PRESSRELEASE プレスリリース
自動運転技術の進歩や様々な自動車サービスの向上に貢献する
■SDV関連 61兆8,082億円(2.9倍)
自動車メーカーの注力により2030年以降大幅な伸び。サービスを中心にOTA対応が増加
●統合コックピット 2兆7,803億円(3.9倍)
安全性や快適性に寄与するシステムとしてニーズが拡大。EV普及が進む中国が先行
●ビークルOS 31億円(6.2倍)
研究開発の効率化に貢献するため自動車メーカーの取り組みが進む
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 代表取締役 稲葉 視朗 03-3241-3490)は、現状は限定された展開にとどまるものの、自動車の機能を常に最新に保ち、様々なサービス提供などでユーザーの満足度向上に貢献できることから注目されるSDV(Software Defined Vehicle)関連の世界市場について調査した。その結果を「SDVで変わる通信の進化とサービス市場の将来展望 2026」にまとめた。
この調査では、SDVに関連するソフトウェア7品目、ハードウェア10品目、サービス13品目の市場について、現状を把握し、将来を予想した。また、自動車メーカー10社のSDVに関連する取り組みについても整理した。なお、SDV関連の各品目にはOTA非対応の製品も含めた。
◆調査結果の概要
■SDV関連の世界市場

SDVは、自動車の主要な機能がソフトウェアによって定義され、購入後もOTA(Over The Air:無線通信でソフトウェアを更新する仕組み)を利用したアップデートにより、機能性が向上、改善、追加される車両である。自動運転機能やエンターテインメント機能の高度化、新たなサービス展開などが可能となる。そのため、各自動車メーカーが開発に注力しており、2030年以降、市場は急拡大すると予想される。
サービス(2025年見込:8兆4,803億円)は、現状、OTA非対応の利用ベース保険(UBI)や車載決済(In-Vehicle Payment)の占める割合が大きい。UBIは車両の走行距離や運転の挙動などをテレマティクスデータとして取得しそれに基づき保険料の算出を行うサービスで、欧米を中心に利用が拡大している。また、スマートフォンなどと同様に自動車そのものを決済端末として活用する車載決済の取り扱い金額は年々増加している。
OTA対応では、車両を監視しサイバー攻撃を検知・通知・対応支援を行う車両セキュリティオペレーションセンターの市場規模が大きく、2025年時点で2,000億円を超えると見込まれ、今後も車両のサイバーセキュリティニーズに合わせて需要増加が予想される。AI技術を活用してドライバーの運転支援や快適性の向上、エンターテインメント機能の提供を行うAIアシスタントは、現状OTA非対応が多いが、今後はリアルタイム更新を可能とするOTA対応を中心に大きく伸びるとみられる。長期的には、ユーザーが自動運転のタクシーやバスなどを利用する自動運転移動サービスが、北米や中国を中心としてタクシーを軸に急伸し、また、動画や音楽、ゲームなどの最新コンテンツも楽しめる車載エンターテインメントなどは、自動運転の普及に伴い2030年以降から急激な伸びが期待される。
ハードウェア(2025年見込:13兆3,747億円)は、現状、機器間を接続するメタルハーネスが6割以上、ディスプレイが1割程度を占めているが、大部分がOTA非対応である。
OTA対応では、車両全体を制御するセントラルコンピューター、メーターやヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示を総合制御する統合コックピットなどが、今後SDVの中核として大きく伸びるとみられる。また、テレマティクス制御ユニット(TCU)は、ECUからの情報を受信し車両と外部の情報通信を双方向で行う通信制御装置として、SDVの高度化に伴い2030年以降の伸びが予想される。長期的には、OTA対応の高速データ通信規格対応ハーネスや、パーソナライズが可能なディスプレイなども伸びるとみられる。
ソフトウェア(2025年見込:2,811億円)は、現状、各品目でOTA非対応が中心であるが、中長期的にはOTA対応の伸びが予想される。
車載ソフトウェアのセキュリティ基盤となる認証ソフトウェア/プラットフォームが約8割を占めている(2024年時点)。現状は非OTA対応が多いが、サイバー攻撃の防御を行う車載ソフトウェアのアップデートは不可欠なため、今後OTA対応製品の需要が高まるとみられる。自車位置や周囲の状況などの情報を整合的に活用できるダイナミックマップも現状は非OTA対応が多いが、自動運転の普及に伴いリアルタイムの情報取得が必要となるため、OTA対応が今後の大幅な伸びが予想される。OTA対応が前提のビークルOSは、自動車メーカーを中心に開発が進み利用が増えるとみられる。また、セキュリティに関わるマルウェア対策ツールや、通信の監視を行い不正アクセスや攻撃を検知した際に遮断するIDS/IPSも順調な伸びが期待される。
◆注目市場
●統合コックピット

CDC(Cockpit Domain Controller)によって統合制御されるコックピットシステムを対象とした。CDCは、メーター表示情報(車速、ガソリンやバッテリーの残量、各種警告灯など)や、CID(Center Information Display)やHUDの表示情報、さらにはADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)やDMS(Driver Monitoring System)なども含めたさまざまな情報を統合的に制御する。
安全性や快適性に寄与するシステムであり、車両設計の面でも機能連携の効率化を図れるため、今後の需要増加が予想される。また、ユーザーに合わせた機能やコンテンツの提供などのパーソナライズ化が可能になるため、利便性の向上も期待される。
特に、自動車機能が一つのドメインECUに統合されるドメインアーキテクチャーの採用が進むEVでの搭載が進み、EVの普及に伴う市場拡大が予想される。現状、この製品との親和性が高いEVの販売が多い中国の市場が大きく、中長期的にも市場をけん引するとみられる。北米や欧州でもEVの高級車を中心に採用が広がりつつある。日本はEVの普及が進んでいないため搭載車種が限定されているが、2026年以降に次世代E/Eアーキテクチャーが採用される車種が増えることで大幅に伸びるとみられる。
●ビークルOS

大手自動車メーカーを中心に効率化と高性能の両立を目的とした専用OSの開発が進められている。市場は自動車メーカーが開発する専用OSを対象とし、ECU1個当たりのソフトウェアライセンス料で捉えた。
電動化やADAS/自動運転化の進展、OTAによるソフトウェア更新の機能を追加していく上で、独自のOSを基盤としたソフトウェア構築が研究開発の効率化につながるとする考えに基づき、専用OSの開発に取り組む自動車メーカーが増えている。現状は一部自動車メーカーのEVを中心に搭載が進んでいるが、自動車メーカーの積極的な展開により、2026年以降は搭載車種がさらに拡大すると予想される。
一方、自動車メーカーがそれぞれ異なるOSを開発・活用することは、人材確保や費用面から大きな負担になることから、自動車業界全体の研究開発の効率低下につながらないかが懸念されている。そのため、将来的には複数の自動車メーカーで共有できるOSを志向する動きが強まり、OTA対応車両やSDVの普及とともに共有型ビークルOSの需要が増えるとみられる。
◆調査対象
ソフトウェア
・車載OS・ビークルOS
・認証ソフトウェア/プラットフォーム
・SBOM関連ツール
・マルウェア対策ツール
・IDS/IPS
・ダイナミックマップ
ハードウェア
・セントラルコンピューター・TCU
・アンテナ
・eSIM
・統合コックピット
・プレミアムサウンドシステム
・ディスプレイ
・プロジェクター(HUD)
・DMS/OMS
・ハーネス(メタル/光)
サービス
・コネクテッドサービス・自動運転サブスクリプション
・快適装備サブスクリプション
・AIアシスタント
・車載決済(In-Vehicle Payment)
・パーソナライズ制御システム
・データ利活用サービス
・車載エンターテインメント
・自動運転移動サービス
・遠隔操作
・V-SOC(車両セキュリティオペレーションセンター)
・利用ベース保険(UBI)
・サイネージ
自動車メーカー企業事例
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