PRESSRELEASE プレスリリース

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋　社長　菊地　弘幸　03-3241-3470)は新型コロナウイルス感染症の流行を契機としたワクチンに対する意識の変化により、定期接種化の加速や任意接種の啓発・支援が進む主要ワクチンの国内市場を調査した。その結果を「新時代を迎えたワクチン市場における2030年予測とパンデミック時ワクチン物流の方向性」にまとめた。

この調査では、主要ワクチン10品目市場の現状、および2030年までの将来予測に加えて、新型コロナの治療薬市場についても捉えた。

◆調査結果の概要

■主要ワクチンの国内市場(新型コロナワクチンを含まない)

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン、水痘ワクチン、風しん・麻しんワクチン(風しんワクチン、麻しんワクチン含む)、ロタウイルスワクチン、おたふくワクチン、RSウイルスワクチンなどを対象とする。

2021年、2022年の出生数は大きく減少しており、水痘ワクチンや風しん・麻しんワクチンなど新生児・未就学児の集団予防を目的とした定期接種Aの対象者は減少しているものの、2020年にロタウイルスワクチンが定期接種化され、ヒトパピローマウイルスワクチンが2022年4月より積極的勧奨となっている。また、政府もインフルエンザワクチンの接種を勧奨していることからインフルエンザワクチンの出荷量が増加しており、2022年は市場拡大するとみられる。

2023年以降、少子化対策を受けたワクチンの定期接種化、また、新型コロナの流行を契機としたワクチンに対する意識の変化により、定期接種化の加速や任意接種の啓発・支援が進展し、市場は堅調に拡大するとみられる。また、インフルエンザワクチンなど高齢者の接種率が特に高いワクチンが伸長するとみられ、2030年の市場は2021年比16.3%増の1,880億円が予測される。

◆注目市場

●新型コロナワクチン・治療薬市場

※市場は政府購入額を含む

2022年の市場は、前年比7.7%増の9,493億円が見込まれる。ワクチンは高齢者を中心に接種が進んでいる。3回目以降の接種は一時進まなかったものの、オミクロン株対応のワクチンが承認されたことで接種者数は増加している。治療薬は、経口剤であるラゲブリオ(MSD)などを中心に、2022年は5,419億円が見込まれる。2023年以降は、新型コロナの感染症分類変更により市場環境が大きく変化するとみられる。

●インフルエンザワクチン

65歳以上の接種率は60%を超えることから、高齢者人口の増加などを要因として市場は拡大するとみられる。2022-2023年シーズンは新型コロナとのツインデミックが予想され、国内の生産体制も整ったことから過去最大の出荷量となっている。政府がワクチン接種を勧奨しているほか、自治体や企業単位の補助金が市場拡大を後押ししている。今後も市場は堅調に拡大し、2030年は2021年比32.0%増の739億円が予測される。

●ヒトパピローマウイルスワクチン

一時期接種が進まない状況が続いたものの、2022年4月に積極的な勧奨が再開されたことを受け、2021年に市場は回復し、2022年は前年比2.5倍の35億円が見込まれる。NIIGATA　Study(厚生労働科学研究費革新的がん医療実用化研究)などにより、今後はワクチンの有効性とリスクの理解も広まるとみられることから市場は堅調に拡大し、2030年には2021年比3.1倍の44億円が予測される。

◆調査対象