PRESSRELEASE プレスリリース

第25029号

データセンタービジネスの国内市場を調査
― 2029年予測(2023年比) ―
■データセンターサービスの国内市場 5兆4,036億円(147.4%)
規模の大きいIaaS/PaaSが市場拡大をけん引

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、メガクラウドベンダーのデータセンター需要増加を背景とする、新設計画数の増加やデータセンター1拠点あたりの開発規模の大規模化のほか、一般企業を中心とした生成AIへの投資増加でGPUサーバーに関連したニーズが高まっている国内のデータセンター市場を調査した。その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2025年版 市場編」にまとめた。

この調査ではデータセンターサービス9品目、データセンター関連製品27品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。また、この調査のシリーズで、データセンター事業者33社(SIer系事業者、キャリア系事業者、データセンター特化系(ファシリティ/サービス)事業者)の動向を整理した「ベンダー戦略編」では、Webによるユーザーアンケートも行った。

◆調査結果の概要

■データセンターサービスの国内市場

データセンターサービスの国内市場

2024年の市場は4兆180億円が見込まれる。2029年に向けて年平均6%程の拡大が予測され、規模の大きいIaaS/PaaSが市場拡大をけん引することで、国内IT関連サービスの中でも高い伸びが予想される。

サービス提供者がサーバーを提供するホスティング(基本)は一時低迷していたが、GPUホスティングサービスの利用増加を背景に伸びている。サーバーを保有せずに計算能力を利用できるため、PoC(概念実証)向けでの活用がみられる。また、GPUホスティングサービスの提供を開始する新規参入ベンダーも増えており、今後も伸長が予想される。

一方、サーバー提供企業がアプリケーションの運用まで行うホスティング(アウトソーシング)は、企業が新規システムを構築する際、クラウドサービスの導入が一般的となっているため減少している。

IaaS/PaaSは、IaaS/PaaSベースの新規システム開発が多いことから伸長が予想される。自国内の事業者が運営し、セキュリティ面や他国の法令等の影響を受けずデータ主権を担保しながらクラウド利用ができるソブリンクラウドの提供も進むとみられ、ITシステム基盤としてのクラウドサービスのデファクトスタンダード化やガバメントクラウドとしての利用増加によって、伸びが予想される。

ハウジングは、クラウドサービスの企業利用が進む中、データの安全性を高めるため、不特定多数のユーザーが利用するインターネットとは別に関係者のみが接続できる閉域接続を目的とした需要が増加している。また、都心や大阪都市部を中心に、IaaS/PaaS上ではなく、独自のAI関連システムを構築しハウジングを利用する動きもみられる。クラウドサービスの利用や独自のAI関連システム構築が増加することで、今後も伸長するとみられる。

通信回線サービスは、新設データセンターの増加に伴い、データセンター間やユーザー拠点とデータセンター間で利用が増加している。2026年にデータセンターの新設ピークが予想されるものの、稼働量は増えるため2029年に向けて伸びが予想される。

共同利用は、証券や銀行など金融業や公共団体向けの特定アプリケーションを、特定企業・団体が共同で利用するサービスを対象とする。

証券向けでは、従来の証券業務に関するシステムを共通化することで、新たな用途に向けたIT投資の最適化を図っており、利用が増加している。一方、銀行向けは、既に勘定系システムの共同利用化が進んでいるほか銀行の統廃合を背景に縮小している。公共団体向けも、各自治体のサーバー導入運用コスト削減やシステムの標準化/共通化などを目的にガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行しており、今後は縮小が予想される。

■データセンターの総床面積

データセンターの総床面積

2024年の総床面積は、特に15,000㎡を超えるメガクラウドベンダー向けのハイパースケールDCの新設が進み、前年比6.1%増の461万8,610㎡が見込まれる。主要データセンター事業者やユーザー企業の拠点が多い関東が、全体の約63%を占めるとみられる。

データセンター新設は2026年から2028年頃がピークと予想される。地域別では、最大需要家であるメガクラウドベンダー向けのハイパースケールDCが計画される関東や関西が伸びをけん引するとみられる。

一方、その他地域でも伸長が期待される。2025年以降、ソフトバンクが北海道でデータセンター新設を予定しているほか、メガクラウドベンダーの中には広島県や和歌山県でデータセンター開発を進めるケースもみられる。

◆注目市場

●GPUサーバー(データセンター向け)

GPUサーバー(データセンター向け)

CPU(中央演算処理装置)に加えGPU(画像処理半導体)を搭載したサーバー設備である。従来、3Dグラフィック描写のための計算処理に利用されていたが、近年は科学技術研究やAI分野などの膨大な並列演算処理にも利用され、需要が急増している。

大手クラウド事業者や、大学などの教育・研究機関、AI関連ビジネスを行うIT企業が、数十台以上の規模で導入している。2024年の市場は、2023年に引き続き、AI・生成AIの開発や活用を目的とした大規模導入が進み、市場は拡大するとみられる。経済産業省による、経済安全保障推進法に基づいたAI開発に必要な計算資源の整備に対する助成もプラスに働いている。

今後も引き続きAI・生成AIの活用を目的とする引き合いが増え、2029年の市場は2023年比15.6倍が予測される。ただし、1台当たり数千万円以上する製品もあるほか、冷却設備をはじめとした高額な設備維持費などもかかるため国内での本格的な普及には時間を要し、伸びは緩やかになると予想される。

●液冷関連製品(冷却塔、リアドア型/InRow空調、CDU)

液冷関連製品(冷却塔、リアドア型/InRow空調、CDU)

データセンター用の冷却塔やサーバーラックを囲い近距離から送風するリアドア型空調機、ラックの側面に空調機を設置するInRow型空調機、冷水をシステム全体に分配するCDUを対象とする。

高い負荷がかかり高発熱であるGPUサーバーを運用するため、データセンター側では空冷で対応するケースが多いものの、より高効率で冷却できる液冷(DLC方式、リアドア)対応が進んでいるため、2024年の市場は前年比57.1%増が見込まれる。

生成AIの普及で、GPUサーバーを始めとする高性能なIT機器の需要が増していることやCPU、GPUの高機能化に伴い、データセンターでの発熱量が急速に増加している。したがって、今後は、空冷方式より高い効率で冷却できる液冷方式の普及が加速するとみられ、市場拡大が予想される。

◆調査対象

データセンターサービス
・ホスティング(基本)
・ホスティング(アウトソーシング)
・IaaS/PaaS
・ハウジング(基本)
・ハウジング(アウトソーシング)
・DinD
・通信回線サービス
・共同利用
・その他(SaaS、他)

データセンター関連製品
ITプロダクト
・サーバー
・GPUサーバー
・ストレージ
・ルーター/スイッチ
・WDM
・メディアコンバーター
・サーバーラック

空調設備
・パッケージエアコン
・ターボ冷凍機
・チラー
・AHU
・冷却塔
・リアドア型/InRow型空調機
・CDU
・中央監視システム

電気設備
・無停電電源装置
・PDU/PDP
・インテリジェントPDU
・バスダクト
・DCIM
・受電/変電設備
・非常用発電機(ディーゼル/ガスタービン)

その他
・二重床
・ラック開閉システム
・火災予兆検知システム
・ビル型データセンター
・コンテナ型データセンター


2025/3/24
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。