PRESSRELEASE プレスリリース
新型コロナウイルス感染症の影響により世界の工場稼働率は低下。2020年の市場は厳しい状況
<調査結果の概要>
■メカトロニクスパーツ 1兆5,972億円(6.7%減)
~ 半導体関連の需要は回復に向かっているものの、
自動車をはじめ製造業全体の需要が減少しており、市場は縮小 ~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による環境の変化に伴い、参入メーカーが戦略の変革を進めているFA機器の構成部品(メカトロニクスパーツ)の市場を調査した。その結果を「2020年 注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」にまとめた。
この調査では、コントローラー領域5品目、ドライブ領域8品目、メカニカル領域4品目、センサー領域9品目、受配電機器領域5品目、ネットワーク機器領域5品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。なお、市場は国内市場+日系メーカー海外実績とした。
◆調査結果の概要
■メカトロニクスパーツ市場(国内市場+日系メーカー海外実績)
2019年の市場は、1兆7,118億円(2018年比12.1%減)となった。半導体・液晶製造装置などのエレクトロニクス業界や、自動車業界の設備投資が低調だったこと、米中貿易摩擦の影響により食品・包装機械や一般産業機械などの設備投資が抑制されたことからメカトロニクスパーツの需要も減少し、市場は縮小した。
2020年の市場は、1兆5,972億円(2019年比6.7%減)が見込まれる。新型コロナウイルス感染症の影響により、世界の工場稼働率は低下しており、厳しい市場環境となっている。テレワークの増加によるサーバーへの投資拡大、5G関連の投資拡大などにより、半導体関連の需要は回復に向かっているが、自動車業界をはじめ、製造業全体の需要は引き続き減少しており、市場の縮小が予想される。
◆注目市場
●プログラマブルコントローラー
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2019年 |
2020年見込 |
2019年比 |
国内市場 |
1,052億円 |
950億円 |
90.3% |
日系メーカー海外実績 |
899億円 |
870億円 |
96.8% |
合 計 |
1,951億円 |
1,820億円 |
93.3% |
プログラマブルコントローラーは、リレー回路の代替装置として開発された制御装置であり、主に工場などの自動機械の制御に使われている。
2019年は、半導体・液晶製造装置や自動車製造関連装置の設備投資が抑制されたことから市場は縮小した。2020年の市場は、1,820億円(2019年比6.7%減)が見込まれる。中国を中心に半導体製造装置向けは堅調であるが、新型コロナウイルス感染症の影響から全般的に設備投資が抑えられているため、市場は縮小するとみられる。
●ACサーボモーター
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2019年 |
2020年見込 |
2019年比 |
国内市場 |
1,035億円 |
881億円 |
85.1% |
日系メーカー海外実績 |
847億円 |
849億円 |
100.2% |
合 計 |
1,882億円 |
1,730億円 |
91.9% |
サーボモーターとは、サーボ機構において位置や速度などを制御する用途に使用するモーターであり、大きくACタイプとDCタイプに区分され、ここではACタイプを対象とする。
2019年は、米中貿易摩擦の激化によりロボット/実装・組立機械や工作機械、半導体・液晶製造装置の需要は減少し、後半に中国を中心に半導体の需要が回復したものの市場は縮小した。2020年の市場は、1,730億円(2019年比8.1%減)が見込まれる。中国での半導体の需要は5G関連の投資拡大やスマートフォン市場の回復から好調であるが、自動車製造向けの工作機械は大幅に需要が減少するとみられる。また、当面は新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たないことから、市場は縮小するとみられる。
●産業用スイッチングハブ
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2019年 |
2020年見込 |
2019年比 |
国内市場 |
30億円 |
27億円 |
90.0% |
日系メーカー海外実績 |
2億円 |
1億円 |
50.0% |
合 計 |
32億円 |
29億円 |
90.6% |
※市場データは四捨五入している
産業用スイッチングハブは、ネットワークにおいて中継を行うハブであり、製造現場向けに堅牢性、信頼性、耐環境性を高めた産業用の製品を対象とする。
これまで欧米を中心に市場は形成されてきた。近年、IT(情報技術)とOT(運用技術)の連携やIoT化の動きが活発化していることで、市場は拡大している。2020年の市場は、29億円(2019年比9.4%減)が見込まれる。自動車業界を中心に製造業全体の設備投資が抑制されていることから、市場は縮小するとみられる。2021年以降は、食品製造や化学プラントといったディスクリート(組立加工)型製造業への普及が進むことやIT投資の活発化により、再び市場は拡大していくとみられる。
●リニアサーボモーター
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2019年 |
2020年見込 |
2019年比 |
国内市場 |
86億円 |
96億円 |
111.6% |
日系メーカー海外実績 |
40億円 |
42億円 |
105.0% |
合 計 |
126億円 |
138億円 |
109.5% |
リニアサーボモーターとは、稼働対象に直接、直線的な運動を与える駆動装置であり、ハイエンドの半導体・液晶製造装置や工作機械などで採用される。
2019年は、米中貿易摩擦の影響により主力用途である半導体・液晶製造装置の需要が減少し、市場は縮小した。2020年の市場は、138億円(2019年比9.5%増)が見込まれる。新型コロナウイルス感染症の影響により、工作機械などでは需要が減少しているが、5G関連の投資拡大やスマートフォン市場の回復などにより半導体・液晶製造装置での需要が回復していることから市場は拡大が予想される。
◆調査対象
コントローラー 領域 |
・プログラマブルコントローラー |
・産業用コンピューター |
・温度調節計 |
・プログラマブル表示器 |
・モーションコントローラー |
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ドライブ領域 |
・ACサーボモーター |
・ダイレクトドライブモーター |
・三相インダクションモーター |
/ドライバー |
・産業用ステッピングモーター |
・産業用ギアードモーター |
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・リニアサーボモーター |
・汎用インバーター |
・産業用PMモーター |
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メカニカル領域 |
・単軸アクチュエーター |
・リニアガイド |
・カップリング |
・ボールねじ |
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センサー領域 |
・固定式コードリーダー |
・レーザー変位センサー |
・ロータリーエンコーダー |
・光電センサー |
・近接センサー |
・産業用振動センサー |
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・ファイバーセンサー |
・リニアエンコーダー |
・産業用温度センサー |
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受配電機器領域 |
・産業用配線用遮断器 |
・コンタクタ |
・スイッチング電源 |
・産業用気中遮断機 |
・電力調整器 |
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ネットワーク 機器領域 |
・産業用IoTルーター |
・産業用スイッチングハブ |
・産業用ネットワークケーブル |
/ゲートウェイ |
・FA用無線LANシステム |
・端子台 |