PRESSRELEASE プレスリリース

第17026号

SiC/GaNパワー半導体に加えて長期的には酸化ガリウム系にも注目
次世代パワー半導体の世界市場を調査
−2025年予測(2016年比)−
SiCパワー半導体世界市場:1,410億円(6.9倍)自動車・電装分野向けが拡大
GaNパワー半導体世界市場:450億円(32.1倍)中高耐圧領域での製品ラインアップの拡大に期待

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、採用が着実に広がってきているSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体や、これらに続く「次々世代」の酸化ガリウム系やダイヤモンド系のパワー半導体世界市場を調査した。その結果を報告書「2017年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。

この報告書では、パワー半導体・次世代パワー半導体(次々世代を含む)15品目、また、パワー半導体構成部材16品目とパワー半導体製造装置21品目、さらにパワーエレクトロニクス機器30品目の市場について現状を分析し、将来を予測した。

◆注目市場

1.SiCパワー半導体とその主要用途分野の世界市場

2016年
2025年予測
2016年比
情報通信機器
68億円
287億円
4.2倍
新エネルギー
57億円
390億円
6.8倍
自動車・電装
38億円
291億円
7.7倍
SiCパワー半導体(全体)
205億円
1,410億円
6.9倍

※情報通信機器、新エネルギー、自動車・電装分野はSiCパワー半導体(全体)の内数

生産効率が高められる6インチSiCウエハーの本格投入が動き始めており、2017年以降は、参入各社が販売に注力するとみられる。また、主要各社でウエハーの大口径化やトレンチタイプの製品投入が展開されることにより低価格化が進むとみられる。SiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)は、2016年に参入企業の増加と製品ラインアップの拡大が進んだことにより市場は170億円となり、今後も堅調に拡大していくとみられる。SiC-FET(フィールド・エフェクト・トランジスタ)は、市場が立ち上がって間もないが、着実に拡大を続けており、2016年の市場は35億円となった。現状は、DC-DCコンバータやインバータ、太陽光発電システムのパワーコンディショナなどに搭載されている。

用途分野別に見ると2016年時点では、情報通信機器分野の需要が最も大きく、特にサーバ用電源、UPS、ストレージなどのPFC回路(力率改善回路)向けが多い。次いで大きいのが新エネルギー分野で、太陽光発電システム向けパワーコンディショナなどの需要を獲得している。新興国では、風力発電システムでの採用が有望視されている。また、自動車・電装分野は、急速充電スタンドや車載充電器(オンボードチャージャー)の需要を獲得している。駆動用インバータは実証が進んでおり、2020年以降に実車搭載が活発化するとみられる。

2.GaNパワー半導体とその主要用途分野の世界市場

2016年
2025年予測
2016年比
情報通信機器
10億円
100億円
10.0倍
新エネルギー
3億円
130億円
43.3倍
民生機器
2億円
70億円
35.0倍
GaNパワー半導体(全体)
14億円
450億円
32.1倍

※情報通信機器、新エネルギー、民生機器分野は、GaNパワー半導体(全体)の内数

GaNパワー半導体は、200Vまでの低耐圧領域を中心に市場が立ち上がった。2015年頃から600V級の中耐圧領域の製品化や本格的な営業展開が始まったことによりアプリケーションの適用範囲が広がり、2016年の市場は14億円となった。今後は中高耐圧領域での製品ラインアップの拡大や参入企業の増加により市場の活性化が期待される。

用途分野別にみると、2016年時点では情報通信機器分野の需要が一番大きく、特にDC-DCコンバータ、POLコンバータ向けが最も多い。新エネルギー分野では、太陽光発電向けパワーコンディショナの需要を獲得している。また、民生機器分野では高級オーディオ製品(パワーアンプなど)で需要を獲得しており、今後はテレビ、パソコンなどのACアダプタ、エアコンなどの白物家電(モーター駆動用電源回路部)、LED駆動用回路、ワイヤレス給電などでの採用が期待される。

3.酸化ガリウム系パワー半導体の世界市場

2016年
2025年予測
2016年比
酸化ガリウム系パワー半導体
僅少
700億円
−

酸化ガリウム系パワー半導体は、既に実用化段階を迎え、エピウエハーなどR&D向けの作成が進んでいる。2018年頃に量産が開始され、2020年の市場は10億円が予測される。2023年頃からSiCパワー半導体よりも優位性が際立ってくるとみられ、2025年には700億円が予測される。600V以上の中高耐圧向けで採用メリットが大きく、鉄道や電力の送電線などのインフラへの搭載や過酷な超高温環境下で利用される地下資源の掘削機械向けで有望視されている。

◆調査結果の概要

1.パワー半導体の世界市場

2016年
2025年予測
2016年比
Siパワー半導体
2兆4,020億円
2兆9,239億円
121.7%
次世代(SiC/GaN)
219億円
1,860億円
8.5倍
次々世代(酸化ガリウム系)
僅少
700億円
−
合 計
2兆4,239億円
3兆1,799億円
131.2%

2016年の市場は、自動車・電装分野向けの需要が好調で2兆4,239億円となった。2017年以降も市場は堅調に拡大するとみられる。

Siパワー半導体は、成長分野である自動車関連で需要が増加し、市場は緩やかな成長を続けていくとみられる。今後は、参入企業によってはディスクリート単体からモジュール事業にシフトする動きもみられる。

次世代パワー半導体のSiCパワー半導体は、2017年以降に6インチウエハーの積極採用が進み製品戦略が活発化することにより、市場拡大が予想される。また、GaNパワー半導体は、中耐圧領域の需要が動き出す2020年頃から本格的な市場拡大が予想される。

次々世代パワー半導体は、酸化ガリウム系パワー半導体の量産が2018年頃から開始され、市場が拡大しはじめるとみられる。ダイヤモンド系パワー半導体は、MOSFETで「ノーマリー・オフ化」を実現できたことで実用化への期待が高まっているが、市場の立ち上がりは2025年以降になるとみられる。

2.パワー半導体構成部材の世界市場(生産ベース)

2016年
2025年予測
2016年比
市場規模
1,677億円
2,618億円
156.1%

2016年の市場は、1,677億円となった。自動車関連の需要が堅調であることに加え、SiCパワー半導体の量産化によって今後は焼結型素子接合材、窒化ケイ素回路基板、エポキシ系封止材料などの需要増加が期待される。

前工程で使用される半導体レジスト(i線用)、バッファーコート膜、CMPパッド、CMPスラリーなどは、今後のSiCパワー半導体の量産化によって、新たな技術開発が進むとみられる。

後工程で使用される焼結型素子接合材は、はんだ代替としての採用が検討されており、2020年に向けてSiパワー半導体とSiCパワー半導体向けの双方で伸びるとみられる。また窒化ケイ素回路基板は、自動車関連で窒化アルミニウム回路基板からの置き換えにより伸びるとみられる。

3.パワー半導体製造装置の世界市場

2016年
2025年予測
2016年比
市場規模
1,485億円
3,181億円
2.1倍

2016年のパワー半導体製造装置市場は、1,485億円であった。設備投資が進まなかったことや円高にシフトしたことによって市場は縮小した。

SiCパワー半導体向け製造装置は、SiCパワー半導体の量産に向けた設備投資が2017年から2018年にかけて進むため市場拡大が予想される。

GaNパワー半導体向け製造装置は、GaNパワー半導体の量産化の遅れから設備投資が進んでいないため小規模な市場にとどまる。2018年以降にウエハーや半導体市場が拡大するとみられ、設備投資による装置市場の拡大が期待される。

◆調査対象

パワー半導体 整流ダイオード、SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)、FRD(ファースト・リカバリー・ダイオード)・ダイオード)、バイポーラパワートランジスタ、低耐圧パワーMOSFET、高耐圧パワーMOSFET、IGBTディスクリート、サイリスタ・トライアック、パワーモジュール、パワーIC、SiC-SBD、SiC-FET、GaNパワーデバイス、酸化ガリウム系パワーデバイス、ダイヤモンド系パワーデバイス
パワー半導体構成部材 SiCウエハー、GaNウエハー、半導体レジスト、バッファーコート膜、CMPパッド、CMPスラリー、ダイボンディングペースト 、はんだ 、焼結型素子接合材、リードフレーム用条材、ボンディングワイヤ、封止材料、セラミック基板、金属放熱基板、放熱シート、放熱グリース
パワー半導体製造装置 エピ膜成長装置、GaN向けMOCVD、CMP装置、プラズマCVD、コータ/デベロッパ、露光装置、イオン注入装置、熱処理装置、レーザーアニール装置、CMP装置、スパッタリング装置、カーボンキャップ用スパッタリング装置、バックグラインダ、ダイシング装置、ダイボンダ、ワイヤボンダ、モールディング装置、ウエハー外観検査装置、チップ外観検査装置、ハンドラ、電気テスタ装置
パワーエレクトロニクス機器 冷蔵庫、洗濯機、.ルームエアコン、IHクッキングヒータ、炊飯器、電子レンジ、LED照明用電源、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末、液晶テレビ、サーバ、UPS(中・大容量)、電力貯蔵システム(需要家設置)、電動自動車駆動用インバータ、電動自動車用DC-DCコンバータ、ステアリング制御システム、アイドリングストップ/回生エネルギーシステム、ボディ統合制御システム、車載用充電器、急速充電器、普通充電器、鉄道車両、家庭用燃料電池、太陽光発電用パワーコンディショナ、風力発電システム、汎用インバータ、サーボアンプ、スポット溶接ロボット、マトリクスコンバータ

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

2017/03/21
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。