PRESSRELEASE プレスリリース
■HV(乗用車・新車販売台数) 1,176万台(2.8倍)
~ASEAN・東アジアなどで内燃車からの切り替えが進み、伸長~
■PHV(乗用車・新車販売台数) 650万台(2.4倍)
~各エリアでEVシフトが進むものの、北米を中心とした堅調な需要により拡大~
■EV(乗用車・新車販売台数) 5,774万台(8.2倍)
~カーボンニュートラル実現に向けた取り組み、快適・娯楽・利便性などを追求した
高付加価値EVの投入で、中国や欧州を中心にEVシフトが加速~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、2050年のカーボンニュートラル達成目標に向けて、自動車メーカー各社で車種展開・開発が進んでいるHV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)の世界市場を調査し、その結果を「2023年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」にまとめた。
この調査では、HV、PHV、EVに加え、FCV、48VマイルドHV、内燃車、それらの関連部品16品目の市場の将来を展望した。また、日系自動車メーカー8社、海外自動車メーカー14社、EV新規参入メーカー5社の事例も捉えた。
※超小型モビリティを除く。また、HVには48VマイルドHVを含まない。
◆調査結果の概要
●HV、PHV、EVの世界市場(乗用車・新車販売台数)
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2022年 |
2021年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
HV |
421万台 |
108.8% |
1,176万台 |
2.8倍 |
PHV |
276万台 |
146.0% |
650万台 |
2.4倍 |
EV |
705万台 |
149.0% |
5,774万台 |
8.2倍 |
合 計 |
1,402万台 |
133.7% |
7,600万台 |
5.4倍 |
2022年の市場は、半導体不足の影響が懸念されたものの、各国のカーボンニュートラル推進によりHV、PHV、EVの新車販売台数は増加した。一方、内燃車の新車販売台数は減少したことから、新車販売台数全体に占めるHV、PHV、EVの割合は19.5%となり、前年より5.1ポイント上昇した。
2025年の新車販売台数全体に占める内燃車の割合は6割程度であるが、カーボンニュートラル実現に向けて、中国や欧州を中心にEVシフトがさらに進展するとみられる。2030年までにはEVが内燃車を上回り、2035年には新車販売台数全体の半数以上がEVになると予想される。自動車メーカー各社は、2050年のカーボンニュートラル達成目標に向けて、電動化をさらに加速させるとみられる。
●HVのエリア別市場
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2022年 |
2035年予測 |
2022年比 |
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全 体 |
421万台 |
1,176万台 |
2.8倍 |
|
|
日本 |
95万台 |
184万台 |
193.7% |
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ASEAN・東アジア |
30万台 |
246万台 |
8.2倍 |
※日本、ASEAN・東アジアは全体の内数
2022年のHVの新車販売台数は421万台であり、欧州に次いで、日本の市場規模が大きい。2025年までは各エリアとも右肩上がりで伸長するものの、環境規制対応によってEVシフトが進んでいることから、欧州では2026年以降、中国や日本では2030年以降減少するとみられる。北米でもEVシフトは進んでいるものの、HVは一定の需要を維持するとみられるほか、ASEAN・東アジアなどでは内燃車からの切り替えが進んでおり、日系自動車メーカーなどが注力していることなどから大きく伸長する。2035年の市場は、2022年比2.8倍の1,176万台が予測される。
●PHVのエリア別市場
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2022年 |
2035年予測 |
2022年比 |
|
全 体 |
276万台 |
650万台 |
2.4倍 |
|
|
日本 |
3万台 |
35万台 |
11.7倍 |
北米 |
22万台 |
201万台 |
9.1倍 |
※日本、北米は全体の内数
2022年のPHVの新車販売台数は276万台であり、中国が市場の半数以上を占めた。中国は、BYDや吉利汽車など中国自動車メーカーがPHVに注力し、車種展開が豊富だったことから前年比2倍以上の伸びとなった。PHVは、EVやFCVなどへ移行する通過点の位置づけで、中国や欧州を中心に2030年まで市場拡大が予想される。2030年以降、欧州自動車メーカーを中心に内燃機関を搭載する車両の生産から撤退するケースが増えることや、中国で車両技術や充電環境が改善されること、高付加価値EVの開発が進むことなどからEVシフトが加速し、市場縮小が予想される。一方、日本や北米では、欧州や中国のように充電環境が整備されていないことや、特に北米では他のエリアと比較して走行距離が長いため、内燃機関を搭載する車両を好むユーザーも一定数みられることなどから、PHVは今後も堅調な需要が期待される。2035年には2022年比2.4倍の650万台が予測され、市場の3割以上を北米が占めるとみられる。
●EVのエリア別市場
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2022年 |
2035年予測 |
2022年比 |
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全 体 |
705万台 |
5,774万台 |
8.2倍 |
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中国 |
427万台 |
2,061万台 |
4.8倍 |
欧州 |
152万台 |
1,412万台 |
9.3倍 |
※中国、欧州は全体の内数
2022年のEVの新車販売台数は705万台であり、中国や欧州を中心に市場は拡大した。今後も、カーボンニュートラル実現に向けて、中国や欧州を中心に各エリアでEVシフトが加速するとみられる。EVは、自動運転やコネクテッド、エンターテインメントなどといった、今後新たに搭載されるシステムやサービスと相性が良く、中国の新興自動車メーカーが最先端のエンターテインメント空間を取り入れた高級EVを投入し、既存自動車メーカーにはない視点から生み出された車内空間を訴求し、注目が集まっている。これまで、EVの普及には内燃車と同等、もしくはそれ以下の価格帯へのコストダウンが必要とされ、開発が進められてきた。しかし、ユーザーは自動車を移動手段としてだけでなく、車内空間の快適さや娯楽性などの面でも評価するようになっており、各自動車メーカーはそれらを実現する高付加価値EVの開発を進めるとみられる。また、一部の自動車メーカーでは全固体電池の実用化が進んでいることなどを受け、長期的にも市場は拡大するとみられ、2035年には2022年比8.2倍の5,774万台が予測される。
◆調査対象
自動車 |
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・HV |
・EV |
・48VマイルドHV |
・PHV |
・FCV |
・内燃車 |
HV、PHV、EV、FCV関連部品 |
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・駆動用モーター・ジェネレーター |
・電流センサー |
・車載充電器 |
・インバーター |
・高電圧ケーブル |
・急速充電器 |
・パワー半導体 |
・駆動用バッテリー |
・普通充電器 |
・平滑コンデンサー |
・燃料電池(FCスタック) |
・ワイヤレス給電 |
・DC-DCコンバーター |
・水素タンク |
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・マネジメントECU |
・電動車用暖房機構 |
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自動車メーカー |
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・日系メーカー8社 |
・海外メーカー14社 |
・新規参入メーカー5社 |