PRESSRELEASE プレスリリース
2040年には20兆円に迫る見通し
■通販市場(物販) 19兆9,406億円(17.5%増)
世代問わずデジタル機器の使用が一般化し、60代や50代のEC利用が増加
ECへの集約が進むことで、CRM施策の基盤として活用する動きに注目
■小売通販 量販店における通販の比率は3.8% ネットスーパーを中心に上昇
家電量販店は13.9% ショールーミング化が定着し2025年時点で1割超
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、仮想ショッピングモールがけん引しECへの集約が進む中、若年層でのライブコマースの定着や中国系越境ECの利用の広がりなども見られる通販の国内市場を調査した。その結果を「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2026」にまとめた。
この調査では、通販形態別、商品カテゴリー別の通販市場の分析に加え、購入者の属性(男女・世代別)別トレンドや成長性、量販店やCVSなど主要な小売業態における通販の位置づけを明らかにし、2040年に向けての通販市場の見通しを示した。あわせて、ネットスーパー市場や仮想ショッピングモールのケーススタディも掲載した。
◆調査結果の概要
■国内の通販市場(物販)

2025年は、米価格高騰を筆頭に食料品や日用品などの値上げが続き、実質賃金も前年を下回るなかで節約志向が一層高まり消費行動の停滞感につながった。通販市場でも消費マインドの低下がみられたものの、前年まで見られたコロナ禍以降の店舗回帰が一段落したことや、仮想ショッピングモールでの大型セールなどにより需要が喚起されたことで市場は引き続き拡大した。また、InstagramやTikTokなどSNS上での情報収集が主流となっている若年層で、TikTok Shopなどライブ動画をみながらリアルタイムで商品を購入できる双方向型のオンライン販売であるライブコマースが定着しつつあるほか、Temu、SHEINといった低価格を売りにした中国系越境ECの利用が広がるなど新たな需要を開拓している。
商品カテゴリー別では、食品・生鮮品や生活雑貨といった最寄り品が、短時間配送や受け取り方法の多様化による利便性向上などで好調なほか、家電製品・パソコンがOSサポート終了による買い替え、猛暑によりエアコン需要が増加したことから、ECでの販売も好調で、市場をけん引した。
通販形態別では、EC比率が9割に達している。2025年は節約志向が高まるなかで市場をけん引する仮想ショッピングモールが大型セールやポイント還元などのキャンペーンにより利用者を取り込んだ。今後は仮想ショッピングモールに加えて、メーカーや小売店など幅広い企業がECをCRM施策の基盤として活用する動きが想定され、店頭からの需要シフトも一層進むと考えられる。
カタログ通販やテレビ通販、ラジオ通販などは、中高年からシニア層で定着しているが、近年はシニア層においても利便性の高いECが普及しており、既存顧客の流出や新規顧客獲得の低迷により市場縮小が続いている。ECへの集約が進むことで、企業・サービスを横断した商品・価格比較が進むため、顧客の維持・獲得に向け、購買体験の創出が求められる。
■購入者属性別市場■

20代以下、30代、40代、50代、60代以上の男女別に捉えた。
30代、40代の比率が高い。結婚や子育てなどライフステージの変化を契機に、食品や生活雑貨の定期購入やまとめ買いによる買い物、家事負担減・時短を目的としたECへのシフトが進んでおり、あわせて市場の約半数を占める。
20代以下では、女性を中心にTemu、SHEINといった中国系越境ECの需要が増加している。また、50代は、シミ予防・シワ改善を訴求した化粧品、生活習慣病予防やエイジングケアを訴求した健康食品の購買がみられる。なお、世代が上がるごとに健康食品の比率が高まっており、60代以上では1割を占める。
2040年には、世代を問わずデジタル機器の使用が一般化するとみられる。また、2040年に向け65歳以上の人口増加が予想され、ユーザーの継続利用が進むことで60代以上の市場が大きく拡大するとみられる。一方で20代以下や30代は少子化による人口減少から市場縮小が予想される。そのため、需要開拓に向けてはアプリやSNS、生成AIサービスなどによる、コミュニケーション施策と紐づけた上での展開がより重要になると考えられる。
◆注目市場
●仮想ショッピングモール市場

通販市場の拡大をけん引しているECでは、共働き世帯や単身世帯の増加により、水、トイレットペーパー、ティシュペーパーといった日用品や、冷凍宅配弁当など、購入や料理の手間を省くことを目的とした都度購入に加えて、定期購入も増加している。ポイント付与や定期便割引といったお得感が受け入れられている。企業にとってはユーザーの属性、購買履歴、閲覧履歴などのデータを基に最適なタイミングで継続利用を促すプロモーションをかけやすいという利点がある。
2025年は、仮想ショッピングモールはAmazon.co.jpを中心に例年以上に大型キャンペーンによるセールやポイント還元を実施し、節約志向の消費者獲得につなげたことで市場が拡大した。近年では食品や生活雑貨などを対象に短いリードタイムで配達するネットスーパー事業への取り組みや、ふるさと納税の仲介事業(ここでは対象外)などサービスの幅を広げることで仮想ショッピングモールとしての総合力を高める事業者も多い。また、6月にはTikTok Shopが国内でのサービスを開始しており、InstagramやTikTokなどSNS上での情報収集が主流となっている若年層の新しい購買先としてライブコマースが定着しつつある。
商品カテゴリー別には、家電製品・パソコンで2025年はWindows 10のサポート終了に伴うパソコン買い替え需要がみられたほか、家電製品全般における高機能化が単価上昇につながり、拡大した。
食品・生鮮品や生活雑貨といった最寄り品は、日常的な利用機会の創出が図れることから顧客接点の一つとして各仮想ショッピングモールでの注力度が高い。食品・生鮮品は全般的な値上げによる単価上昇のほか、米不足により各モールで政府備蓄米の販売を行ったことも拡大に寄与している。
化粧品は、韓国コスメの人気が継続していることに加えて、国内メーカーが商品展開を活発に行っていることから拡大している。また、TikTok ShopのライブコマースでTikTokの利用者である若年層の需要獲得が進んでおり、今後もユーザーの開拓や市場の拡大に寄与するとみられる。
●小売通販市場

量販店では、共働き世帯を中心とした新規ユーザーの獲得が進み、品揃えの豊富さや欠品の少なさなどが評価されている倉庫発送型の台頭や受け取り方法の多様化などで選択肢が広がり、ネットスーパーが日常的な買い物手段として浸透している。また、ネットスーパー以外のサービスについても催事商品や自社オリジナル商品の拡充などにより伸びている。
主軸のネットスーパーは、上位企業による事業エリアの拡大や地場チェーンによる参入が進むことで今後も市場をけん引していくとみられる。また、参入各社とも低価格PBだけでなく高付加価値商品の拡充や、非食品領域の商品展開を広げることで、日常的な買い物手段として定着が一層進んでいくものと予想される。
なお、他業態も含めて、現状は実店舗を補完するサービスとしてECが位置づけられるものの、今後は専用商品の投入などECサービス単体としての利用価値を確立することで実店舗への送客といったシナジーを発揮できるとみられる。
CVSは、これまで実店舗を受け取り拠点とするサービスが主体であったが、2023年にセブン-イレブン・ジャパンから店舗発送型サービスの専用アプリがリリースされ、注文から最短20分で配達するという利便性の高さとTVCMによる認知度の向上から、市場が拡大している。ファミリーマートやローソンも2025年にサービスを開始し独自性のある商品展開により店舗とは異なる利用の開拓を進めている。
今後、CVSの特徴である最寄り性を訴求するサービスとして定着していき、特に地方は高齢化や人口減により買い物難民問題が深刻化するなかで社会的インフラとしても注目される。
家電量販店では、実店舗で商品を確認しECで注文するショールーミング化が定着しており、業態全体の売上の1割以上を通販が占める。
各社ともオリジナル家電をはじめとした商品ラインアップの拡充などの商品面、当日配送や配送エリアの拡充などのサービス面を強化しているほか、食品や生活雑貨など家電以外の商品拡充による日常的な利用機会の創出を進めている。EC専用商品の拡充やヨドバシカメラがTikTok Shopに出店するなど、顧客接点拡大を図る取り組みが一層進むことで、市場拡大が予想される。
◆調査対象
通販形態カタログ通販
・総合通販、百貨店通販、専門通販(食品・生鮮品、健康食品、医薬品、アパレル、他)
テレビ通販
・テレビ通販専門局、番組型ホームショッピング、インフォマーシャル、スポット広告型テレビ通販
ラジオ通販
・ラジオ放送局運営型、番組枠買取型
EC
・総合通販(仮想ショッピングモール含む)、百貨店系通販、専門通販(自社サイトでの運営)、小売店宅配(ネットスーパー、他)
その他
・各社の通販事業に含まれる頒布会、催事販売などを含む
商品カテゴリー
食品・生鮮品
・加工食品、清涼飲料、アルコール飲料、調味料、和洋生菓子、惣菜、自然食、水産物、農産物 など
健康食品
・サプリメント など
化粧品
・スキンケア、メイクアップ、ヘアケア・ヘアメイク、ボディケア、フレグランス、ベビー用スキンケア など
医薬品
・医薬品(一般用医薬品、指定医薬部外品)
生活雑貨
・キッチン雑貨、洗濯用品、タオル、美容雑貨、健康雑貨、トイレタリー用品、衛生用品、洗剤 など
アパレル
・婦人服、紳士服、子供服、ベビー服、バッグ類、宝飾品 など
家電製品・パソコン
・家電類、パソコン本体、パソコン周辺機器、パソコンソフト、美容家電、スマートフォン本体、スマートフォン周辺機器、カメラ など
書籍・ソフト
・書籍、雑誌、音楽CD、映像DVD など
家具・インテリア・寝具
・家具、収納用品、カーテン、カーペット、ベッド、寝具、布団 など
その他
・ペット関連グッズ、ホビー関連グッズ、玩具、ゲーム、スポーツ用品、アウトドア用品、文具、カー用品、ガーデニング用品 など
小売通販分析
・量販店
・CVS
・ドラッグストア
・百貨店
・家電量販店
注目市場
・ネットスーパー
