PRESSRELEASE プレスリリース

第22116号

多様な分野で使用が広がる膜・フィルターの市場を調査
水環境、空気浄化、エレクトロニクス、ライフサイエンスなどで需要増加
―2030年予測(2021年比)―
■膜・フィルター市場【日本市場+日系メーカー海外売上】 4,813億円(41.3%増)
~水環境分野のほか、半導体分野などの旺盛な需要で拡大~
■水処理膜【世界市場】 4,147億円(73.6%%増)
~SDGsへの取り組みなどにより水資源保護の意識が各国で高まり、伸長~
●エアフィルター(HEPA/ULPA)【日本市場+日系メーカー海外売上】 146億円(82.5%増)
~半導体工場向けや、新型コロナワクチンおよび治療薬の製造工程向けが増加~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は水環境、空気浄化のみではなく、微細化要求が一段と強まっている半導体などのエレクトロニクスや、低分子化合物からバイオ医薬へとシフトが進むライフサイエンス分野などが好調な膜・フィルターの市場を調査した。その結果を「高機能分離膜/フィルター関連技術・市場の全貌と将来予測 2022」にまとめた。

この調査では、水環境分野7品目、大気・空質分野3品目、半導体分野2品目、ライフサイエンス分野3品目、工業プロセス分野7品目、計22品目の膜/フィルター市場を調査・分析した。なお、市場は日本市場+日系メーカーの海外売上を基準とし、一部品目では世界市場も明らかにした。

◆調査結果の概要

■膜・フィルター市場 【日本市場+日系メーカー海外売上】

 

2022年見込

2021年比

2030年予測

2021年比

水環境分野

1,297億円

108.4%

1,882億円

157.2%

大気・空質分野

435億円

113.9%

504億円

131.9%

半導体分野

601億円

119.5%

793億円

157.7%

ライフサイエンス分野

836億円

104.6%

948億円

118.6%

工業プロセス分野

556億円

106.1%

687億円

131.1%

合 計

3,724億円

109.3%

4,813億円

141.3%

※透析膜(ダイアライザー)、ウイルス除去フィルター、膜式エアドライヤー、フッ素系イオン交換膜は日本市場のみを対象とする
※市場データは四捨五入している

2022年の市場は、急激な為替変動や物価上昇による金額ベースでの底上げの影響があるものの、需要が旺盛な半導体分野、高性能・微細なフィルターが好調な大気・空質分野が特に伸長し、市場は前年比9.3%増の3,724億円が見込まれる。今後は微細化要求が一段と強まっている半導体などのエレクトロニクス関連や、低分子化合物からバイオ医薬へとシフトが進むライフサイエンス分野、世界的な脱炭素機運の高まりによりエネルギーやモビリティ関連などでも膜・フィルターの活用が進み、市場は拡大していくとみられる。

水環境分野は、都市化・工業化や環境規制の強化を受けて水処理膜市場が拡大しており、市場規模の大きい米国や中国、新興アジアにおける日系メーカーの海外売上が市場をけん引している。日本市場よりも日系メーカーの海外売上が大きく伸びも高いことから、日系メーカーは今後も海外展開への注力を維持するとみられる。

大気・空質分野は、現地メーカーが多いため海外販売に注力する日系メーカーは少なく、大半が日本市場である。エアフィルター(HEPA/ULPA)やケミカルフィルターなど高性能・微細なフィルターでは高い伸びが期待される。

半導体分野は、海外市場は米国メーカーのシェアが高く、日系メーカーの海外展開は一部にとどまる。しかし、日本市場は半導体材料・製造装置の大手メーカーが多く、世界的にみても規模が大きいことから今後も伸長が期待される。

ライフサイエンス分野は、バイオ医薬関連での需要増加が市場をけん引し、2030年に向けて堅調に拡大すると予想される。また、人口増加が予想されるアジア諸国に注力する日系メーカーもみられる。

工業プロセス分野では、燃料電池に使用されるフッ素イオン交換膜がFCVの普及に伴い大きく伸長するとみられる。そのほか、焼結金属フィルターや膜式エアドライヤーは、比較的高い伸長が予想される。今後はエレクトロニクス、自動車を含む輸送機械や蓄電池といった日本企業の競争力が強い産業向けの拡大が期待される。

■水処理膜の世界市場

 

2022年見込

2021年比

2030年予測

2021年比

MF膜/UF膜

695億円

122.6%

899億円

158.6%

MBR用膜

686億円

122.5%

1,075億円

192.0%

RO膜/NF膜

1,428億円

113.2%

2,173億円

172.2%

合 計

2,809億円

117.6%

4,147億円

173.6%

【MF膜/UF膜】

精密ろ過(MF:Micro Filtration)膜および限外ろ過(UF:Ultra Filtration)膜のモジュールを対象とする。家庭用浄水器向けカートリッジタイプのMF膜/UF膜は含まない。

MF膜/UF膜は、安定したリプレース需要と新興地域を中心とする需要増加を背景に、市場拡大を続けてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症流行の影響による設備投資の抑制や生産稼働率の低下、計画・施工遅延などにより、市場は縮小した。2021年は、中国や北米、一部中東が好調だったものの、アジアの新興国での新規案件の停滞により市場はコロナ流行前の規模には至らなかった。2022年は、滞っていた官需、民需ともに復調し、特に北米案件が好調なことから市場は前年比22.6%増の695億円が見込まれる。2023年以降は新型コロナの流行が沈静化することにより官需、民需ともに回復するとみられる。新興国での経済成長や都市化・工業化による水道インフラの整備に加え、グリーンリカバリーやSDGsに関連した水資源保護・衛生意識が各国で高まることにより、今後も市場拡大が期待される。

【MBR用膜】

膜分離活性汚泥法(MBR:Membrane Bio Reactor)に用いられるMF膜/UF膜モジュールおよびカートリッジを対象とする。生物処理と膜処理が一体化した技術で、従来と比較し処理プロセスを短縮でき、沈殿槽なども不要なことから省スペース化が可能となる。

MBR用膜は、水資源の枯渇と水域汚染の進行が進む国や地域を中心に導入され、市場をけん引している。廃水処理のみでなく、水を再利用する技術として水問題の深刻な国・地域において導入・普及に向けた政策支援・規制の整備が進んでおり、下水道整備の進む新興国では下水処理場新設の際に導入されることから、中国やインド、その他アジア諸国で大型案件が多い。2020年は新型コロナ流行の影響により市場は縮小した。2021年は官需・民需ともに低迷していた前年からの反動増により市場は拡大したものの、最大の需要地である中国で計画進行遅延がみられたことなどからコロナ流行前の規模には達しなかった。2022年以降は中国の復調や、新興国での水資源問題を背景とする環境規制の強化により、都市下水や民間工場排水の高度処理ニーズが増加し、市場拡大が予想される。

【RO膜/NF膜】

逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜およびナノろ過(NF:Nanofiltration)膜を対象とする。

RO膜は大きくSWRO(高圧)とBWRO(中・低圧)に分類される。SWROは、近年中東地域で大型の海水淡水化プロジェクトが多くみられることから、需要が増加している。BWROは、工業用の生産プロセス向けやボイラー、クーリングタワーなどが中心である。近年は半導体需要が旺盛なことからエレクトロニクス向けが好調であるほか、食品・飲料、医薬向けなども安定している。今後はカーボンニュートラルやSDGsへの取り組みの一環として、排水リサイクルなど環境に対する意識の高まりから排水再利用用途が注目されるとみられる。NF膜は規模が小さく、主要用途は石油の二次回収用途や食品のプロセス用途などである。

◆注目市場

●エアフィルター(HEPA/ULPA)【日本市場+日系メーカー海外売上】

2022年見込

2021年比

2030年予測

2021年比

96億円

120.0%

146億円

182.5%

HEPAフィルターは、「定格風量で0.3㎛の粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つ」、ULPAフィルターは、「定格風量で0.15㎛の粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つ」と規定され、半導体関連や製薬関連産業で使用されるクリーンルームが主な需要先である。

2020年は、新型コロナの流行により病院などの施設で導入が進んだほか、半導体工場の新設による需要の増加を受け、市場は拡大した。2021年も、半導体工場の新設による需要が高まったほか、病院や福祉施設に設置する抗ウイルスHEPAフィルターが搭載された業務用の空気清浄機に補助金が出た影響で、市場は大きく伸長した。2022年は、空気清浄機の需要が一巡しつつあるものの、半導体工場向けが伸び、市場は前年比20.0%増が見込まれる。また、新型コロナのワクチンや治療薬などの開発に投資する動きがあることから、今後は製薬関連での需要が増加し、市場拡大が期待される。日系メーカーの海外売上は、半導体工場向けや、新型コロナの流行を受けたワクチンおよび治療薬の製造工程向けの需要が高まり、拡大している。また、海外での旺盛な需要は当面続くとみられ、日系メーカーの海外売上も増加していくと予想される。

●液体ろ過用カートリッジフィルター(エレクトロニクス) 【日本市場+日系メーカー海外売上】

2022年見込

2021年比

2030年予測

2021年比

437億円

118.8%

585億円

159.0%

エレクトロニクス(半導体、電子部品、ディスプレイ、およびそれらの製造工程で使用される微細化の必要な材料・消耗品など)の製造工程で採用される液体ろ過用カートリッジフィルターを対象とする。

市場は半導体・電子機器の生産に連動している。2020年は、新型コロナの流行により半導体工場の稼働停止などがあったものの、ノートPCやゲーム機などの巣ごもり消費に支えられ好調な半導体需要に伴い、市場は拡大した。2021年は、新型コロナ流行の影響がやや落ち着いたことにより、前年に抑制されていた設備投資や消費が伸びたことから、市場は大きく拡大した。2022年も、フォトレジストなど主要需要先において増設・増産が相次いでおり、市場は前年比18.8%増が見込まれる。今後も、半導体・電子機器の需要増加に連動し、2023年以降も伸長が期待される。

◆調査対象:日本市場+日系メーカー海外売上

水環境分野

・精密ろ過膜(MF膜)/限外ろ過膜(UF膜)

・活性炭フィルター(液相用)

・逆浸透膜(RO膜)/ナノろ過膜(NF膜)

・炭化水素系イオン交換膜

・MBR用膜

・RO膜支持体

・脱気膜

 

大気・空質分野

・エアフィルター(粗塵、中・高性能、HEPA/ULPA)

・バグフィルター用ろ布

・ケミカルフィルター

 

半導体分野

・液体ろ過用カートリッジフィルター(エレクトロニクス)

・半導体ガスフィルター

ライフサイエンス分野

・液体ろ過用カートリッジフィルター(医薬・バイオ)

・ウイルス除去フィルター

・透析膜(ダイアライザー)

 

工業プロセス分野

・液体ろ過用カートリッジフィルター(食品・飲料)

・膜式エアドライヤー

・液体ろ過用カートリッジフィルター(一般工業)

・フッ素系イオン交換膜

・食品・医薬プロセス用膜

・酸素・窒素富化膜

・焼結金属フィルター

 

※下線は世界市場も算出している
※二重下線は日本市場のみを算出している


2022/11/08
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