費量(原料用除く)は483万TJであり、2050年度には微減の479万TJが予測される。脱炭素に向けて、各種証書やグリーン電力購入などが進むとみられるが、中長期的には電化技術の活用が有望視され、より一層の電化の進展や脱炭素に向けた積極的な設備投資が進められることで、電力の比率は2022年度の23.2%から2050年度には39.7%に増加すると予測される。
なお、電化技術の中では、経済性の高さや導入障壁の少なさから、洗浄を中心とした低温熱プロセスを中心に温水HPが普及するとみられる。また、乾燥プロセスを持つ業種では熱風HPの普及も期待される。電気加熱は、様々な温度帯への対応が可能であるが、膨大な電力を必要とするため、電力系統設備の増強が必要となることや、燃焼設備に比べて設備が高額な点が課題となっている。
【CO2排出量】
2022年度のCO2排出量は、最終エネルギー消費量ベースで4.0億t-CO2であり、2050年度には一部熱需要の電化、電力のカーボンニュートラル化、一部燃料のグリーン化により、2022年度比57.5%減の1.7億t-CO2が予測される。
2030年度以降は、各種証書やグリーン電力などにより電力由来のCO2排出量は大幅に減少するとみられる。2050年度には系統電力でのカーボンニュートラルが達成されることで、電力由来のCO2排出量は0t-CO2が予測される。
燃料+蒸気は、電化により消費量が減少することに加え、天然ガス系燃料やLPGでは、e-メタン、グリーンLPGなどグリーン燃料が増加することにより、2030年度以降排出量の減少が予想される。しかし、石炭系や石油系燃料の使用量が多いため、引き続き燃料転換がCO2排出量減少に向けた重要な対策になるとみられる。
◆アンケート調査結果
エネルギー管理等指定工場のエネルギー管理担当者に対して、工場でのエネルギー消費に関する設問に加え、脱炭素目標の設定状況や、CO2排出量削減の動機、課題、脱炭素設備へのコスト許容度、DR実施状況などについてアンケート調査を実施した。製造業20業種274事業所から回答を得た。
●脱炭素目標の設定状況(SA/n=274)

省エネ法の遵守、カーボンニュートラルの達成、2030年政府目標の達成といった回答が多かった。その他は、ほかの脱炭素目標を設定しているという回答であり、何かしらの脱炭素目標を設定している事業所が9割以上であった。
業種別にみると、一般機械器具、非鉄金属、化学(医薬品)、ゴム製品は、カーボンニュートラルの達成を目標に掲げる事業所が多い。食料品やパルプ・紙・紙加工品は、2030年政府目標(2013年度比46%削減)や省エネ法の遵守にとどめる傾向がみられる。
なお、カーボンニュートラルの達成について、達成予定時期の回答として多かったのは、2030年代と2050年がそれぞれ4割弱であり、業種別には、非鉄金属や一般機械器具、輸送機械器具は2030年代と、早期に設定しているケースが多かった。
●CO2排出量削減の動機・背景(MA/n=274)

省エネ法遵守が最も多い回答であった。このほか、企業価値向上も省エネ法遵守に次ぐ理由として挙げられ、業種別では清涼飲料、化学(医薬品)、ゴム製品、非鉄金属、一般機械器具、電子部品による回答が多かった。
3番目に多い理由として挙げられたのは製品付加価値向上であり、特に回答の多かった業種は、主に自動車関連の取引先からの要請があるゴム製品、SAFをはじめとするカーボンニュートラル製品への取り組みを進める石油製品・石炭製品であった。
●CO2排出量削減において期待しているエネルギー(MA/n=274)

再エネ電源+電気加熱が最も多い回答となった。調達電力の脱炭素化によるCO2排出量削減を志向する事業所は多く、業種別にみるとプラスチック製品、非鉄金属、輸送用機械器具(自動車)で期待度が高いことが伺えた。
燃料では、大幅な設備更新が不要とされるメタネーション都市ガス・LNGが最も多く挙げられた。カーボンニュートラル燃料では水素への期待が高く、業種別には繊維、プラスチック、輸送用機械器具(自動車)ではメタネーション都市ガス・LNGよりも水素への期待が上回っている。
また、アンモニアは化学(無機)、化学(有機)、石油製品・石炭製品では水素と同程度期待されているが、その他の業種では水素を下回っている。バイオマスは食料品全般、酒類、パルプ・紙・紙加工品で期待度が高く、産業廃棄物の有効利用への関心が背景にあるとみられる。
●CO2排出量削減における課題(MA/n=274)

設備改修コストの回収が困難であることが最も多く課題として挙げられた。これまで様々な省エネ施策を行った結果、投資回収年数の短いものは一通り終了したという事業所も多い。設置場所など施設事情の制約も大きな課題となっているほか、設備管理の負担増加、設備回収期間の確保が困難、人員の不足といった理由も挙げられた。
◆調査対象
・食料品(調理品(中食))
・食料品(調味料)
・食料品(パン・菓子)
・飲料・たばこ・飼料(清涼飲料)
・飲料・たばこ・飼料(酒類)
・繊維
・パルプ・紙・紙加工品
・化学(無機)
・化学(有機)
・石油製品・石炭製品
・プラスチック製品
・ゴム製品
・窯業・土石製品
・鉄鋼
・非鉄金属
・一般機械器具
・電子部品・デバイス・電子回路
・輸送用機械器具(自動車)
調査対象:エネルギー管理等指定工場のエネルギー管理担当者 製造業20業種274事業所
調査方法:電話、Mailによるアンケート調査
調査期間:2025年4月~5月
