PRESSRELEASE プレスリリース

第16025号

省エネルギー対応ニーズの高まりを受け需要の裾野が広がる
次世代パワー半導体の世界市場を調査
新エネルギー、情報通信機器、自動車・車載電装などの分野で需要が増加する
次世代パワー半導体の世界市場は2020年に1,380億円(2015年比7.3倍)へ拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、省エネルギー対応ニーズを受け需要の裾野が着実に拡大し、それに伴い新規参入企業の動きも活発化しているSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などを材料とした次世代パワー半導体の世界市場を調査した。

その結果を報告書「2016年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。この報告書では、パワー半導体・次世代パワー半導体15品目、構成部材16品目、製造装置21品目、パワーエレクトロニクス30品目の市場について現状を分析し、将来を予測した。

◆注目市場

1.材料別次世代パワー半導体の世界市場

2015年
2020年予測
2015年比
SiCパワー半導体
178億円
850億円
4.8倍
GaNパワー半導体
10億円
530億円
53.0倍
その他
−
僅少
−
合 計
188億円
1,380億円
7.3倍

※パワー半導体構成部材市場はメーカーによる生産ベース、他市場は販売ベース

SiC(SiC-SBD、SiC-FET)やGaN、その他ダイヤモンド系と酸化ガリウム系のパワー半導体を対象とする。ダイヤモンド系、酸化ガリウム系はまだ試作段階である。

SiCパワー半導体はSiCウエハーの量産が進んでいるものの、2015年はまだ高品質4インチ基板の需要が高く6インチ基板への移行が期待ほど進まなかったため、市場は178億円となった。2016年は6インチ基板の採用が活発化するとみられるが、量産化が本格化するのは2017年以降にずれ込む可能性もある。今後は大口径化と電力損失が低減できるトレンチタイプが主要メーカーで展開され、SiCパワー半導体の低価格化や高効率化が進むとみられる。SiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)は2015年に欧州や中国で自動車、新エネルギー関連の需要が伸びた。2016年は量産化により幅広いユーザーにSiC-SBD単体やSi-IGBTとのハイブリッド型の提案が活発化するとみられる。また、SiC-FET(フィールド・エフェクト・トランジスタ)は、ハイブリッド型のSi-IGBTをSiC-FETに置き換えたフルSiCパワー半導体としてサンプル出荷が進んでおり、2020年にはSiC-SBDを超える市場規模が予想される。

GaNパワー半導体は中耐圧や高耐圧領域の品種の拡充に伴い、市場が活性化するとみられる。課題とされてきた電気特性(ノーマリー・オフ動作の実現、耐圧の向上、電力コラプスの抑制)やノイズ対策、低コスト化の取り組みが進み量産化のハードルは低くなっている。200Vクラスまでの低耐圧製品だけでなく、600Vから1,200Vクラスの耐圧領域で需要が増加しており、量産化による低価格化が実現すれば市場は大きく拡大するとみられる。

2.SiCパワー半導体の主要分野向け市場

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
178億円
850億円
4.8倍
(新エネルギー)
53億円
270億円
5.1倍
(情報通信機器)
68億円
172億円
2.5倍
(自動車・車載電装)
24億円
140億円
5.8倍

※新エネルギー、情報通信機器、自動車・電装は内数

2015年時点では情報通信機器分野、特にサーバやUPS、ストレージなどのPFC回路(力率改善回路)向けの需要が大きい。また、新エネルギー分野では2015年はやや伸びが鈍化したものの太陽光発電用パワーコンディショナ向けの需要が高く、新興国では風力発電システムで採用も期待される。また、自動車・車載電装分野のEV/PHV用急速充電スタンドや車載充電器(オンボードチャージャ)向けなどの需要も大きい。今後はHVやEVの駆動用インバータで採用が増えるとみられる。低価格化が進めば、2020年には電動自動車全体の5%に搭載されると予想される。また、鉄道車両向けで実証実験ベースから実用化が期待される。

3.GaNパワー半導体の主要分野向け市場

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
10億円
530億円
53.0倍
(情報通信機器)
5億円
202億円
40.4倍
(新エネルギー)
3億円
130億円
43.3倍
(自動車・車載電装)
僅少
100億円
−

※情報通信機器、新エネルギー、自動車・電装は内数

現状では情報通信機器分野、特にサーバのDC-DCコンバータなどでの採用が多い。今後は600Vクラス以下では通信基地局用電源向け、600Vクラス超ではサーバ電源向けなどが期待される。また、新エネルギー分野は太陽光発電用パワーコンディショナ向けなどの需要が今後も期待される。自動車・車載電装分野では600Vクラスの中耐圧領域でAC-DC変換回路、車載充電器での搭載に向けた開発が進められており、2020年以降はSiCパワー半導体との競合が予想される。また、量産効果による低価格化が進展すれば、価格低減要求の厳しい民生機器などで需要増加が期待される。日本や中国などのアジア地域ではLEDのノウハウを利用した製品開発が進められており、今後参入メーカーが増加し市場は活発化するとみられる。

◆調査結果の概要

1.パワー半導体の世界市場

2015年
2020年予測
2015年比
Siパワー半導体
2兆6,373億円
2兆9,067億円
110.2%
次世代パワー半導体
188億円
1,380億円
7.3倍
合 計
2兆6,561億円
3兆0,447億円
114.6%

2015年の市場は中国経済の悪化を受けて2兆6,561億円となった。2016年以降は電力損失や省エネ対応などの需要の高まりを受けて、市場は緩やかに拡大するとみられる。

Siパワー半導体の市場は緩やかな成長が続くと予想されるが、各メーカーは競争力強化のため合従連衡を進めており、成長分野である自動車関連向けの事業化、付加価値が高いモジュール事業への注力もみられる。また、SiCやGaNといった次世代パワー半導体は2020年頃に大幅な市場拡大が予想される。

2.パワー半導体構成部材の世界市場(生産ベース)

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
1,747億円
2,444億円
139.9%

2015年の市場は1,747億円となった。2016年は緩やかな伸びとなるが、2017年以降は大幅な市場拡大が期待される。次世代パワー半導体向けは2015年時点で3%であるが、今後はSiCパワー半導体の本格的な量産・普及が期待され、焼結型素子接合材や封止材料、セラミック基板などの需要増加が予想される。

前工程で使用される半導体レジスト(i線用)やバッファーコート膜、CMPパッド、CMPスラリーなどの材料は、今後SiCパワー半導体の量産・普及により、ウエハーの薄化対応など新たな技術開発が進むとみられる。後工程材料はシリコーン系の封止材料を除いて需要増加が期待される。中でも、SiCパワー半導体の量産化を受けて焼結型素子接合材、セラミック基板(窒化ケイ素回路基板)が大きく伸びると予想される。また、エポキシ系の封止材料や放熱シート/グリースも需要増加が予想される。

3.パワー半導体製造装置の世界市場

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
1,587億円
2,733億円
172.2%

2015年の市場はパワー半導体市場の停滞に加え、前年に好調だったSiCパワー半導体向けの製造装置への投資が低迷したことなどから1,587億円となった。

Siパワー半導体向けは中古機や既存装置で対応できるため、市場は微増で推移すると予想される。SiCパワー半導体向けは2016年頃からデバイスの量産化に向けた設備投資が始まるため、2020年にかけて市場拡大が期待される。また、GaNパワー半導体向けは今後の量産化に合わせて新規設備の導入が予想されるが、Siパワー半導体向け装置でも対応できるため小規模な市場にとどまる。

◆調査対象

パワーデバイス編 整流ダイオード、SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)、FRD(ファースト・リカバリー・ダイオード)、バイポーラパワートランジスタ、低耐圧パワーMOSFET、高耐圧パワーMOSFET、.IGBTディスクリート、サイリスタ・トライアック、パワーモジュール、パワーIC、SiC-SBD、SiC-FET、GaNパワーデバイス、ダイヤモンド系パワーデバイス、酸化ガリウム系パワーデバイス
パワーデバイス
構成部材編
SiCウエハー、GaNウエハー、半導体レジスト、バッファーコート膜、CMPパッド、CMPスラリー、ダイボンディングペースト、はんだ 、焼結型素子接合材、リードフレーム用条材、ボンディングワイヤ、止材料、セラミック基板、金属放熱基板、放熱シート、放熱グリース
パワーデバイス
製造装置編
エピ膜成長装置、GaN向けMOCVD、プラズマCVD、コータ/デベロッパ、露光装置、ドライエッチング装置、イオン注入装置、熱処理装置、レーザーアニール装置、CMP装置、スパッタリング装置、カーボンキャップ用スパッタリング装置、バックグラインダ、ダイシング装置、ダイボンダ、ワイヤボンダ、モールディング装置、ウエハー外観検査装置、チップ外観検査装置、ハンドラ、電気テスタ装置
パワーエレクトロニクス機器編 冷蔵庫、洗濯機、ルームエアコン、IHクッキングヒータ、炊飯器、電子レンジ、LED照明用電源、ノートパソコン、タブレット端末、液晶テレビ、サーバ、UPS(中・大容量)、電力貯蔵システム、電動自動車駆動用インバータ、.電動自動車用DC-DCコンバータ、ステアリング制御システム、アイドリングストップ/回生エネルギーシステム、ボディ統合制御システム、車載用充電器、急速充電器、普通充電器、鉄道車両、.家庭用燃料電池、太陽光発電用パワーコンディショナ、風力発電システム、汎用インバータ、サーボアンプ、スポット溶接ロボット、マトリクスコンバータ

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/03/23
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。