PRESSRELEASE プレスリリース

第19059号

特殊粘接着・封止材の世界市場を調査
−2024年世界市場予測(2018年比)−
特殊粘接着・封止材の世界市場139億6,460万ドル(31.6%増)
CFRP用接着剤(自動車用途)7,900万ドル(58.0%増)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、強度や異種接合性などが求められ特殊化が進展している粘接着・封止材の世界市場を調査した。その結果を「2019年 特殊粘接着・封止材の市場展望」にまとめた。

この調査では、自動車用途14品目、エレクトロニクス用途14品目、その他用途8品目の特殊粘接着・封止材計36品目の市場や、関連アプリケーションとして自動車、半導体の市場を調査した。また、企業別の製品事例も取り上げている。

◆査結果の概要

特殊粘接着・封止材の世界市場



2018年の特殊粘接着・封止材の世界市場は、106億740万ドル(2017年比104.1%)となった。各分野において粘接着・封止材の特殊化、高機能化、高付加価値化要求は進展しており、市場の動きは活発化している。今後も、自動車分野、エレクトロニクス分野、その他分野向けそれぞれの伸びが期待され市場は拡大していくとみられる。

分野別にみると自動車分野は、異種材料接合や環境適応、作業性の向上ニーズの高まりなどにより特殊粘接着・封止材の採用が増え、伸びている。今後は、車載ディスプレイの大型化や搭載率の上昇に伴い車載ディスプレイ用接着剤(OCA・OCR)が伸びるとみられる。また、欧州を中心にCFRP製自動車部品の需要が高まっており、CFRP用接着剤需要も増加が期待される。

エレクトロニクス分野は、家電、自動車、ロボットなどで半導体の需要が高まっており、この動きに連動してパワーデバイス用封止材などが伸びている。今後は、中国のスマートフォンメーカーなどでフレキシブルOLEDの搭載が続くことからフレキシブルOLED用封止材やフレキシブルOLED用OCAなどが伸びるとみられる。

その他分野は、医療での患者ケアの向上により低刺激医療テープ用粘着剤が伸びている。また、3Dプリンター用材料や放熱接着剤なども需要が増加している。中国やその他アジアで生活水準の向上により紙おむつの需要が高まっており、衛材用接着剤が伸びるとみられる。

◆注目市場

1.CFRP用接着剤

2018年
2024年予測
2018年比
全体
5,000万ドル
7,900万ドル
158.0%
(日本)
290万ドル
410万ドル
141.4%

※日本市場は全体の内数

自動車用途でのCFRP(炭素繊維複合材料)同士の接着、CFRPと金属などの異種材料間の接着に使用される接着剤を対象とする。市場は、欧州を中心とするCFRP製自動車部品の需要の高まりに伴って拡大している。欧州や北米の自動車メーカーはCFRP製自動車部品の採用に積極的であり、今後もこれらの地域の需要がけん引し、市場は拡大していくとみられる。一方、日本市場は日系自動車メーカーがCFRP製自動車部品の採用に対して慎重であることから、需要は世界市場ほど増加していない。しかし、中長期的には日系自動車メーカーでもCFRP製自動車部品の採用が増えるとみられる。

2.狭額縁用接着剤

2018年
2024年予測
2018年比
全体
2,700万ドル
5,970万ドル
2.2倍
(日本)
僅少
僅少

※日本市場は全体の内数

狭額縁用接着剤は、スマートフォンなどのディスプレイと筐体を接合するために使用される接着剤である。スマートフォンは画面を大きくするために狭額縁化が進んでおり、これまで使用されていた両面テープに代わり開発された。市場はスマートフォンの生産拡大に加え、スマートフォンの狭額縁化の進展によって拡大している。大手スマートフォンメーカーが狭額縁用接着剤の採用を積極的に進め、その他のメーカーも追随するなど、市場の動きは活発化している。狭額縁用接着剤は治具固定に時間がかかるものの、両面テープと比較して狭額縁に対応できることから今後さらに採用が増えるとみられる。

3.衛材用接着剤

2018年
2024年予測
2018年比
全体
26億8,800万ドル
36億0,440万ドル
134.1%
(日本)
2億0,210万ドル
2億3,440万ドル
116.0%

※日本市場は全体の内数

乳児用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用品などの衛材向けに使用される接着剤を対象とする。紙おむつなどの製造に接着剤はなくてはならないものであり、コア吸収体の接着や紙を層状に張り付ける構造接着、ギャザーの接着、テープバンドの接着など様々な部位で使用されている。

紙おむつなどの衛材は、中国を中心としたアジア諸国の経済発展によって需要が増加している。これに伴い衛材用接着剤市場は拡大している。先進諸国では安定した需要が形成されているほか、少子高齢化の影響から大人用紙おむつの需要も増加しており、市場の拡大に寄与している。日本で生産された紙おむつの品質が高いことから、これまでは中国やアジアに輸出されることが多かったが、紙おむつの肌への接地面積が少ない(シートの皺が多い)風合いが好まれるなど日本とは異なるニーズが強くなってきており、海外ニーズを取り込むため現地で生産することが増えていることから、今後日本市場は微増にとどまるとみられる。世界市場は引き続き拡大していくとみられる。

◆調査対象

特殊粘接着・封止材

自動車用途 CFRP用接着剤、超強力両面接着テープ用粘着剤、仮止め用接着剤、自動車内装用接着剤、はめ合い用接着剤、車体構造用接着剤、ダイレクトグレージング材、ラッピングフィルム、車載ディスプレイ用接着剤(OCA・OCR)、自動車用制振シート、ヘッドランプ用シーリング材、リアスポイラー用接着剤、液状ガスケット、PP用水系非塩素系プライマー・接着剤
エレクトロニクス用途 プリント配線板 層間絶縁接着フィルム、FPC用ボンディングシート、FPC用電磁波シールドフィルム、プリント基板用耐熱マスキングテープ
半導体 ダイボンドペースト(DBP)、DCテープ一体型ダイアタッチフィルム、後供給型アンダーフィル材・注型材(一次実装用)、パワーデバイス用封止材、異方導電性フィルム(ACF)、フィルム封止材、TSV用接着剤
有機EL フレキシブルOLED用封止材、フレキシブルOLED用OCA
スマートフォン 狭額縁用接着剤
その他用途 3Dプリンター 3Dプリンター用樹脂、3Dプリンター用金属粉末材料
サニタリー 衛材用接着剤
医療 低刺激医療テープ用粘着剤、手術縫合用接着剤
耐熱放熱 耐熱セラミック接着剤、放熱接着剤、放熱両面テープ

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/08/06
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