PRESSRELEASE プレスリリース
2017年インフルエンザの流行が大きく、検査数、検査薬(金額ベース)の市場ともに拡大
2018年その反動で検査数が前年比微増、検査薬が同微減の見込
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、臨床検査のうち、人から採取した血液や尿、便などを分析する検体検査で免疫反応を用いて測定する検査(血液凝固・線溶系の免疫反応を用いた検査項目は除く)の国内市場を調査した。その結果を「2018 臨床検査市場 No.1 イムノアッセイ市場」にまとめた。
この調査では、免疫血清検査(イムノアッセイ)について、検査領域別や検査項目別、測定方法別、メーカー別に検査数と検査薬の市場を分析し、今後を展望した。また、検査で使用される測定装置市場、参入メーカーの開発や新製品発売の動向などについても明らかにした。
◆調査結果の概要
1.免疫血清検査の国内市場
2017年の免疫血清検査市場は、検査数9億1,081万件、検査薬2,117億円となった。2017年冬から2018年春にかけてインフルエンザの流行が大きく、インフルエンザ抗原A/B迅速検査の需要が急伸し、検査数、検査薬の市場ともに拡大した。2018年はインフルエンザの流行が平年並みとみて、検査数は前年比微増、検査薬は同微減が見込まれる。以降はインフルエンザをはじめとする感染症の大流行、花粉の大量飛散などが無ければ検査数、検査薬ともに微増推移が予想される。
1.主要検査領域の検査薬市場
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
がん |
390億円 |
102.6% |
415億円 |
109.2% |
ホルモン |
432億円 |
102.1% |
456億円 |
107.8% |
感染症 |
685億円 |
95.0% |
722億円 |
100.1% |
がん領域は、高齢化に伴うがん患者の増加や、行政による検診の推奨により検査数が増加しており、市場が拡大している。新規検査項目では2016年にアボット ジャパンから精巣上体タンパク4(HE4:卵巣悪性腫瘍の診断補助等)が発売されたが、既存検査項目で大きく伸長するものは見当たらない。
ホルモン領域は、BNPやNT-proBNP、プロカルシトニンなどといった検査項目が伸長しているものの、市場に与えるインパクトが軽微で、微増推移となっている。
感染症領域は、2017年の市場はインフルエンザの流行が大きく、迅速検査が急伸し拡大した。2018年はインフルエンザの流行が例年並みとみて前年比縮小を見込んでいる。以降市場は微増推移が予想される。現在、診断と治療が直結しているのはインフルエンザのみであり、この検査の増減は疾患の流行を反映している。
2.主要測定方法の検査薬市場
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
化学発光法 |
945億円 |
102.9% |
1,025億円 |
111.7% |
CG法 |
359億円 |
90.9% |
384億円 |
97.2% |
検査薬市場を測定方法別にみると、2018年は化学発光法が44.9%、CG法(イムノクロマト法。簡易EIA法、金コロイド法含む)が17.0%を占めると見込まれる。定量法は化学発光法、定性法はCG法に集約される傾向にある。
定量法では化学発光法に代わる測定方法はまだ確立しておらず、今後も化学発光法が市場において大きなウエイトを占めると予想される。定性法では、以前は感染症を中心に赤血球凝集法、PA法などが普及していたが、検査精度向上を目指してイムノクロマト法への変更が推奨され、操作も簡便であることから現在ではPOC検査のメインの測定法となっている。イムノクロマト法のインフルエンザ検査キットは発売と同時に大きな市場を形成している。
◆注目市場
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
BNP |
87億円 |
101.2% |
89億円 |
103.5% |
NT-proBNP |
40億円 |
105.3% |
44億円 |
115.8% |
プロカルシトニン |
44億円 |
104.8% |
49億円 |
116.7% |
BNP、NT-proBNPの検査は普及から長期が経過しているが、現在も検査薬市場は拡大を続けている。
プロカルシトニンは、細菌性敗血症を疑う患者を対象として実施した場合において保険適用する。敗血症や菌血症が疑われる場合に血液培養検査が実施されるが、プロカルシトニンの検査は血液培養検査とのセット実施が多くの医療機関で普及しており、検査数が増加している。血液培養検査は報告まで24〜48時間を要する場合もあり、プロカルシトニンの検査で迅速に細菌感染の有無を把握できれば、重篤な状況にある患者の治療の方向性の検討が可能となることからである。
◆調査対象品目
検査領域 | 輸血検査、がん、ホルモン、感染症、自己免疫、血漿蛋白、TDM、その他 |
測定方法 | EIA法、、FIA法、化学発光法、ラテックス定量法、RIA法、TIA法、NIA法、ラテックス凝集法、PA法、CG法(イムノクロマト法。簡易EIA法、金コロイド法含む)、その他 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。