PRESSRELEASE プレスリリース

第22082号

2030年の医療用医薬品市場をフォーキャスト
2030年の国内医療用医薬品市場は9兆4,111億円。
・・・2019年を起点に2030年まで、年率0.7%の拡大
直近では新型コロナの流行を受け、2020年は縮小、2021年は 急拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、2020年8月から2022年4月までに行った医療用医薬品の市場調査結果を総括分析するとともに、今後の医薬品開発や患者数の動向、法規制の変化などを考慮しつつ、2030年まで市場を予測した。その結果を「医療用医薬品の国内総市場フォーキャスト2020-2030」にまとめた。

この調査では、国内の医療用医薬品市場を17の疾患で区分し、ジェネリック医薬品やバイオシミラーへの切り替わり状況も併せて、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■医療用医薬品の国内市場

2020年の市場は新型コロナウイルス感染症流行の影響による患者の受診控え、コロナ対応優先による不急医療の延期や通常医療の提供機会減少、マスクなどの予防策による感染症全般への罹患の減少などから、前年比2.3%減の8兆5,497億円となった。

2021年は受診を控えていた患者や通常医療の提供機会などが戻りはじめ、市場は回復に向かった。また、新型コロナワクチン製剤・治療剤の政府への販売額が加わり、市場は前年比5.4%増の9兆111億円となった。

2022年はさらに新型コロナの影響が和らぎ、また、新型コロナワクチン製剤・治療剤の販売額が増加するが、市場は前年に急拡大したこともあり、前年比0.8%増にとどまると見込まれる。なお、新型コロナワクチン製剤・治療剤の販売額は2023年以降、大幅に減少する。

今後の市場は、薬価改定や保険制度改革などの影響を受けつつも、抗がん剤や免疫疾患治療剤で治療効果の高い高薬価な製品が相次いで発売され、適応拡大も進むとみられ、また、アルツハイマー型認知症治療剤でも高薬価な製品の発売が予定されていることから、微増推移が予想される。

■市場規模上位5疾患区分

順位

疾患区分

2030年予測

1位

オンコロジー領域 固形がん治療剤

1兆5,753億円

2位

CNS(中枢神経系)領域疾患治療剤

1兆3,296億円

3位

生活習慣病治療剤

1兆2,246億円

4位

免疫疾患治療剤

8,504億円

5位

整形外科領域疾患治療剤

6,427億円

2021年2位であったオンコロジー領域 固形がん治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大を主因に市場拡大し、2030年には疾患区分別の最大規模となる。また、3位であったCNS(中枢神経系)領域疾患治療剤はアルツハイマー型認知症に対して抗βアミロイド抗体といった抗体医薬品が相次いで発売されて市場拡大していき2位となる。一方で、2019年に1位であった生活習慣病治療剤はジェネリック医薬品への移行や薬価改定の影響から年々市場縮小し、3位となる。

免疫疾患治療剤、整形外科領域疾患治療剤、消化器疾患治療剤、皮膚科領域疾患治療剤といった生物学的製剤やJAK阻害剤との関連性の高い市場は拡大し、順位が上昇すると予想される。

■CAGR(2019年-2030年予測)上位5疾患区分

順位

疾患区分

CAGR

1位

皮膚科領域疾患治療剤

5.7%

2位

免疫疾患治療剤

4.4%

3位

オンコロジー領域 血液がん治療剤  

3.7%

4位

産婦人科領域疾患治療剤

3.4%

5位

オンコロジー領域 固形がん治療剤

2.6%

最もCAGRが高いとみられるのは、皮膚科領域疾患治療剤である。アトピー性皮膚炎や脱毛症といったアンメットニーズの高い疾患に対して、生物学的製剤や経口剤、外用剤で新薬が登場し、市場を押し上げるとみられる。免疫疾患治療剤は生物学的製剤やJAK阻害剤がけん引し市場拡大が進む。アンメットニーズの高い疾患が多く分子標的治療剤を中心に開発が急がれているオンコロジー領域 血液がん治療剤についても今後市場拡大する。

◆調査対象

疾患区分

オンコロジー領域(固形がん治療剤、血液がん治療剤、関連薬剤)、CNS(中枢神経系)領域疾患治療剤、免疫疾患治療剤、整形外科領域疾患治療剤、皮膚科領域疾患治療剤、消化器疾患治療剤、アレルギー疾患・呼吸器疾患治療剤、生活習慣病治療剤、腎疾患治療剤、循環器疾患治療剤、感染症治療剤、ワクチン製剤、産婦人科領域疾患治療剤、眼科・耳鼻咽喉科領域疾患治療剤、泌尿器科領域疾患治療剤、ヒト成長ホルモン剤、その他


2022/07/22
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