PRESSRELEASE プレスリリース
■宇宙関連ビジネス 23兆3,374億円(12.2倍)
2035年頃から急伸する宇宙旅行・有人P2Pサービスが拡大をけん引
●ロケット/スペースプレーン 4兆3,135億円(7.1倍)
2035年頃から再使用型の有人スペースプレーンが急伸
●衛星データサービス 4兆4,240億円(7.5倍)
多様なサービス創出により民間需要が大幅に増加
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、ロケットや人工衛星などの宇宙製品と、衛星データサービスや宇宙旅行・輸送サービスなどの宇宙利用サービスを対象とした宇宙関連ビジネスの世界市場を調査した。その結果を「2025年版 宇宙ビジネス市場の将来展望」にまとめた。
この調査では、宇宙製品・機器8品目、宇宙利用サービス7品目の市場について、現状を捉え、将来を予想した。また、各政府・参入企業の動向や宇宙関連のビジネスロードマップに関して整理した。
◆調査結果の概要
■宇宙関連ビジネスの世界市場

現状は、ロケット/スペースプレーン市場と衛星データサービス市場の規模が大きい。ロケットは、スタートアップや異業種も含め多くの事業者が積極的に展開しており、今後も順調に伸びるとみられる。衛星データサービスは国家の安全保障用途として安定的な需要があり、現状は官需要が8割以上を占めるが、今後は民間需要の増加も期待される。
当面はロケットの再使用技術や人工衛星の量産化技術など製品開発を軸に進行し、2030年頃から製品技術の進展に伴い様々な宇宙利用サービスが展開されると予想される。2035年頃には各サービスの品質が向上すると共に民間需要の増加により収益化が本格化し、2040年頃には宇宙港/ロケット発射場などの宇宙インフラが整備されることから、宇宙空間を活用した高速移動サービス(有人P2Pサービスなど)の展開、また、宇宙空間での先端材料の生産が進むなど、宇宙利用が浸透するとみられる。
【宇宙製品・機器】
現状、ロケット/スペースプレーンが約6割、人工衛星が3割以上を占める。今後、人工衛星が通信衛星を中心に急伸し、2040年にはロケット/スペースプレーンと共に4兆円超の市場規模への成長が予想される。構成する機器としては、光無線通信端末の占める割合が大きい。無線周波の代わりにレーザー光を用いる光無線通信端末は、高速・大容量通信が可能で周波干渉も防げるため、更に活用が進むとみられる。
【宇宙利用サービス】
衛星データサービスが宇宙利用サービスの約6割を占めている。現状のニーズは国の安全保障用途が主軸であるが、今後は民間需要の大幅な伸長が予想される。2040年に向けて、宇宙旅行・有人P2Pサービスが大きく伸びる。スペースプレーンの実用化や水平離着陸が可能な宇宙港の増加により有人P2Pサービスが可能となり、新たな交通手段としての活用が期待される。
◆注目市場
●ロケット/スペースプレーン

ロケットエンジンを推進力とし人工衛星や宇宙探査機などを搭載、また、有人輸送を目的とする輸送システムを対象とする。使用法として、使い捨て型と再使用型に大別され、また、有人と無人、機種としてロケットと航空機型形状のスペースプレーンがある。
使い捨て型は、ロケットの回収や整備費用よりも製造コストが抑えられることから、小型ロケットを中心に需要増加が予想される。今後、小型ロケットの打上げ費用低下や短納期化により、人工衛星を保有・運用する企業のすそ野が広がり、それに伴う需要増加が期待される。一方、再使用型は大型ロケットとの相性が良く、繰り返し使用することで打上げコストが削減されるメリットがある。人工衛星の大型化や衛星コンステレーションの拡大、月への物資輸送が必要となることから、大型化ニーズの拡大とともに再使用が進むとみられる。
打上げ回数についてはすでに再使用型ロケットが全体の半数を超えているものの、製品市場として捉えると、使い捨て型ロケットの方が再使用型ロケットの市場を大きく上回る規模となっている。
現在、通信衛星の打上げ需要がロケットの生産台数を大きく上回り、打上げ需要を捌き切れず、順番待ちが発生している状況が続いている。打上げ需要は年々増加しているため、それに伴う大幅な市場拡大が予想される。
また、現状では人工衛星や探査機、ISS(国際宇宙ステーション)などへの物資運搬といったモノの打上げが大半を占めるが、2035年頃には有人スペースプレーンのフライトが本格化し、有人P2Pサービスが旅客機利用の一部置き換えとして普及が進むとみられる。2040年には数十名が搭乗できる大型スペースプレーンの登場が期待される。
●衛星データサービス

地球観測衛星から得た観測データを販売するサービスである。これまでは光学センサーを搭載した光学衛星の利用が中心であったが、技術向上に伴いSAR(合成開口レーダー)衛星の活用が進んでいる。光学衛星は、天候によっては地上の様子を観測できない場合がある一方、SAR衛星は雨天・曇天時、夜間での観測が可能な点でメリットがある。人工衛星のコストダウンや規制緩和、SAR衛星の小型化、センサー技術の向上などにより、近年はスタートアップのビジネス参入が増えている。
現状、建設施工の進捗や地盤変動、気候変動、鉱山採掘、森林管理などといった直接的な監視・モニタリング活用が多いが、今後はデータアーカイブの蓄積やAI活用の進展により、高度な推定や予測が可能となるため、様々なサービスの創出とニーズ拡大が予想される。現在は約8割が軍事用途を中心とした官需要であるが、上記のように、多様なサービスの登場などにより民間需要が大きく伸び、2040年には民間需要が官需要を上回るとみられる。
●宇宙旅行・有人P2Pサービス

大気圏外または成層圏へ滞在・遊覧する民間宇宙旅行として、ロケットで地球を周回する軌道に入るオービタル旅行、スペースプレーンなどで高度100km程度(大気圏と宇宙のはざま:カーマンライン)まで上昇し宇宙空間に数分間滞在するサブオービタル旅行、ガス気球で高度10km以上(成層圏)まで上昇し数分から数時間ほど景色を楽しむ宇宙遊覧などを対象とする。
ここでは、カーマンライン付近を通過して2拠点間を高速移動する有人P2Pサービス(高速二地点間輸送)を含める。このサービスは、地球上のあらゆる地点に2時間以内で移動できると想定され、新たな移動手段として注目される。
現状、オービタル旅行とサブオービタル旅行が展開されており、2025年の市場は250億円が見込まれる。民間事業者による地球に近い低軌道周辺のエリアでのサービスが今後活発化するとみられる。有人P2Pサービスはすでに10社程度が参入計画を進めており、2035年以降に本格展開が予想される。新たな交通手段として期待され、2040年には市場の6割を超える3兆円規模に成長するとみられる。
◆調査対象
宇宙製品・機器
・宇宙港/ロケット発射場・ロケット/スペースプレーン
・人工衛星
・人工衛星用太陽電池パネル
・人工衛星用電池
・光無線通信端末
・宇宙用作業ロボット
・月面水素製造装置/推薬生成プラント
・月面建設機械
・月面探査ローバー
・地上局アンテナ
宇宙利用サービス
・衛星データサービス・軌道上サービス
・宇宙ステーションサービス
・宇宙保険
・宇宙食
・宇宙旅行・有人P2Pサービス
