PRESSRELEASE プレスリリース

第26077号

国内の分散型エネルギーリソースのポテンシャルと活用システム市場を調査
― 2040年度予測(2024年度比) ―
■分散型エネルギーリソースの供出価値ポテンシャル 3兆5,196億円 (2.8倍)
DERの普及、活用システム・デバイスの導入増加により拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス※1(Energy Resource Aggregation Business:ERAB)の本格的な商用化が進んでいることから、今後一層の活用が期待される分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources:DER)の容量、電力量ポテンシャルとそれを市場取引した場合に期待できるエネルギー価値、環境価値のポテンシャルを調査した。その結果を「分散型エネルギーリソース関連市場の現状と将来展望 2026」にまとめた。

この調査では、国内における発電/蓄電システム、給湯/空調機器、EVなどのDERのストック数をベースにした容量・電力量のポテンシャルやそれらから供出されるエネルギー価値、環境価値について試算した。また、DERを活用・価値化するために必要となるシステム・デバイス15品目の市場を捉えた。

※1 ERAB:DERから供出される供給力や調整力を束ねて(アグリゲートして)活用するビジネス


◆調査結果の概要

■分散型エネルギーリソース(DER)の容量・電力量ポテンシャル

分散型エネルギーリソース(DER)の容量・電力量ポテンシャル

DERのストック数をベースに、供出される容量・電力量を全て制御可能とした場合(制御率100%)、2040年度には活用可能な容量ポテンシャルは487GW、電力量ポテンシャルは461TWhが予測される。現状では、ストック数の多さから非住宅用太陽光発電システムや空調機器のポテンシャルが大きいが、中長期的には、系統用蓄電システムをはじめとした非住宅用蓄電システムが伸びるとみられる。

2020年代後半から2030年代前半にかけては需給調整市場における低圧リソースの解禁やDRready規格の整備と対応機器の導入により、需要家併設エネルギー機器の活用機運が高まり、2030年代後半にはレジリエンス強化や再生可能エネルギーの活用最大化に関する技術開発や社会実装が進み、DERの活用シーンは一層広がると予想される。


■DERによって供出されるエネルギー価値、環境価値のポテンシャル(供出価値ポテンシャル)

DERによって供出されるエネルギー価値、環境価値のポテンシャル(供出価値ポテンシャル)

市場はDERの容量(kW)、電力量(kWh)の制御率100%の場合のポテンシャルを、一定の条件や価格に基づいて市場取引(kW価値、kWh価値、ΔkW※4価値、環境価値)した場合に期待できる金銭価値を対象とした。

※4 ΔkW:短期間に需給調整できる調整力


国内における各種政策、取引制度の充実を背景にDERの普及が進み、有効活用に必要となるシステム・デバイスの導入が拡大することで、供出されるkW・kWh・ΔkW価値や環境価値のポテンシャルも増加していき、2040年度には3兆5,196億円が予測される。現状、kW価値、kWh価値、ΔkW価値、環境価値の供出価値ポテンシャルはDERのストック数に左右される。このためストック数が多い空調リソース(ルームエアコン、パッケージエアコン/ビル用マルチエアコン)、発電リソース(非住宅用太陽光発電システム、コージェネレーションシステム)の比率が高い。

kW価値は、2030年度から2040年度にかけて、EVリソースの占める割合が長期的には増加するとみられる。V2Xとの連携が前提となるものの、EV(乗用車)の普及を背景に、供出価値ポテンシャルの拡大が予想される。

kWh価値は、2030年度以降、特に蓄電リソースが占める割合が増加するとみられる。特に非住宅用蓄電システムは制御指令への応答性や容量・電力量の大きさから、DERとしてのポテンシャルが高く活用が期待される。

ΔkW価値は、2030年度から2035年度にかけて、kWh価値市場と同様の理由で蓄電リソースが占める割合が増加する見通しである。

環境価値は、非化石電源による発電や省エネ機器の導入による燃料の使用量削減によって創出可能であり、現時点から2040年度にかけて住宅用・非住宅用太陽光発電システムが中心とみられる。

※ 変動電源である太陽光発電システムは、kW価値およびΔkW価値の創出が不可能なため、両ポテンシャルから除外した。

また、ヒートポンプ給湯機、エアコンについても機器特性や利用シーンなどから、急峻な変動に追従する制御は

困難であるとし、ΔkW 価値の創出は不可能としてポテンシャルから除外した。


◆注目市場

●AC(Aggregation coordinator)システム/RA(Resource Aggregator)システム

ACシステム/RAシステム

傘下のRAシステムなどに制御指令を出すとともに、市場取引システムと連携して取引管理・実績報告を行うACシステム、ACシステムなど上位システムの指令に従い制御計画を策定し、傘下のEMS(DRシステム)やゲートウェイ機器/DERに対して制御指示を出すRAシステムを対象とする。市場は主にSaaSで提供される製品・サービスのシステム稼働・利用料などランニングコストで捉えた。

2020年前後より、容量市場や需給調整市場の創設に伴い、実証への参画事業者がけん引する形で、商用化が進んでおり、系統用蓄電システムの制御用途での導入が急拡大している。

特に2025年度はこれまで運用代行サービスを活用していたユーザーが、制御に関する知見・ノウハウの蓄積に向けて自社制御に切り替える機運が高まったことから、システムの利用件数が大きく伸びた。現状増えている系統用蓄電システムの運転開始に伴う導入は2028年度まで好調な伸びが続き、以降は需要家併設エネルギー機器の制御・アグリゲーション用途や再エネ併設蓄電システムの制御用途が市場をけん引していくとみられる。2030年代後半には、系統用蓄電システムの新規用途(ローカルフレキシビリティ・慣性力提供・再エネ出力制御回避・系統混雑緩和など)の需要増加・市場化などにより、市場はさらに伸長すると予想される。

なお、2026年度に入り、住宅を中心とした低圧分野リソースの需給調整市場への参入が解禁されたが、それらの制御・アグリゲーション用途については、機器個別計測に必要となる無線端末の普及など が課題となっており、2030年度前後からの導入拡大が期待される。

●DRシステム(機器制御型)

DRシステム(機器制御型)

需要家が電力使用量を調整することで、電力需給バランスを保つDRのうち、需要家側に併設されたエネルギー機器の直接・間接的な制御を行う、機器制御型のDRの実施に用いられるシステムを対象とする。市場は小売電気事業者向けに主にSaaSで提供される製品・サービスのシステム稼働・利用料などランニングコストで捉えた。

2022年度の需給ひっ迫懸念と、冬季の経済産業省による補助金によって急速に拡大した家庭向け・法人向けDRサービスの展開を背景に市場が形成された。機器制御型は、エネルギー機器や制御端末(ゲートウェイ機器・HEMS)が必要であるものの、行動変容型DRと比較するとDR可能量が大きく、応動率が高いことから注目されている。

2024年度以降「DR家庭用蓄電池事業」やGX志向型住宅で補助金が設定され、DRに対応可能なエネルギー機器の普及が進められている。また直近では、小売電気事業者によるエネルギー機器の提供とDRを組み合わせたサービスの展開が増えており、市場拡大の機運が一層高まっている。

なお、機器制御型では制御指令を出す対象数(制御端末数・DER数・需要家数)に応じて従量料金が採用されるケースが多い。DERのストック数増加に伴い、制御指令が出される対象数も増加していくことから、サービス費用も上昇していき、数量ベースと比較して金額ベースの伸びが高くなると予想される。

◆調査対象

分散型エネルギーリソース活用システム・デバイス
ERAB関連システム
・ACシステム/RAシステム
・DRシステム(機器制御型)
・DRシステム(行動変容型)
電力小売業務関連システム
・需給管理システム
・顧客管理システム(CIS)
環境価値取引関連システム
・環境価値創出プラットフォーム
・環境価値取引プラットフォーム
・CO2計測/見える化システム
EV利活用システム
・EV車両管理システム
・EV充放電管理/制御システム
計測・需給調整システム
・需要家EMS
・広域EMS
・電力スマートメーター
エッジデバイス
・GW機器
・車載IoTデバイス

分散型エネルギーリソース
発電/蓄電機器・システム
・住宅/非住宅用太陽光発電システム
・住宅/非住宅用燃料電池システム
・住宅/非住宅用蓄電システム
・コージェネレーションシステム
給湯/空調機器・システム
・住宅/非住宅用ヒートポンプ給湯機
・住宅用ハイブリッド給湯機
・ルームエアコン
・パッケージエアコン/ビル用マルチエアコン
EV関連機器・システム
・EV(乗用車)
・EV(商用車)
・充電器
・V2X(V2H・V2B)


2026/7/23
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