PRESSRELEASE プレスリリース

第23090号

エネルギー収支ゼロ、レジリエンス、オール電化など注目住宅市場を調査
― 2035年度予測(2022年度比) ―
■ZEH 12.3万戸(159.7%)
政府による補助事業を追い風に、ハウスメーカーやビルダーの取り組みが進展
■レジリエンス住宅 37.2万戸(2.5倍)
大規模地震など高まる災害発生リスクへの対応によって、ニーズが高まる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、戸建・集合住宅別のフローおよびストック市場に加え、注目住宅としてオール電化住宅、ZEH、ZEH-M、レジリエンス住宅、ウェルネス住宅、高齢者住宅、スマートホーム/コネクテッド住宅を対象に市場の現状を明らかにした。また、これら注目住宅と関連する住設機器17品目の市場について新築・ストック別の市場の調査を行った。その結果を「2023年版 住宅マーケット別建築・機器・サービス市場調査」にまとめた。

◆注目住宅市場

●ZEH

 

2022年度

2035年度予測

2022年度比

フロー

7.7万戸

12.3万戸

159.7%

ストック

44.9万戸

193.3万戸

4.3倍

室内環境の質を維持しながら断熱性能の向上などにより大幅な省エネルギーを実現するとともに、再生可能エネルギーなどの導入によって年間の一次エネルギー消費の収支ゼロを目指した住宅である。ZEH Orientedは含まない。

断熱性能の向上や省エネ機器の導入スペースなどを考慮して設計・提案を行う必要があるため、2022年度は戸建注文住宅をはじめとする新築が9割強を占めた。

2021年にZEHビルダー・プランナー登録制度が見直され、登録された各事業者には2020年度のZEH普及実績を基準に2025年までのZEH目標が設定された。また、第6次エネルギー基本計画では、2030年以降の新築戸建住宅の60%に太陽光発電の搭載を目指すなど政府による補助事業の推進が見られるため、今後もZEHビルダー・プランナーの事業者数は増加し、ハウスメーカーやビルダーによるZEH普及拡大の取り組みが進むことで、2035年度に向けて市場拡大が予想される。

●レジリエンス住宅

 

2022年度

2035年度予測

2022年度比

フロー

14.8万戸

37.2万戸

2.5倍

ストック

80.3万戸

345.5万戸

4.3倍

平常時にエネルギー使用量を抑制し、太陽光発電システムと蓄電システムやV2Hを併用することで非常時に自立してエネルギー供給ができる住宅を対象とする。

太陽光発電システムや蓄電システム、V2H導入への補助金が増えており、市場は拡大している。3つを組み合わせたトライブリッド蓄電システムの採用も行われており、より万全な停電対策が可能となることを背景に、2022年度は14.8万戸となった。

南海トラフ地震や首都直下地震など災害発生が懸念されており、長期間の停電に対応できる住宅のニーズは今後も高まっていくと予想される。2023年度以降は、東京都以外でも太陽光発電システム設置の義務化を宣言する自治体が多く出てくるとみられ、都市部だけでなく地方でも太陽光発電システム導入時に住宅用蓄電システムやV2Hを同時に採用するケースが増え、2035年度は2022年度比2.5倍の37.2万戸が予測される。

●スマートホーム/コネクテッド住宅

 

2022年度

2035年度予測

2022年度比

フロー

10.0万戸

18.4万戸

184.0%

ストック

33.8万戸

224.1万戸

6.6倍

有料課金が可能なIoTプラットフォームを利用する住宅を対象とする。スマートリモコン、センサーなどを設置し、照明・空調・給湯・セキュリティなどの住設機器、家電と連携させ、スマートフォンやタブレットなどで利用可能なアプリプラットフォームによる遠隔での家電操作やスマートスピーカーを介した音声操作などが行える住宅である。

2021年度から2022年度は新型コロナウイルス感染症流行の影響で新築市場が停滞したため、物件の差別化としてスマートホームに注目するデベロッパーが増えたことから、新築集合住宅を中心に市場拡大した。

今後は、新築集合住宅で増加するほか、大手デベロッパー・ハウスメーカーの新築戸建住宅や、地域デベロッパーやハウスメーカーの展開強化、また、既築住宅での対応機器の追加導入も期待され、2035年度に向けて市場拡大が予想される。

●オール電化住宅

 

2022年度

2035年度予測

2022年度比

フロー

24.4万戸

23.5万戸

96.3%

ストック

813.8万戸

1,120.5万戸

137.7%

新築戸建住宅を中心にオール電化の導入が進んでおり、北陸、四国、九州では電化率が7割以上となっている。

2022年度は電気料金の高騰や冬の需給ひっ迫対策を背景に節電や電気料金プランの見直し・値上げがみられた。これを受け、オール電化やエコキュートに関するPR活動やキャンペーンが縮小・停止されたことから、オール電化の導入数は減少した。

2023年度以降、電気料金高騰の影響は続くとみられ、PR活動やキャンペーンの縮小が予想される。長期的には新築着工戸数の減少を背景にフロー市場は縮小するとみられる。

ただし、建築物省エネ法の改正や脱炭素化対応の高まりなどを受け新築および既築の両方で毎年一定程度のオール電化の導入が進むことから、ストック市場は拡大し、電化普及率は高まると予想される。

◆調査対象

注目住宅市場

・オール電化住宅

・レジリエンス住宅

・スマートホーム/

・ZEH

・ウェルネス住宅

コネクテッド住宅

・ZEH-M

・高齢者住宅

 

注目住設機器

・エコキュート

・エネファーム

・電気式浴室暖房乾燥機

・ガス給湯器(ガス風呂給湯機)

・太陽光発電システム

・ガス式浴室暖房乾燥機

・ガス給湯器(温水給湯暖房機)

・住宅用蓄電システム

・HEMS

・ガス給湯器(給湯専用機)

・V2H(自動車用充放電器)

・スマートロック

・ハイブリッド給湯器

・全館空調システム

・宅配ボックス

・石油給湯器

・ヒートポンプ式温水暖房機

 


2023/08/14
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。