PRESSRELEASE プレスリリース

第25111号

太陽電池と関連ビジネスの市場を調査
― 2040年度国内市場予測(2024年度比) ―
●住宅向け初期費用ゼロモデル  1,278億円(4.0倍)
短期的には太陽光発電システムの設置義務化や導入補助で拡大
長期的にも太陽光発電システムの導入・使用を促す政策により市場が活性化
●建材一体型太陽電池(ガラス基板型BIPV)  1,958億円(93.7%増)
建物への太陽光発電の設置増加で拡大。ペロブスカイト太陽電池の採用先として注目

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、サービス提供事業者が初期費用を負担するPPAやリースが活況となっているほか、ペロブスカイト太陽電池(PSC)を筆頭とする新型・次世代型にも注目が集まる太陽電池関連市場を調査した。その結果を「2025年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、太陽電池と周辺機器やアプリケーション、関連ビジネス、製造技術、部材、製造装置などの関連市場について最新の動向をまとめ、将来を展望した。

◆注目国内市場 ※全て年度(4月~3月)

●住宅向け初期費用ゼロモデル(PPA、リース、割賦)

住宅向け初期費用ゼロモデル(PPA、リース、割賦)

初期投資なしで太陽光発電システムを設置し、発電した電気を利用できる住宅向けのサービスを対象とする。需要家や施工者ではない第三者が太陽光発電システムを所有(設備投資)することから「第三者所有モデル(TPO)」とも呼ばれる。事業者の太陽光発電システムに関わる売上を対象に累計で算出している。

家庭向け電気料金とFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の売電価格が逆転し始めた2010年代後半に、月額料金が安価になるPPA(Power Purchase Agreement)を中心にサービスの注目度が高まり、市場はサービスの周知に伴って拡大してきた。電気料金の高騰などによって消費者ニーズが高まり、地方自治体が太陽光発電システムの設置義務付けや設置推進・補助支援を行うことで市場拡大に拍車をかけている。特に2025年4月より東京都で義務化が始まったこともあってサービスの注目度が高まっており、地方自治体の補助金政策が奏功して初期費用ゼロモデルの採用が増えている。

今後は太陽光発電システムの設置義務化と設置費用の補助金政策により、ユーザーの利用負担が軽減されるこことから新築戸建住宅向けの導入形態として普及し、順調な拡大が予想される。中長期的にも太陽光発電システムの導入や利用を促すエネルギー政策を背景に、成長が続くと期待される。

事業モデル別では、PPA、リース、割賦に大別でき、近年ではよりシンプルなスキームで制約の少ないリースや割賦が伸びている。特に都市部では導入支援策が充実していることやエネルギー供給事業者の競合が激しいこと、蓄電システムやV2Hなどの制約を望まない顧客が導入しやすいことからリースが増加傾向にある。

PPAは先行して市場が立ち上がったが、太陽光発電システムの設置費用上昇やFITの買取価格低下で収益化が難しくなりつつある。このため参入企業でも新規受付停止やリースへ転換するケースがみられるものの、月額の料金負担が割安であるため経済志向の強い消費者からは堅調な需要がある。

●法人向けPPAモデル

法人向けPPAモデル

法人が太陽光発電システムを設置する事業者と電力購入契約を締結するPPAモデルを対象とする。需要家の敷地内に発電システムを設置するオンサイトPPAや需要場所以外に発電システムがあるオフサイトPPA(フィジカル)、環境価値のみを取引するオフサイトPPA(バーチャル)などがある。市場は、発電した電力を顧客が自家消費した分の電気料金と余剰電力の売電収益を対象とし、累計金額で算出している。

近年、需要家では電気料金の負担軽減や脱炭素化といったニーズが高く、発電事業者ではFITによる売電主体の案件の一巡や太陽光発電システムの導入適地減少といった課題が出ている。両者の志向が一致する形でPPAが増加しており、エネルギー供給事業者など資本力のある企業の参入が相次いだことで市場は勢いを増しており、2040年度に向けて大幅に拡大すると予想される。

現状はオンサイトPPAが多く、初期投資ゼロが決め手となってこれまで設置が見送られてきた建物への導入が増えている。新築建物でも太陽光発電システムの設置が一般化し、地域によっては設置が義務化される中、初期投資ゼロのPPAのニーズが高まっている。

近年オフサイトPPAも増加しており、再エネ電力の需要が急増しているデータセンター向けはオフサイトPPAが主流である。オフサイトPPAには広大な土地の開発が必要であるが、資本力のある事業者が注力することで高い伸びを維持するとみられる。また、環境価値の需要増と価格上昇から大企業を中心にバーチャルPPAのニーズも高まっており、今後の成長が期待される。

●建材一体型太陽電池(ガラス基板型BIPV)

建材一体型太陽電池(ガラス基板型BIPV)

屋根材や窓ガラスなどの建材に組み込まれた太陽電池モジュールを対象とする。現状、新築住宅向けの屋根材一体型の結晶シリコン太陽電池がほぼ100%の市場であり、その他は実証段階にある。

市場は長らく安定的に推移していたが、2020年度以降に大手ハウスメーカーが大容量BIPVと蓄電システムを搭載した新築戸建住宅を拡販したことで大きく伸びた。今後は新築住宅への太陽光発電システム搭載率を定めた政府目標や、地方自治体による太陽光発電の設置義務化が市場を後押しするとみられる。将来的にはペロブスカイト太陽電池の採用先として注目されており、耐候性の高いガラス基板型が有力とみられる。

市場には含めていないものの、フィルム基板型でも実証が進められている。フィルム基板型の市場形成は2020年代後半から2030年度以降とみられ、屋根材や窓ガラスなど、建材の種類によって耐候性や美観性などに最適化された製品への採用が進むと予想される。

◆調査結果の概要

■太陽電池の世界市場(年次:1月~12月)

太陽電池の世界市場(年次:1月~12月)

出力ベースの市場は近年大幅に拡大しており、2024年は前年比30%以上、2025年は同10%以上の拡大が見込まれる。一方金額ベースでは、2024年、2025年ともに前年割れになるとみられる。参入各社が急速に生産増強を進めたことで供給過剰に陥り販売価格が下落したことが要因となっている。

現状、生産について中国への一極集中が問題視され、各国で自国生産への切り替えが顕在化している。特に米国においては税額控除などの措置もあって、ポリシリコンやセル、ウエハーも含めた太陽電池関連の国内生産が増加している。

中長期的には、米国やインドなど中国製品以外の割合増加、企業淘汰や大規模集約化、業界内での生産調整が進むことにより、販売価格は上昇していくとみられる。世界的なエネルギー需要の増加を背景に、2030年に約28兆円に成長し以降は安定的な市場推移が予想される。

種類別では結晶シリコン系が金額ベースで90%(PSCタンデム型を含む)を占めており、将来的にも90%前後を占めるとみられる。結晶シリコン系の中では近年変換効率の高いN型が急速に普及し、2023年にP型を逆転して太陽電池モジュールの主流となった。P型は将来的にN型やPSCタンデム型、薄膜系へ移行していくとみられる。ペロブスカイト太陽電池などの薄膜系の市場は2025年に1兆円を超えると見込まれ、2040年に向けて大きく拡大していくと予想される。

■太陽電池の国内市場(年度:4月~3月)

太陽電池の国内市場(年度:4月~3月)

国内で販売される太陽電池モジュール(単結晶・多結晶シリコン、GaAs、ペロブスカイト、PSC/c-Siタンデム型、他)を対象としている。

国内の太陽電池市場は、FITの導入により売電を目的として2015年度までに急拡大した背景があり、FIT案件の減少により2015年度をピークとして縮小が続いてきた。2021年度から2022年度には一時的に伸びたものの、2023年度以降は再び縮小している。

2025年度も市場縮小が続くとみられる。特に500kW以上の非住宅用が、前年度からのFIT受注残案件およびFIT新規獲得案件の減少の影響により苦戦している。一方の住宅用は、新築戸建住宅でのZEH普及や蓄電システムとのセット販売により出力ベースは微増するが、単価下落の影響から金額ベースでは減少するとみられる。  

将来的には再エネの主力電源化や脱炭素に向けた政策の支援を受けて市場は拡大に転じると予想され、2030年代後半には既存設備の更新やリパワリングで市場が活性化することが期待できる。

非住宅用はFIT案件の減少が底を打ち、2025年度で下げ止まりの様相にある。今後は自家消費やPPAを目的とした販売によって出力ベースの市場は伸長、ポリシリコンの価格上昇や中国政府による増値税(付加価値税)の還付率引き下げなどを背景とした値上げで単価が上昇しているため金額ベースでも伸びが予想される。

住宅用は、東京都や神奈川県の一部などで新築時の太陽電池モジュール(太陽光発電システム)の導入が義務化されるなど、普及促進政策が進んでおり2020年代後半は成長が続くと予想される。将来的には人口減少に伴う新築住宅着工件数の減少により市場は縮小していくとみられる。

◆調査対象

【国内市場】太陽電池・周辺機器
・太陽電池
・新型・次世代太陽電池
・軽量型結晶シリコン太陽電池
・パワーコンディショナ
・遠隔監視システム
・架台
・蓄電システム

【国内市場】太陽光発電システム
・住宅用太陽光発電システム(戸建、集合住宅)
・非住宅用太陽光発電システム

【国内市場】アプリケーション
・住宅向け初期費用ゼロモデル(PPA、リース、割賦)
・法人向けPPAモデル
・営農型(ソーラーシェアリング)
・ソーラーカーポート
・水上太陽光発電
・建材一体型太陽電池(BIPV)
・垂直設置型太陽光発電

【国内市場】ストック向け注目ビジネス
・O&Mサービス
・リユース・リサイクル・適正処理

【世界市場】太陽電池
・結晶シリコン系(PSCタンデム型、N型、P型など)
・薄膜系(CIS/CIGS、CdTe、a-Si、色素増感、有機薄膜、ペロブスカイトなど)
・高付加価値・特殊型太陽電池(PSCタンデム型、両面発電型、ダブルガラス、フレキシブル、建材一体型(BIPV))

【世界市場】太陽電池部材/製造装置
・シリコンインゴット/ウエハー
・裏面保護材(バックシート、裏面ガラス)
・封止材
・電極ペースト(銀ペースト)
・透明導電性基板
・PSC発電層(ペロブスカイト材)
・シリコン太陽電池製造装置(ワイヤーソーなど)
・PSC製造装置(真空蒸着、塗布、スパッタなど)


2025/11/12
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