PRESSRELEASE プレスリリース
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、脱炭素化の流れを受けてニーズが高まる、産業/業務分野における脱炭素エネルギーソリューション(CO2排出削減サービス)の動向を調査し、それによって削減できるCO2排出量を推計した。その結果を「2022年 脱炭素エネルギーソリューション市場における参入事業者と最新動向調査」にまとめた。
この調査では、主要エネルギー事業者、注目事業者、投資事業者、計50社のビジネス展開状況から国内における脱炭素エネルギーソリューションの最新動向を捉えると共に、脱炭素関連の政策/金融機関動向/アライアンス動向、欧州エネルギー事業者の動向を把握することで、2050年のカーボンニュートラル達成に向けたCO2排出削減の方向性を明らかにした。
企業活動におけるCO2排出量削減に寄与するサービスとして、脱炭素エネルギーソリューションが展開されている。脱炭素化の流れを受けて、炭素税の導入検討やESG(環境・社会・ガバナンス)投資が急拡大する中、産業/業務分野におけるCO2排出削減が求められ、企業単位で取り組みを強化する必要性が高まっている。企業の脱炭素化ニーズの高まりにより、数多くのサービス事業者が参入し、提供サービスも燃料転換や運用改善、高効率機器の導入に代表される省エネ施策から、省CO2に向けた提案の強化、サプライチェーン全体の脱炭素化やSDGsの支援サービスなど多様化している。今後は脱炭素化に向けた出資制度の創設を盛り込んだ地球温暖化対策推進法の改正や、大手銀行によるトランジション・ローンの広がりなど、政策・金融面での支援制度も拡充していくとみられ、一層の進展が期待される。
◆注目市場
●脱炭素エネルギーソリューションによって削減されるCO2量
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2020年度 |
2030年度予測 |
2050年度予測 |
|
燃料転換 |
天然ガス化 |
12万トン |
87万トン |
- |
電化 |
2万トン |
22万トン |
58万トン |
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新エネ化 |
- |
- |
170万トン |
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運用改善 |
EMS |
20万トン |
319万トン |
777万トン |
省エネサービス |
1万トン |
3万トン |
15万トン |
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高効率機器の導入 |
空調 |
29万トン |
230万トン |
626万トン |
照明 |
9万トン |
87万トン |
195万トン |
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CGS |
37万トン |
488万トン |
418万トン |
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再エネ電気の利用 |
91万トン |
3,844万トン |
14,548万トン |
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合 計 |
200万トン |
5,081万トン |
16,807万トン |
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2019年度の産業/業務分野におけるCO2排出量に占める削減シェア |
0.3% |
8.8% |
29.1% |
※市場データは四捨五入している
2019年度のCO2排出量を基準として、脱炭素エネルギーソリューションによって、各年度で削減されるCO2量を示した。
多くのサービスは、導入の増加に伴い、各年度におけるCO2削減量は増加するものの、エネルギー需要の縮小に伴い、天然ガス化やCGSは長期的には削減されるCO2が減少するとみられる。
CO2の削減に最も貢献するのは再エネ電気の利用に関するサービスで、2020年度は脱炭素エネルギーソリューションによって削減されるCO2排出量の4割以上を占める。電気はすべての需要家が使用しており、脱炭素を達成するには再エネ電気の利用が必須になることから、需要増加が期待される。この機運に対応するように、環境省や経済産業省による補助制度が拡充し自家消費型の導入が進むとともに、事業者側もPPA(電力販売契約)モデル、再エネプランの提案を強化しており、一層の市場拡大が予想される。
一方、2030年度で8.8%、2050年度でも29.1%のCO2の削減量であり、本調査対象によるCO2削減サービスの成長だけでは、産業/業務分野における2050年カーボンニュートラルの達成が難しく、今後より多くのCO2削減施策を講じていく必要がある。
◆調査対象
【調査対象企業】
主要エネルギー事業者 |
9社 |
注目事業者 |
36社 |
投資事業者 |
5社 |
欧州エネルギー事業者 |
6社 |
【調査対象事業領域:脱炭素エネルギーソリューション】
燃料転換 |
天然ガス化、電化、バイオマス化、水素化 |
運用改善 |
エネルギー/CO2の可視化、制御付きEMS、省エネ診断、DR |
高効率機器の導入 |
空調、照明、CGS |
再エネ電気の利用 |
自家消費、PPA、再エネプラン |
上記以外の脱炭素手法 |
環境証書、Scope3を含むCO₂可視化、EV、廃棄物 |