PRESSRELEASE プレスリリース
ポリウレタン製品9兆4,456億円(24.7%増)ウレタンフォーム、塗料が市場拡大をけん引
ポリウレタン樹脂ディスパージョン857億円(10.2%増)中国のVOC規制強化で需要増加
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、主な需要地である中国の経済失速や、欧州の長期に及ぶ景気低迷の影響を受けつつあるポリウレタン原料及び製品の世界市場を調査し、その結果を報告書「2016 ポリウレタン原料・製品の世界市場」にまとめた。
この報告書ではウレタンフォームをはじめとするポリウレタン製品14品目、原料であるイソシアネート12品目とポリオール7品目に加え、ポリオールの製造時に使用される中間材料8品目、ポリウレタン製品の製造時に使用される副原料・中間製品11品目の市場を調査・分析し、将来を予測した。
ポリウレタン製品やこれに使用される原料は、建材や衣料、家具、自動車、工業資材など幅広い分野で用いられており、中国を中心としたアジア地域の経済成長に伴う需要増加や、先進国における省エネ需要などにより、成長を続けてきた。しかし、中国経済の失速や、欧州の長期に及ぶ景気低迷により需要は伸び悩んでおり、今後も拡大は続くとみられるものの、成長率は鈍化しつつある。 また、これまでは中国市場の急拡大を背景に、業界全体で設備投資が続けられてきたが、成長率の鈍化や新規参入の増加により供給過剰となる製品もでてきており、メーカーは戦略の再構築を迫られている。
◆調査結果の概要
1.ポリウレタン製品の世界市場
2015年見込 |
2019年予測 |
2014年比 |
|
ウレタンフォーム |
5兆7,970億円 |
6兆3,320億円 |
124.6% |
非フォーム |
2兆7,227億円 |
3兆1,136億円 |
124.8% |
合 計 |
8兆5,197億円 |
9兆4,456億円 |
124.7% |
ポリウレタン製品は、成形時に発泡させたウレタンフォームと発泡させない非フォームに分かれる。ウレタンフォームはポリウレタン樹脂の弾性によって硬質と軟質に分かれる。
硬質ウレタンフォームは建築物や冷蔵庫の断熱材などに使用される。世界各国で省エネ化が進められていることから建築物用断熱材の需要が大きいが、中国では建築物用断熱材に対する難燃規制が厳しく、住宅向けを中心に需要が伸び悩んでいる。一方、中国は冷蔵庫の世界最大の生産国であり、冷蔵庫用断熱材としての需要が大きい。 軟質ウレタンフォームは自動車用シートクッション、寝具家具などに使用される。主な需要地は、自動車生産台数が最も多く、家具の生産数増加が続いている中国、寝具の生産が多い欧米である。寝具はスプリング式ベッドとの競合があるものの、フォームの柔軟性が評価され、需要が増加している。
非フォームはエラストマー、人工皮革、合成皮革、スパンデックス、塗料、インキ、接着剤、シーリング材など、様々な用途があり、特に注目されるのは塗料向けである。
ポリウレタン系塗料は耐水性、耐薬品性、耐候性に優れることから、建築物・公共構造物、船舶の防食、自動車補修など幅広い分野で用いられる。最も需要が大きいのは中国であり、塗料に対するVOC規制強化も進んでいることから、今後の需要増加が期待される。
しかし、中国を含むアジアでは耐久性よりも低価格であることが求められ、橋梁など公共建造物の重防食用にもアクリル系塗料が使用されることも多いため、メーカーはコストダウンに注力している。
2.ポリウレタン原料の世界市場
2015年見込 |
2019年予測 |
2014年比 |
|
イソシアネート |
2兆1,174億円 |
2兆4,309億円 |
133.6% |
ポリオール |
2兆5,485億円 |
2兆8,325億円 |
125.3% |
合 計 |
4兆6,659億円 |
5兆2,634億円 |
129.0% |
ポリウレタン樹脂は原料のイソシアネートとポリオールを混合し反応させたポリマーであり、イソシアネートとポリオールの種類が多いことから、製品ごとに様々な原料の組み合わせがある。
イソシアネートでは、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とTDI(トリレンジイソシアネート)が主要原料として用いられる。MDIはイソシアネート市場の6割以上を占め、硬質ウレタンフォームを中心に軟質ウレタンフォーム、エラストマー、スパンデックスなど幅広く使用される。TDIはイソシアネート市場の2割以上を占め、軟質ウレタンフォームを中心にエラストマーなどで使用されるが、環境規制の強化などがあり、徐々にMDIへ置き換えが進んでいる。 なお、MDIやTDIなどの芳香族系イソシアネートは黄変が起こるため、塗料やグラビアインキ、ウレタンビーズなどの用途ではHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)やIPDI(インホロンジイソシアネート)などが主に使用される。
ポリオールは、PPG(ポリプロピレングリコール)とPEP(ポリエステルポリオール)が主要原料として用いられる。PGがポリオール市場の6割近くを占め、ウレタンフォームを中心に接着剤、シーリング材などで使用される。PEPは耐熱性や機械的強度に優れ、安価であることから、エラストマー、塗料、グラビアインキなどで使用され、ポリオール市場の3割以上を占める。
PCL(ポリカプロラクトンポリオール)、PCD(ポリカーボネートジオール)、PBP(ポリプタジエンポリオール)は主要原料ではないものの、高機能ポリウレタン製品で使用されることが多い。
◆注目市場
1.ポリウレタン樹脂ディスパージョンの世界市場 【副原料・中間製品】
2015年見込 |
2019年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
792億円 |
857億円 |
110.2% |
ポリウレタン樹脂ディスパージョンはポリウレタン樹脂の微粒子が水に分散した製品である。密着性、耐摩耗性、低温特性、防水性などが特徴で、接着剤、塗料・コーティング、繊維処理などで使用される。主な用途は接着剤、塗料・コーティング分野であり、中国における塗料に対するVOC規制強化によるニーズの高まりから中国を含むアジアを中心に需要は増加している。また、無機質のガラス繊維に対しても接着性能が高く、ガラス繊維バインダー用途では根強い需要があり、市場としては順調な拡大が予想される。
2.ウレタン用発泡剤(HFO)の日本市場 【副原料・中間製品】
2015年見込 |
2019年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
1.1億円 |
9.0億円 |
11.3倍 |
硬質ウレタンフォームに使用される発泡剤である。現在主流の代替フロンは2020年に建築用途での使用中止が予定されており、さらに環境負荷の少ないノンフロンのウレタン用発泡剤への代替が進められている。ノンフロンのウレタン用発泡剤は水発泡とHFOがある。先に登場した水発泡は、代替フロンと比較し断熱性能が劣ることから、同等の性能を維持するためには厚みが必要でコストアップとなっていたが、HFOは代替フロンと比較し性能面で劣るところはなく、今後のノンフロン化に弾みがつくと期待されている。また、同時にノンフロンの水発泡からHFOへの移行も進んでおり、急激な市場拡大が予想される。
◆調査対象
| ポリウレタン製品 | フォーム | 硬質ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム |
| 非フォーム | スパンデックス、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ウレタン、 ポリウレタン系塗料、グラビアインキ、ウレタン系接着剤、ウレタン系シーリング材、人工皮革、合成皮革、ウレタンビーズ、CMPパッド、電子基板用注型材 | |
| ポリウレタン原料 | イソシアネート | MDI、 TDI、HDI、IPDI、H12MDI、TMDI、XDI、H6XDI、TMXDI、NDI、NBDI、 1,5-PDI※ |
| ポリオール | PPG、PTMG、PEP、PCL、PCD、PBP、ひまし油ポリオール※ | |
| ポリオール中間材料 | 1,4-BD、1,5-PD、1,6-HD、MPD、ND、NPG、TMP、アジピン酸 | |
| 副原料・中間製品 | ポリウレタン樹脂ディスパージョン、アミン触媒(非反応型)、反応型アミン触媒※、金属触媒、 硬化剤(MBOCA)、硬化剤(非MBOCA)、シリコーン整泡剤、ウレタン用発泡剤 (代替フロン)※、ウレタン用発泡剤 (HFO)※、ウレタン用難燃剤、耐加水分解安定剤※ | |
| 原料メーカー事例 | BASF、Covestro、Dow Chemical、Huntsman、INVISTA、Wanhua Chemical Group、旭化成、宇部興産、東ソー、三井化学 | |
※のついた品目は、市場未算出、日本市場のみの算出などの理由により、<調査結果の概要>に記載される合計には含まれない。一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
