PRESSRELEASE プレスリリース
高機能繊維18品目-自動車、航空、エネルギー分野で需要拡大、34万7,570トン(82.9%増)
パラ系アラミド繊維-新興国における需要拡大により好調、9万9,300トン(66.6%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、さらなる成長が期待される産業用高機能繊維18品目、繊維複合材料2品目の市場動向、応用製品分野別展開状況を分析、また環境意識の高まりを背景に非化石燃料由来繊維製品が好調な次世代繊維10品目の今後の方向性を捉えた。その結果を報告書「2015 高機能繊維関連技術・市場の現状と将来展望」にまとめた。
◆高機能繊維の世界市場
高機能繊維18品目 (2022年金額市場予測 1兆1,002億円)
2014年 |
2013年比 |
2022年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
19万0,050トン |
107.8% |
34万7,570トン |
182.9% |
高機能繊維市場は自動車や航空機の軽量化(金属代替)、構造の強化材としての需要、耐熱・難燃素材、エネルギー関連での需要の高まりなどを背景に拡大するとみられる。アラミド繊維や超高分子量PE繊維などは、産業分野のあらゆるシーンで需要を獲得している。しかし既存顧客への需要開拓は一巡しており、今後は新たな用途の創出や、新興国の需要開拓が課題とみられる。PAN系炭素繊維は、自動車や航空機の軽量化、高強度化に向けて採用が増加しつつあるが、量産化やコストの課題が残されており、メーカーで素材の研究、開発などが進められている。
注目市場
1.パラ系アラミド繊維 (2022年金額市場予測 3,004億円)
2014年 |
2013年比 |
2022年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
5万9,600トン |
108.8% |
9万9,300トン |
166.6% |
鋼鉄の約5倍の引っ張り強度を持ち、軽量で伸びにくく、耐熱性、耐摩擦性、耐切創性、耐衝撃性など数多くの高機能を持つ。従来、パラ系アラミド繊維はアメリカのDu Pontと帝人が市場開拓を順調に進めてきたが、近年では韓国のKolonや中国のYantai spandexなどアジア勢が注力度を強めている。需要の中心は防弾や耐切創を訴求した防護服や産業用手袋などの防護関連製品、タイヤコードやエンジンベルトなどの自動車関連部材などであり、既存用途の裾野の拡大、新規用途開発に向けた取り組みと、アジアを中心とした新興国における需要拡大が原動力となり、市場は堅調に拡大していくとみられる。
2.PPS繊維 (2022年金額市場予測 184億円)
2014年 |
2013年比 |
2022年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
1万1,200トン |
107.7% |
1万6,200トン |
144.6% |
PPS繊維はポリフェニレンサルファイド樹脂を繊維化した素材であり、非常に優れた耐熱性を持つ。耐熱性を生かし、石炭火力発電所のバグフィルターとしての採用が中心である。中国メーカーの台頭で価格の下落が続いたが、需要が高まり原料がひっ迫したことと、2015年に中国の大手PPS樹脂メーカーの経営不振で供給不足に陥ったことが重なり、一時下げ止まりとなった。今後需要の中心国である中国で大気汚染規制が強化され、またインドネシアやフィリピンなどでも石炭火力発電所の新設が進み、バグフィルターの需要も拡大するとみられる。中国メーカーの台頭がさらに進むことで価格競争が一層激化するとみられ、低価格訴求製品と機能性訴求製品で、価格の二極化が顕著になるとみられる。
◆次世代繊維の世界市場
次世代繊維10品目 (2017年金額市場予測 276億円)
2014年 |
2017年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
2,946トン |
1万1,835トン |
4.0倍 |
次世代繊維市場は企業の環境意識の高まりを背景に、非化石燃料由来繊維製品の成長が期待される。「脱石油化」の流れに乗り、部分バイオマスプラスチック繊維、セルロースナノファイバー、人造蜘蛛糸繊維などの研究開発が活発化し、いくつかの製品では本格的な市場成長期に入っている。いずれもナフサなどの化石燃料由来でない点が大きな特徴である。
注目市場
1.部分バイオマスプラスチック繊維 (2017年金額市場予測 58億円)
2014年 |
2017年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
1,800トン |
1万トン |
5.6倍 |
原料の一部にサトウキビなどの植物由来エチレングリゴールを使用し、化石資源の消費抑制、環境負荷低減を可能とする部分バイオマスプラスチック繊維は、環境意識の高い企業を中心に注目が高まっている。フィルム形状への展開もみられ、ペットボトルの原料として日本コカ・コーラが自社ブランドの「爽健美茶」や「い・ろ・は・す」に採用し、需要が一気に拡大した。今後も環境意識の高い自動車メーカーやスポーツ用品メーカー、ユニフォームメーカーなどでの採用が進むとみられる。
2.セルロースナノファイバー (2017年金額市場予測 8億円)
2014年 |
2017年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
10トン |
300トン |
30.0倍 |
※2014年はサンプル出荷レベル
セルロースナノファイバーは紙の主原料となる木質組織(パルプ)から取れる繊維材料であり、アラミド繊維とほぼ同等の高強度で、透明性があるなど様々な機能を有する。また、植物由来であることから、生産・廃棄において環境負荷が少ない。以前より複数の企業で実用化に向けた製品開発が続けられてきたが、2015年に三菱鉛筆のゲルインクボールペン「ユニボール シグノUMN−307」のインク増粘剤にセルロースナノファイバーが採用され、北米、欧州で発売された。その他、おむつに使用する消臭素材の触媒などで本格的に採用され、今後は包装材料やフレキシブルデバイス向けの基板材料などでも実用化が進むとみられる。樹脂への添加剤としての本格展開は、技術的な課題やコストの障壁があるため早くても2020年以降になると予想される。
3.人造蜘蛛糸繊維 (2017年金額市場予測 8億円)
2014年 |
2017年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
5トン |
80トン |
16.0倍 |
※2014年はサンプル出荷レベル
人造蜘蛛糸は、アラミド繊維などの高機能繊維に勝る高強度性能を持ち合わせ、さらに石油に依存しない環境負荷の少ない次世代素材として、日本、欧米をはじめ各国で研究開発が進められている。現在、本格的な市場が形成されるほどの生産力をもっているメーカーは無く、各社ともに研究開発、試作向けの生産にとどまっている。スパイバーやドイツのAMSilkなどでは数トンから数十トン規模の生産に向けたプラントの稼働計画が進められており、本格的な市場形成に向けた量産体制が構築されつつある。
◆調査対象
| 高機能繊維 | パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量PE繊維、LCP繊維、PBO繊維、PPS繊維、PTFE繊維、フェノール系繊維、PAN系炭素繊維、GPCF、HPCF、活性炭素繊維、導電性繊維、生分解性繊維(PLA/PGA)、アルミナ短繊維、アルミナ長繊維、ステンレス繊維、びびり繊維 |
| 繊維複合材料 | CFRP、CFRTP |
| 次世代繊維 | 部分バイオマスプラスチック繊維、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、PBI繊維、PEI繊維、ポリアミドイミド繊維、メラミン繊維、昆虫由来繊維、人造蜘蛛糸繊維、アミロース含有レーヨン繊維 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
