PRESSRELEASE プレスリリース
医薬品の研究開発・製造技術が高度化、アウトソーシングを積極的活用する製薬企業体制、
また、補助金政策、製造設備未保有の製薬ベンチャーや新規参入の増加も市場拡大を後押し
― 国内医薬品プラント/システム市場も同78.7%増 ―
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、医薬品の研究開発・製造技術の高度化に伴い、製薬企業の活用が加速しているCMO(医薬品製造受託機関)、CDMO(医薬品開発・製造受託機関)、CRO(医薬品開発受託機関)のビジネス市場を調査した。その結果を「2026年版 CMO・CDMO・CRO&医薬品プラント市場の全貌と市場予測」にまとめた。
この調査では、モダリティ別のCMO/CDMO/CROビジネス市場や医療用医薬品(治療薬)市場、また医薬品プラント/システム市場の現状を把握し、将来を展望した。さらに国内外50社のCMO、CDMO、CROをケーススタディし、事業内容や強み、提携動向などを整理した。
◆調査結果の概要
1.国内CMO/CDMO/CROビジネス市場

CMO/CDMOビジネス市場は、2035年に2025年比77.1%増の1兆720億円が予測される。医薬品の研究開発・製造技術が高度化していることや、アウトソーシングを積極的に活用する製薬企業の水平分業体制進展が市場拡大の要因となっている。特に、低分子医薬品を除くモダリティでのCMO/CDMOビジネス市場が高伸長する。また、CMO/CDMO/CROビジネスに対する補助金等政府による政策支援や新規参入の増加、製造設備を保有していない製薬ベンチャーが多いことも市場拡大を後押しする。
製薬企業は以前、自社製造していた製品の製造業務を委託していたが、現在は製造設備を保有せず、製造業務の委託を前提に医薬品の研究開発を進めるケースが増えている。また、競合他社との差別化を図るため、受託側は製造業務のみの受託(CMO)が主であったが、開発業務から製造業務までの受託(CDMO)が増えている。また、大手CDMOや再生医療/細胞治療/遺伝子治療モダリティのCMO/CDMOでは、初期段階の研究開発業務受託(CRO)への進出も増えている。全体的な流れとして、開発のアーリーステージから関わり、製造までを提供するサービスが一般的になりつつあるが、製薬企業にとって重点製品となる場合は、自社製造に切り替えるケースもみられる。
CROビジネス市場は、新薬開発の高度化に伴う製薬企業の開発コスト削減と外部委託ニーズの高まりにより拡大してきた。近年では新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に、2021年から2022年かけてワクチンや治療薬関連の特需がみられたが、現在では落ち着き、市場は安定期に突入している。今後も堅調な市場推移が予想される。
2.国内医薬品プラント/システム市場

ここでは医薬品プラントと、医薬品業界に導入される製造管理システムと品質管理システムを対象とした。市場は医薬品プラントが元請受注金額、製造管理システムと品質管理システムがベンダー売上金額の合算とした。市場のおよそ9割を医薬品プラントが占める。
医薬品プラントは、新型コロナウイルス感染症の大流行を契機に露呈した医薬品原薬や中間体におけるサプライチェーンの脆弱性とワクチン供給問題に対する見直しから国が供給力強化を主導し、医薬品製造拠点の新設・増設に補助金政策を実施したことから建設が活況となった。特に、日本のCMO/CDMOは小ロット多品種や高難度の受託案件を中心に積極的な投資をしている。また、建設材料費の高騰や医薬品の研究開発・製造技術の高度化に伴い1案件当たりの建設コストが上昇していることも市場拡大を後押ししている。
製造管理システム(以下、MES)は、医薬品の製造管理と品質管理に関する基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)において導入が推奨されており、需要が安定している。新規モダリティの登場による新規・更新導入、改造・拡張ニーズは継続しており、CMO/CDMOといった新規ユーザーの増加も市場拡大を後押ししている。CMO/CDMOは、多様な製品の製造や委託元ごとに異なる製造プロセスに対応する必要があるため、柔軟に機能を組み合わせられるMESのニーズが高く、必要な機能を段階的に導入できるモジュールタイプや製造管理や電子バッチ記録、品質管理などを総合的に利用できるスイートタイプが好まれている。特に、初期費用を抑えつつ利用状況に応じて拡張可能なサブスクリプション型やSaaS型に対するニーズが高まっている。
品質管理システムは、2021年に改正GMP省令によってデータインテグリティ対策が必須となったことや、2020年以降の試験データ改ざん問題により行政査察の厳格化と製薬企業のデータインテグリティ意識が高まったことから、大手製薬企業の品質管理部門を中心に導入が加速した。近年は、大手製薬企業のリプレース案件を取り込み大きく伸長している。CMO/CDMOではシステム投資に大きなリソースを割けないケースもあるため、機能を限定した導入やサブスクリプション型のニーズが高まりつつある。
◆注目市場(モダリティ別CMO/CDMOビジネス市場)
●抗体医薬品/ワクチン/従来型バイオ医薬品CMO/CDMO

ここでは、抗体医薬品、ワクチン、従来型バイオ医薬品に関するCMO/CDMOビジネスを対象としており、医薬品製造(原薬・製剤)だけでなく、発売前の開発から包装・充填工程までを含む。
経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」で2021年度と2022年度に合計40件近くの事業が採択されている。この整備事業は、感染症パンデミック発生時にはワクチン製造に切り替え可能なデュアルユース仕様が条件となっている。平時はバイオ医薬品の製造となるため、採択されたCDMOは、バイオ医薬品の製造体制を強化する動きを見せている。採択された事業は2026年から2027年頃の稼働が多い。もともと日本の製薬企業でも、コミュニケーション面やロジスティクス、時差、品質の信頼性などの観点から国内製造のニーズが高かったことから、この整備事業によってバイオ医薬品のCDMOビジネス市場は今後伸長が予想される。
成長ドライバーとして期待されるのが、バイオコンジュゲーション/抗体薬物複合体(ADC)である。抗体、タンパク質、DNAなどの生体分子に別の分子を化学的に結合させる技術であり、その中でも抗体薬物複合体(ADC)はがん細胞に結合する抗体と細胞を殺傷する薬物(ペイロード)をリンカーで連結した分子標的薬であり、注力するCDMOは増えてきている。
なお、ワクチンについては、パンデミック発生時には緊急対応として外部委託ニーズが発生するが、平時は外部委託ニーズが少なく、安定的に推移している。
◆調査対象
モダリティ別CMO/CDMO/CRO・抗体医薬品/ワクチン/従来型バイオ医薬品CMO/CDMO
・再生医療/細胞治療/遺伝子治療CMO/CDMO
・中分子医薬品(核酸医薬品/ペプチド医薬品)CMO/CDMO
・mRNA医薬品/mRNAワクチンCMO/CDMO
・低分子医薬品CMO/CDMO
・CRO
医薬品プラント/システム
・医薬品プラント
・製造管理システム(MES)
・品質管理システム(LIMS)
モダリティ別医療用医薬品(治療薬)
・抗体医薬品/ワクチン/従来型バイオ医薬品
・再生医療等製品
・中分子医薬品(核酸医薬品/ペプチド医薬品)
・mRNA医薬品/mRNAワクチン
・低分子医薬品
ケーススタディ
・国内CMO/CDMO(CROを事業展開する企業も含む) 40社
・海外CMO/CDMO(CROを事業展開する企業も含む) 3社
・国内CRO 7社
