PRESSRELEASE プレスリリース
●介護DX関連 1,712億円(2.3倍)
LIFEを軸としたデータ連携が進み、介護施設への導入が促進され拡大
将来的には各システムが連携した介護プラットフォームとして確立
●介護用ロボット 43億円(2.5倍)
介護者の負担軽減目的で導入増。在宅介護や入浴時など活用シーンの広がりも期待される
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、高齢者人口がピークとなる2040年に向けて拡大が予想されるが、参入企業においては介護保険制度の改正や各種コストの高騰、高齢者福祉施設や病院の経営悪化といった環境変化への対応が不可欠な介護・福祉関連ビジネスの国内市場を調査した。その結果を「2026年版 介護・福祉関連ビジネス×商圏分析データブック」にまとめた。
この調査では、介護保険製品13品目、パーソナルケア製品8品目、介護・リハビリ機器3品目、介護・リハビリシステム3品目の計27品目について、最新の市場動向をまとめ、将来を展望した。また、介護関連の卸業者や介護ショップといった流通視点の市場や都道府県別のデータもまとめた。
◆注目市場
●介護DX関連の国内市場 ※介護・リハビリシステム市場

介護従事者不足の深刻化や制度の厳格化により、介護DXの進展は業務効率化を超えた事業継続のための必須戦略となっており、関連システム市場は成長が続いている。契機の一つとして2021年のLIFE(科学的介護情報システム)のスタートがある。科学的介護推進加算が新設されたことでデータ提供が介護事業者の収益に直結するようになり、運用に当たって介護現場で把握している高齢者の情報をLIFEへ登録することから、業務効率化支援システムが国のデータ基盤と接続するインフラになり需要が大きく増加した。
現在、各システムで収集したデータを介護ソフトが集約し、LIFEと接続することで、介護経営全体がデータに基づいて運営される構造が形成されつつあり、堅調な市場拡大が予想される。今後は、LIFEを軸としたデータ連携を通じて各システムが相互に補完し合いながら進化し、将来的にはこれらが一体となったプラットフォームとして機能する構造へと移行していくとみられる。
【業務効率化支援システム】
介護請求管理に加え、施設管理や利用者管理、介護実績管理などの業務を支援するシステムであり、高齢者施設の基本システムの位置づけである。
すでに多くの施設に導入され、新規導入よりもリプレースや他社からの切り替えが多く、記録作成や情報共有といった業務支援機能の充実で差別化を図る動きが活発であり、AIを活用した計画書の自動生成などで業務負担軽減やミスの削減が期待されている。現在は単体の機能向上に加え、LIFEに関わる他システムとの連携力も重視されており、多様なサービスを一元管理できるプラットフォームとしての機能が求められる。
【見守りシステム】
介護従事者不足の中、夜間巡視や転倒リスク管理といった見守り業務を代替するニーズが急速に高まり、近年参入企業も増加して市場は急速に成長している。従来は転倒や離床があった後に通知される検知型が主流であったが、行動データやセンサー情報を活用して事故の前兆を予測し、事故を未然に防ぐ役割へと進化しているほか、カメラやAI解析の活用も進んでいる。
現場のリアルタイムデータを取得しつつ、LIFEへデータを供給する役割を担う。補助金や加算の存在も導入を後押ししており、LIFEや介護ソフトと連携するデータプラットフォームの一部として、導入が増えるみられる。
【リハビリ・機能訓練・口腔ケア支援システム】
リハビリテーションのスケジュール管理や、訓練のプログラム立案の支援を行うシステムであり、個別機能訓練を行うデイサービスを中心に導入が進んでいる。2024年の介護報酬改正以降、LIFEへのデータ提出に対して加算が付くようになり、導入の追い風になっている。今後、各種情報を集めたビッグデータやAIを用いた高度な訓練プログラム立案が行えるようになることで、さらなる市場拡大が期待できる。
LIFEにおいては、高齢者の状態やケア内容のデータを蓄積する役割を担い、LIFEからのフィードバックで機能訓練計画を見直し、より効率的な訓練プログラムの設計が可能となる。DX化の進展でデータ統合が進む中、他システムとの相互運用性が強く求められており、今後はリハビリ支援機能の向上だけでなく、介護ソフトと連携し、LIFEへ円滑にデータを提出できる仕組みが不可欠である。
●介護用ロボット

介護者が操作し、被介護者の移乗を支援する装置(移乗サポートロボット、介護リフトなど)と、介護者が装着し、介助作業を支援する装置(アシストスーツ)を対象とする。
市場は、介護現場の人手不足による職員の負担軽減ニーズの高まりや、在宅介護の増加を背景に大きく拡大している。主なユーザーは特別養護老人ホームや介護老人保健施設であり、職員の負担軽減目的やDX推進に伴う導入が進んでいる。在宅介護を見据えたアシストスーツの軽量化や、浴室内の使用を可能にした防水機能付き製品が開発されており、今後も活用シーンが増えることで市場成長が続くとみられる。
想定されていた需要に対して、現状の普及率はまだ低く、導入コストの高さや認知度の低さが障壁となっている。参入企業が活用の幅を広げる技術開発やプロモーション戦略に取り組むことに加え、国や自治体による支援事業や介護保険のレンタル対象品目になることなど、外部からの市場活性化も待たれる。
◆調査結果の概要
■介護・福祉関連製品、システムの国内市場

高齢化の進展に伴う介護需要の高まりで各分野とも堅調に推移している。高齢者人口がピークを迎える2040年の市場は、8,423億円と予測される。
市場は介護保険制度の改正と密接に関わるため、現在議論されている、介護サービス2割負担の対象者拡大、ケアマネジメントの有料化といった利用者負担のあり方、軽度向けサービスの地域支援事業への移行、科学的介護と介護DXの推進、などの動向にも影響される。
市場拡大要因としては、DX化の進展によるデータ連携可能な介護システムの需要増加や、ADL(日常生活動作)向上が評価されることによる、自立支援に直結する高機能製品の需要増加が考えられる。一方、阻害要因としては、利用者負担の増大でPBなど安価な製品へ需要がシフトすることなどが挙げられる。
介護保険製品は、医療・介護用電動ベッドや車いす(手動・電動)の規模が大きい。近年在宅介護における自立支援、ADL向上意識が浸透したことや、介護者の負担軽減を目的とした住環境整備への需要が高まっていることから、手すりや歩行車・歩行器/シルバーカー、移動用リフトが伸びている。一方で、福祉用具貸与価格の上限があるため、様々なコストの高騰が価格に反映されず単価が上昇しない、卸業者が仕入れ価格抑制のため既存在庫を回転させ新製品を買い控える、といった課題もある。
パーソナルケア製品は全体の50%程度を占め、中でも大人用紙おむつの構成比が大きく、要介護者人口の増加、高機能化による単価上昇などで今後も微増が続くとみられる。
介護・リハビリ機器は、高齢者福祉施設や病院が主なユーザーとなっている。特殊入浴装置の規模が大きく、安定したリプレース需要が市場を下支えしている。今後は、被介護者の負担を軽減する介護ロボットの普及も期待される。
最も成長が期待されるのは介護・リハビリシステムであり、介護業務の効率化のみならずLIFEと連携するインフラとして施設への導入が進むことから、2040年には1,700億円以上の規模になると予測される。
■高齢者施設入居率および人口あたりの病床数からみるポテンシャルエリア

高齢者施設入居者数を65歳以上の高齢者人口で除算した高齢者施設入居率、病床数を総人口で除算した人口当たりの病床数を基準に、都道府県を4つに分類した。
※高齢者施設高利用・医療資源豊富エリア:高齢者施設入居率6%以上、人口当たりの病床数0.011床以上/高齢者施設医療介入型エリア:高齢者施設入居率6%以上、人口当たりの病床数0.011床未満/医療資源依存エリア:高齢者施設入居率6%未満、人口当たりの病床数0.011床以上/在宅医療・介護エリア:高齢者施設入居率6%未満、人口当たりの病床数0.011床未満
高齢者施設高利用・医療資源豊富エリアは、相対的に高齢者施設の入居が多く、医療介入が必要な場合は医療資源を活用可能な環境にあると考えられる。高齢者施設医療介入型エリアは施設入居が相対的に多いが、医療資源が乏しいことから、高齢者施設での医療介入の機会が多いと推測される。
医療資源依存エリアは、高齢者施設の入居が少なく病床数が相対的に多い。病床利用を伴う医療サービスが必要な際は病院を利用できる環境にあり、介護側の医療介入の必要性が低いと言える。在宅医療・介護エリアは、高齢者施設入居率が低く病床数も少ないエリアである。病床数不足で早期退院や在宅医療が選択されるケースも多いとみられ、在宅医療・介護ともにニーズが高い環境である。
◆調査対象
介護保険製品・医療/介護用電動ベッド
・手動車いす
・電動車いす
・床ずれ防止マット
・手すり
・歩行車/歩行器/シルバーカー
・体位変換器
・歩行補助杖
・自動排泄処理装置
・入浴補助用具
・ポータブルトイレ
・移動用リフト
・排泄予測支援機器
パーソナルケア製品
・大人用紙おむつ
・高齢者向けシューズ
・介護用ウェットティッシュ
・介護用口腔ケア製品
・介護用消臭製品
・清拭剤
・介護用防水シーツ
・介護用食事エプロン
介護・リハビリ機器
・特殊入浴装置
・運動療法リハビリテーション機器
・介護用ロボット
介護・リハビリシステム
・業務効率化支援システム
・見守りシステム
・リハビリ/機能訓練/口腔ケア支援システム
流通
・介護レンタル卸
・介護販売卸
・介護ショップ(貸与・販売業者)
