PRESSRELEASE プレスリリース

第22071号

アジアにおけるティッシュエンジニアリング関連市場を調査
―2030年予測(2021年比)―
■ティッシュエンジニアリング関連のアジア市場  7,121億円(40.5%増)
再生医療等医薬品や細胞培養施設/サービスが伸長
●CAR-T細胞製剤                320億円(18.8倍)
日本での治療施設数増加や中国の伸びで、市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、日本で再生医療の産業化や臨床応用が進んでいるほか、中国や台湾でバイオテクノロジーやライフサイエンス分野の強化、ベトナムやインドネシアでの細胞研究の増加などにより、注目が集まる再生医療・細胞治療のアジア市場を調査した。その結果を「ティッシュエンジニアリング関連アジア市場の最新動向と将来性 2022」にまとめた。

この調査では、再生医療等製品4品目、細胞4品目、細胞培養施設/サービス5品目、ライフサイエンス研究用製品7品目、細胞保管/輸送製品10品目、細胞培養/分離製品10品目、イメージング装置/検査用製品11品目、セルカルチャーウェア7品目、試薬9品目の日本、中国、台湾、ベトナム、インドネシアの5エリアにおける市場を分析し、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■アジアのティッシュエンジニアリング関連市場

 

2021年

2020年比

2030年予測

2021年比

全体

5,067億円

109.2%

7,121億円

140.5%

 

再生医療等製品

79億円

127.4%

662億円

8.4倍

 

細胞保管/輸送製品

702億円

130.5%

779億円

111.0%

 

細胞培養/分離製品

1,104億円

106.1%

1,361億円

123.3%

※再生医療等製品、細胞保管/輸送製品、細胞培養/分離製品は全体の内数

アジアにおける2021年のティッシュエンジニアリング関連市場は、前年比9.2%増の5,067億円となった。新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け停止していた研究活動が再開されているほか、新型コロナワクチンやPCR検査に関する品目が特需によって急伸した。

中国や台湾では、国家規模でバイオテクノロジーやライフサイエンスを強化しており、科学技術関連の予算が増加していることから、市場は拡大するとみられる。特に、2021年2月に中国工信部が発表した医療装備産業発展計画では、2025年までの医療機器の技術と産業発展に関する目標を設定したことから、中国の伸びが市場拡大に寄与すると予想される。また、ベトナムやインドネシアでは、細胞を用いた各種研究が増えていることもあり、2030年の市場は2021年比40.5%増の7,121億円が予測される。

2021年の再生医療等製品は、日本メーカーの積極的な営業活動により、シート移植型再生医療等製品(皮膚、心筋、角膜など)が伸長した。また、CAR-T細胞製剤が治療施設数の増加や新薬の承認により伸び、市場は拡大した。

中国でもバイオベンチャーや大学・研究機関を中心にCAR-T細胞療法における臨床試験が実施されており、今後は日本に加えて市場が本格的に形成されるため大きく伸長するとみられる。また、細胞治療型再生医療等製品も日本での治療施設数の増加や適応範囲の広がりによって伸びることなどから、2030年の市場は2021年比8.4倍が予測される。

2021年の細胞保管/輸送製品は、メディカルフリーザーが、PCR検査薬の保管用として保健センターなどを中心に普及した。日本や台湾、ベトナム、インドネシアでは、新型コロナワクチンのモデルナ製mRNAワクチンやPCR検査薬の保管用で伸びた。また、薬用冷蔵ショーケースや薬用保冷庫も新型コロナの特需により伸長し、市場は拡大した。

今後は、新型コロナ関連の需要は落ち着くとみられるが、各国で医薬品市場が拡大しているため医薬品の保管需要は高まり、2030年の市場は779億円が予測される。

2021年の細胞培養/分離製品は、遠心分離機(遠心機)や三次元バイオプリンター、細胞濃縮・洗浄装置などが伸び、市場は拡大した。

今後は、自動分注ワークステーションやアイソレータ、三次元バイオプリンターなどが伸び、2030年には、2021年比23.3%増の1,361億円が予測される。特に、新薬の毒性検査や医薬品などの安全性試験に使われている三次元バイオプリンターは好調が続くとみられる。また、中国では三次元バイオプリンターを用いた再生医療や細胞培養肉関連の研究が進められており、医療・非医療ともに政府からの助成によって急伸するとみられる。

◆注目品目のアジア市場

●CAR-T細胞製剤

2021年

2020年比

2030年予測

2021年比

17億円

113.3%

320億円

18.8倍

患者から採取したT細胞を、遺伝子医療技術を用いてCAR(キメラ抗原受容体)を作り出すことができるように改変し製造するCAR-T細胞療法の治療剤を対象とする。難治性のがん治療などに使用される。

市場は、日本のみで構成され、2019年5月から展開している「キムリア点滴静注」(Novartis International)がこの製剤を利用できる治療施設数の増加によって伸びている。2021年は、「イエスカルタ点滴静注」(第一三共)や「ブレヤンジ静注」(Bristol Myers Squibb)が保険適用されて市場拡大した。

2022年は、「アベクマ点滴静注」(Bristol Myers Squibb)が承認され、引き続き治療施設数が増えるとみられる。また、参入各社が適応疾患範囲を広げることや治療ラインの追加などの開発を行い、処方対象患者が増えることで、市場拡大が予想される。中国では、「Relmacabtagene autoleucel injection」(JW Therapeutics)が、2021年9月に初のCAR-T細胞製剤として承認され、バイオベンチャーや大学・研究機関を中心に臨床試験を実施している。これを受け、中国でも2022年に市場が形成され、その後は順調な伸びが期待されることから、2030年の市場は2021年比18.8倍が予測される。

●細胞治療型再生医療等製品

2021年

2020年比

2030年予測

2021年比

37億円

154.2%

262億円

7.1倍

主に幹細胞を用いる細胞性医薬品(細胞治療製品・細胞製剤)のうち、保険適用された製品を対象とする。遺伝子治療用製品については対象外とする。

現在は、日本の「テムセルHS注」(JCRファーマ)、「ステミラック注」(ニプロ)と、2021年9月に発売された「アロフィセル注」(武田薬品工業)のみであり、治療施設数の増加によって、2021年の市場は前年比54.2%増となった。

中国では、細胞療法薬剤のうちCAR-T細胞製剤の開発が中心となっているため、市場形成には時間がかかるとみられる。一方、日本では参入企業の共同開発により、適用範囲を広げた製品が市場に投入され、2025年から2027年頃に伸長すると予想から、2030年の市場は2021年比7.1倍が予測される。

●超低温フリーザー

2021年

2020年比

2030年予測

2021年比

293億円

138.2%

337億円

115.0%

試料保存を目的に温度制御範囲が-150℃~-80℃程度に設計された製品を対象とする。

PfizerのmRNAワクチンが-90℃~-60℃の環境下で保管する必要があることから、2021年は、このワクチンを採用した日本や台湾で需要が高まり、市場は拡大した。

今後は新型コロナ関連の特需が落ち着くとみられるが、アジアでは再生医療をはじめ医薬品関連の研究が活発になっていることから、長期的には各国の市場は拡大すると予想される。

●三次元バイオプリンター

2021年

2020年比

2030年予測

2021年比

12億円

133.3%

37億円

3.1倍

細胞の微小な塊である細胞凝縮塊を積み重ねて立体的な細胞構造体を作製する三次元バイオプリンターを対象とする。

日本、中国、台湾で市場が形成されており、2021年の市場は、前年比33.3%増の12億円となった。日本では、主に新薬の毒性試験や医薬品などの安全性試験など創薬支援用途で活用され、研究機関向けと製薬企業向けどちらも好調であった。中国では、再生医療関連の研究での使用が増えているほか、スタートアップ企業が細胞培養肉(クリーンミート)生産の研究開発を進めるなど非医療分野でも使われており、市場拡大に寄与している。

2022年3月に、大阪大学大学院と島津製作所が培養肉分野で共同研究契約を締結したため、今後は日本でも培養肉分野の活用が進み、また、中国では三次元バイオプリンターに関する政府の助成が活発であることから、2030年には2021年比3.1倍が予測される。

◆調査対象

再生医療等製品

・シート移植型再生医療等製品

・組織移植型再生医療等製品

・細胞治療型再生医療等製品

(皮膚、心筋、角膜など)

(培養軟骨)

・CAR-T細胞製剤

細胞

・ヒト細胞

・iPS細胞

 

・三次元ヒト組織モデル

・ES細胞

 

細胞培養施設/サービス

・細胞培養加工施設

・細胞製造プラント

・臍帯血バンク

(CPC/CPF)

・細胞培養/加工受託サービス

・細胞搬送サービス

ライフサイエンス研究用製品

・マイクロプレートリーダー

・オートクレーブ

・核酸抽出・精製用試薬

・エレクトロポレーター

・自動核酸抽出装置

 

・乾熱滅菌器

・トランスフェクション試薬

 

細胞保管/輸送製品

・凍結保存容器

・薬用冷蔵ショーケース

・凍結保存用チューブ

・超低温フリーザー

・薬用保冷庫

・凍結保存用バッグ

・メディカルフリーザー

・細胞搬送容器

 

・プログラムフリーザー

・ドライシッパー

 

細胞培養/分離製品

・遠心分離機(超遠心機)

・アイソレータ

・自動分注ワークステーション

・遠心分離機(遠心機)

・安全キャビネット

・細胞濃縮・洗浄装置

・CO2インキュベータ

・クリーンベンチ

 

・自動培養装置

・三次元バイオプリンター

 

イメージング装置/検査用製品

・フローサイトメーター

・細胞計数分析装置(ローエンド)

・液体クロマトグラフ質量分析装置

(セルソーター)

・セルイメージングシステム

・エンドトキシン検査システム

・フローサイトメーター

・リサーチ用顕微鏡

・マイコプラズマ検査キット

(アナライザー)

・培養顕微鏡

 

・細胞計数分析装置(ハイエンド)

・リアルタイムPCR装置

 

セルカルチャーウェア

・細胞培養用シャーレ

・チューブ(遠沈管)

・細胞培養用バッグ

・細胞培養用プレート

・ピペット

 

・細胞培養用フラスコ

・血液成分分離キット

 

試薬

・細胞培養用培地(リサーチ)

・細胞培養用血清(プロダクション)

・細胞培養用ラミニン

・細胞培養用培地(プロダクション)

・細胞凍結保存液

・細胞分離用試薬

・細胞培養用血清(リサーチ)

・細胞培養用コラーゲン

・細胞培養用スキャホールド


2022/06/28
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