PRESSRELEASE プレスリリース

第26031号

ケミカルリサイクル、バイオマス、CO2、アルコール由来の
カーボンニュートラル基礎化学品の市場を調査
― 2050年世界市場予測(2024年比) ―
■カーボンニュートラル基礎化学品 88兆6,542億円(5.6倍)
燃料用途中心のバイオマス由来品の規模が大きいが、
化学品用途ではケミカルリサイクル由来品が主軸
●ケミカルリサイクル由来品 3兆6,658億円(27.0倍)
熱分解油やケミカルリサイクル由来ナフサが大きく伸びる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、既存技術によるCO2排出削減が困難とされる化学産業のうち、特に製造過程で大量の温室効果ガス(GHG)を排出するものの、新たな技術で対応が進む基礎化学品のカーボンニュートラル化(カーボンニュートラル基礎化学品)の世界市場を調査した。その結果を「カーボンニュートラル基礎化学関連市場の現状と将来展望 2026」にまとめた。

この調査では、カーボンニュートラル基礎化学品としてケミカルリサイクル由来品3品目、バイオマス由来品5品目、CO2由来品3品目、アルコール由来品1品目、また、カーボンニュートラル基礎化学品の製造に関わる変換・合成プロセス技術10品目の世界市場を分析し、将来を予想した。

◆調査結果の概要

■カーボンニュートラル基礎化学品の世界市場

カーボンニュートラル基礎化学品の世界市場

熱分解油、ケミカルリサイクル由来ナフサ、解重合モノマー、バイオメタノール、バイオエタノール、バイオガス/バイオメタン、バイオマスナフサ、バイオマスモノマー、CO2由来合成ガス、e-メタン、e-メタノール、メタノール・エタノール由来化学品を対象とする。

熱分解油、ケミカルリサイクル由来ナフサ、解重合モノマーのケミカルリサイクル由来品は、化学品用途が主軸であり、欧州を中心に徐々に市場が本格化している。主に欧州でプラスチックの水平リサイクル(使用済み製品を、再び同じ製品や用途に再生する)を目的とした生産設備への投資が活性化していることから、熱分解油を中心に堅調な伸びがみられる。

バイオメタノールやバイオエタノール、バイオガス/バイオメタンなどのバイオマス由来品の市場規模がもっとも大きく、主に燃料用途での実用化が進んでいる。バイオエタノールは、現状バイオマス由来品の7割以上を占めるが、化学品用途は1割程度(数量ベース)である。バイオガス/バイオメタンは今後大きな伸びが予想されるが、多くは燃料用途になるとみられる。現状の市場規模は小さいが、今後大幅な伸長が期待されるのはバイオマスモノマーである。既存の基礎化学品と同様の成分であるため、ドロップイン方式でさまざまな化学品の製造プロセスに使用することが可能である。品目によっては燃料用途が大半で、化学品用途での採用は限定的となるが、多くの企業や研究機関が化学品用途の開拓を目的に製品開発や原料調達のサプライチェーン構築などを進めている。

CO2由来合成ガスとe-メタン、e-メタノールのCO2由来品は、化学品原料となるCO2由来合成ガスと、化学品や燃料となるe-メタンやe-メタノールで動向が異なる。CO2由来合成ガスは、多用途に展開可能な中間原料として実証製造が進められている段階である。e-メタンやe-メタノールは、都市ガスや船舶用など特定用途の燃料として生産規模の拡大に向けた設備投資が進められている。どちらもCO2の分離回収技術や水素の調達などで課題があるが、2030年以降大幅な伸びが期待される。

アルコール由来品は、メタノール・エタノール由来化学品を対象とする。現状、市場は立ち上がっていないが、2030年頃からバイオマスやCO2を原料としたメタノール・エタノールによる化学品製造が立ち上がるとみられ、特に中国では既存のMTO/MTP(メタノールからエチレン、プロピレンを製造する方法/メタノールからプロピレンを製造する方法)プラントにe-メタノールなどを投入する形で実用化が進むとみられる。

■変換・合成プロセス技術の世界市場

変換・合成プロセス技術の世界市場

ケミカルリサイクル(油化)、ケミカルリサイクル(モノマー化)、ケミカルリサイクル(ガス化)、合成ガス化、メタネーション、e-メタノール合成、e-エタノール合成、メタノール・エタノール変換、CO2分離回収(化学吸収法・その他技術)に関連する装置・プラントの設置費用で市場を捉えている。

現状では、CO2分離回収やe-メタノール合成が先行し、市場の7割程度を占めている。

今後の動きが注目されるケミカルリサイクルは、油化やガス化、解重合によるモノマー化など複数の手法で実用化に向けた取り組みが進められ、中でも使用量・廃棄量が多いPP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)の処理が可能で、既存の石油精製・ナフサクラッカーの設備が利用できる油化が先行している。長期的には油化に加えて、混合廃プラスチックなど雑多な廃棄物の処理が可能なガス化技術の採用拡大が予想される。現状、熱源転換やメタネーションなどは実用化に向けた技術開発の段階であるが、2030年代の商用化が期待される。

将来的にはCO2分離回収やe-メタノール合成などが市場をけん引するが、ケミカルリサイクル(ガス化)や合成ガス化なども大きく伸びるとみられる。

◆注目市場

●ケミカルリサイクル由来品

ケミカルリサイクル由来品

欧州を中心にプラスチックの水平リサイクルを目的とした設備投資が旺盛であり、食品容器包装や自動車部品、衣料品が主要用途であるほか、化粧品やトイレタリー容器での使用増加が期待される。

熱分解油は、欧州を中心に油化設備の新設案件が増えていることから、経済不況や資材高騰を背景に一部でプロジェクトの中止や遅延がみられるものの、堅調に伸びている。原料となる廃プラスチックや廃タイヤのリサイクルが可能であり、また、石油由来ナフサと比べてCO2排出を削減できる利点により、今後の使用増加が期待される。

ケミカルリサイクル由来ナフサは、国内外ともにPPやPEを中心に利用が増えている。特に欧州を中心に油化設備の新設が増加している。今後、EUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)や、ELV規則案(使用済み自動車の適切な廃棄とリサイクルの促進に関する規則)を軸にプラスチック規制への対応を図るメーカーやブランドオーナーが増加するに伴い、マテリアルリサイクルの補完としてケミカルリサイクル由来ナフサの販売が広がるとみられ、2030年以降は急激な市場拡大が予想される。

解重合モノマーは、化学的処理によって、回収した廃プラスチックを元のプラスチック原料モノマーに解重合した化学品で、原料として使用され各種CR(ケミカルリサイクル)プラスチックへ再重合して使用される。

PET(ポリエチレンテレフタレート)解重合モノマーとPA6(ポリアミド6)解重合モノマーの実用化が先行している。PET解重合モノマーは、繊維や飲料PETボトル用途を中心としたCR-PET向けで使用されており、PA6解重合モノマーは、衣料や高級カーペット用途を中心としたCR-PA6向けで使用されている。どちらも欧州や中国、アジアを中心に伸びている。PS(ポリスチレン)解重合モノマーとPMMA(アクリル樹脂)解重合モノマーは、現状での使用は限定的である。どちらも2020年代後半から解重合設備の本格稼働が開始されるとみられ、将来的には商用化に伴い需要増加が期待される。

◆調査対象

カーボンニュートラル基礎化学品

ケミカルリサイクル由来品
・熱分解油
・ケミカルリサイクル由来ナフサ
・解重合モノマー

バイオマス由来品
・バイオメタノール
・バイオエタノール
・バイオガス/バイオメタン
・バイオマスナフサ
・バイオマスモノマー

CO2由来品
・CO2由来合成ガス
・e-メタン
・e-メタノール

アルコール由来品
・メタノール・エタノール由来化学品

変換・合成プロセス技術

・熱源転換
・ケミカルリサイクル(油化)
・ケミカルリサイクル(モノマー化)
・ケミカルリサイクル(ガス化)
・合成ガス化
・メタネーション
・e-メタノール合成
・e-エタノール合成
・メタノール・エタノール変換
・CO2分離回収(化学吸収法・その他技術)

2026/3/30
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