PRESSRELEASE プレスリリース

第26026号

車載電池の放熱部材として使用される
TIM(Thermal Interface Material)の世界市場を調査
― 2035年世界市場予測(2024年比) ―
■車載電池用TIM 1,524億円(176.4%)      
接着性能付きの放熱ギャップフィラーが拡大をけん引。放熱接着剤も堅調な伸び
採用されるフィラーは水酸化アルミニウムが主軸に。アルミナは一部で需要を維持

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、EVに搭載される駆動用電池の増加とともに、重要視される熱対策として注目される放熱部材である、車載電池用TIM(Thermal Interface Material)の世界市場を調査した。その結果を「車載電池TIM×フィラー市場の実態と将来分析」にまとめた。

この調査では、車載電池用TIMとして放熱ギャップフィラー、放熱接着剤、放熱シートの各市場の現状を捉え、将来を予想した。また、TIM向けフィラー(充填剤)として、アルミナ(球状・丸み状、低ソーダ)と水酸化アルミニウムの市場動向についても整理した。
※xEVに搭載される駆動用リチウムイオン電池(LiB)に使用されるTIMを対象とする

◆調査結果の概要

■車載電池用TIM(Thermal Interface Material)の世界市場

車載電池用TIM(Thermal Interface Material)の世界市場

現状、放熱ギャップフィラーが約8割を占めている。電池セルとモジュールの隙間や、パック内部の凹凸部の充填で使用されており、電池製造工程の自動化に適している点などが評価されている。熱伝導率別では3W/m・K以下製品が主に使用されている。1台あたりの使用量が多く、ユーザーのコスト要求が強いため、価格競争は激化している。また、電池セルをバッテリーケースに直接固定するセルtoパック構造が急速に普及しているため、接着性能付き製品の需要が高まっており、今後は大部分の製品が接着性能を有するようになるとみられる。

放熱接着剤は、狭小スペースでの定着性や構造の固定性に優れるため、角形電池と比較してセル間の隙間が不均一な円筒形・ラミネート形電池での採用が増えている。また、電池の高出力化やモジュールの小型・高密度化に伴いセルを車体に直接組み込むセルtoボディ構造では、接着性がより高い放熱接着剤が採用されるケースが多い。

放熱シートはかつて主流であったが、放熱ギャップフィラーへのシフトが進んだことで、現在は限定的な採用にとどまる。しかし、リサイクルの簡便性や扱いやすさに利点があるため、一定の需要を獲得している。

今後、電池セル形状の多様化や、セルtoパック、セルtoボディ構造の普及により、接着性能付き放熱ギャップフィラーや放熱接着剤の需要が増えるとみられる。市場は放熱ギャップフィラーがけん引し、今後も8割以上を占めると予想される。また、放熱接着剤も大幅に需要が増え、2035年には2024年比で60%以上の伸びが期待される。

■車載電池用TIM向けフィラーの世界市場

車載電池用TIM向けフィラーの世界市場

アルミナ(球状・丸み状、低ソーダ)、水酸化アルミニウムを対象とする。水酸化アルミニウムを中心に日本メーカーが存在感を見せている。

従来はアルミナが主流であったが、車載電池セルの発熱量はそれほど大きくないため、安価でスペックを満たせる水酸化アルミニウムへのシフトが加速している。2023年頃からユーザーのコスト重視が進んだことも要因である。また、水酸化アルミニウムの比重はアルミナと比べて低いため、TIMの軽量化が可能になることも利点である。球状アルミナは、熱導電率が3W/m・K以上の高スペックが求められる場合に使用されるため、需要が減少している。

今後も水酸化アルミニウムへのシフトが続き、特に放熱ギャップフィラーでは、2035年には8割以上(数量ベース)で使用されるとみられる。一方、アルミナの需要は縮小が続くと予想される。

自動車メーカーは、電池の発熱量が増大した場合でも、TIMとは異なる冷却方法による放熱設計で対応を進めている。そのため、電池におけるTIMに対する高熱伝導率ニーズは小さく、今後も1Wから2W/m・K程度の熱伝導率の低い製品が需要の中心になるとみられ、水酸化アルミニウムの使用が進むと予想される。また、電費向上のためTIMにも軽量化が求められていることも、使用増加の要因である。ただし、放熱フィラーとして使用できる製品は、日本メーカー製品などに限られるため供給不足が懸念されており、その不足分をアルミナで補う可能性もある。

◆調査対象

TIM
・放熱ギャップフィラー
・放熱接着剤
・放熱シート

フィラー
・アルミナ(球状・丸み状、低ソーダ)
・水酸化アルミニウム


2026/3/13
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