PRESSRELEASE プレスリリース

第21099号

水素関連の国内市場と海外動向を調査
―2035年度予測(2020年度比)―
■水素関連の国内市場  4兆7,013億円(268.6倍)
~水素燃料の販売が増え、設備型ビジネスから燃料ビジネス中心に移行~
●水素燃料(水素ガス) 3兆4,914億円(3,879.3倍)
~アンモニア発電や水素ガスタービン発電が本格化し急伸~
●車載用燃料電池スタック  1,167億円(41.7倍)
~社外販売される燃料電池スタックの出力強化と乗用車以外のモビリティでの採用により、伸長~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、水素アプリケーションの普及に伴い、水素燃料の需要が高まり、サプライチェーンの確立が進むことで拡大に向かう国内の水素関連市場を調査した。その結果を 「2021年版 水素利用市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、水素燃料と水素輸送や供給、利用で使用される関連設備や機器の市場の現状を分析し、将来を展望した。また、海外の主要地域の水素ステーションやFCモビリティ(FCV、FCバス、FCトラックなど)、企業動向なども捉えた。

◆調査結果の概要

■国内の水素関連市場

2021年度見込

2020年度比

2035年度予測

2020年度比

183億円

104.6%

4兆7,013億円

268.6倍

水素関連市場は、「水素燃料」、大規模水素輸送を対象とする「水素輸送」、商用水素ステーション(ST)や再エネ水素・P2Gシステムなどを対象とする「水素供給」、水素発電システムと車載関連機器(車載用燃料電池スタック、車載用水素センサー、車載用高圧容器)を対象とする「水素利用」の各市場を捉えた。

2021年度の市場は、前年度比4.6%増の183億円が見込まれる。水素供給と水素利用が市場の大半を占める。水素供給では、商用水素STが四大都市圏を中心に政府の掲げる「2020年度160箇所整備」を達成したことで、FCVの普及に先立ち整備が進展している。水素利用では、FCモビリティの多様化による需要増加、水素発電の実証実験が進んでいる。

今後は、これまでの水素関連機器が中心の設備ビジネスから、水素燃料(水素ガス)が中心の燃料ビジネスに移行していくとみられる。特に、アンモニア発電は二酸化炭素が排出されないため注目されており、発電の際に用いられるアンモニア調達の目処が立ちつつあることなどから水素発電向けの水素燃料が大きく伸びると予想される。2030年度には、液化水素やアンモニア、メチルシクロヘキサンの大規模輸送技術の実用化や水素STの自立運営化の動きも予想され、水素の調達から利用、販売に至るサプライチェーンが整うことから市場は、2035年度に2020年度比268.6倍の4兆7,013億円が予測される。

◆注目市場

●水素燃料(水素ガス)

 

2021年度見込

2020年度比

2035年度予測

2020年度比

全体

14億円

155.6%

3兆4,914億円

3,879.3倍

 

水素発電向け

僅少

-

3兆4,290億円

-

 

FCV向け

7億円

140.0%

455億円

91.0倍

 

FCバス向け

5億円

125.0%

42億円

10.5倍

※水素発電向け、FCV向け、FCバス向けは全体の内数

自動車燃料や発電燃料に利用される水素ガスを対象とし、工業原料やプロセスガス、石油精製などに利用される既存の産業用水素は含まない。

温暖化対策として水素利用の関心が高まっており、2021年度の市場は、前年度に大幅リニューアルをしたトヨタ自動車の新型「MIRAI」の販売台数が増加していることや、東京五輪の開催に向けてFCバスの導入が進んだことで、自動車分野の需要が増え、前年度比55.6%増となった。

中長期的には、2024年度にNEDOプロジェクトとしてアンモニア発電、2025年度頃に水素ガスタービン発電の実証実験がそれぞれ開始されるため、発電分野での水素需要が大幅に増加すると予想される。さらに、近年FCバスの導入拡大のため、安定した利用による水素STの自立化が予想され、自動車分野の需要もさらに増加するとみられる。また、経済産業省によるグリーン成長戦略において、再エネ導入や水素利用拡大についての目標設定のほか金融政策や炭素税導入、国際協調などで、2030年に水素導入量を最大300万トンにするとまとめており、2035年度の市場は2020年度比3,879.3倍が予測される。

●車載用燃料電池スタック

2021年度見込

2020年度比

2035年度予測

2020年度比

46億円

164.3%

1,167億円

41.7倍

FCVやFCバス、FCトラック、FCフォークリフト(FCFL)、その他モビリティに搭載される燃料電池スタックを対象とする。燃料電池スタックは、セルを積層しパッケージングした構造体で、発電の中核となるものである。

現在は、トヨタ自動車の新型「MIRAI」や東京都で導入されているFCバス「SORA」などFCVやFCバスで普及が進んでいる。FCV1台当たり1台、FCバス1台当たり2台のスタックが搭載されており、これらの車両が増加することで、市場は拡大してきた。

中長期的には、2021年度に自動車メーカーが他社への販売開始を発表した60kWと80kWに加えて、2020年代に8kWや24kW、50kWも追加され、燃料電池モジュールの定格出力の種類が増えることから、乗用車以外のモビリティでの需要も増加すると予想される。また、大型FCトラックでは既存のFCVで使用されている燃料電池スタックを複数搭載することが想定されるため、今後FCトラックの普及により市場は拡大するとみられる。2030年度以降は、燃料電池スタック・システムの他社販売とコスト低減、開発が進む中で、乗用車やバス、トラック、フォークリフトなどへの実装が拡大するとみられる。さらに、現在開発が活発化している船舶や鉄道、ドローン、産業用車両(建築や農機など)で需要が増えるとみられ、2035年度には2020年度比41.7倍が予測される。

●アンモニア発電

2021年度見込

2020年度比

2035年度予測

2020年度比

-

-

670億円

-

アンモニア発電は、アンモニアと石炭を混焼させる石炭混焼発電を対象とする。アンモニアは、液体水素と異なり、常温で圧力をかけて運べることから水素輸送に適しており、発電用燃料として利用される。

2020年代は、技術開発に加え、燃料事業や発電事業を行うJERAが導入計画を発表したことからアンモニア発電の市場が立ち上がるとみられる。また、NEDOプロジェクトでは、2024年度までに100万kW級石炭火力におけるアンモニア20%混焼を中心に実証実験が行われ、2030年度頃、本格導入が計画されていることから、火力発電の低炭素化を目的としたアンモニア発電の需要が高まり、市場は拡大するとみられる。石炭火力発電は温暖化対策の観点から、新規建設計画の撤回に加え、最新の高効率石炭火力発電も運転停止に追い込まれる可能性があるため、その対策として、2030年度以降はアンモニア発電の設備規模拡大と混焼率の向上が進むとみられ、2035年度は670億円が予測される。

◆調査対象

水素燃料

・水素ガス

 

 

水素輸送

・大規模水素輸送

 

 

水素供給

・商用水素ステーション

・蓄圧器

・水素バルブ

・小型水素供給設備

・液化水素貯槽

・オンサイト水素発生装置

・緊急用水素供給設備

・水素ディスペンサー

・再エネ水素・P2Gシステム

・水素コンプレッサー

・水素ST用水素センサー

・水素発生装置(再エネ)

水素利用

・水素ガスタービン発電

・FC水素発電

・車載用水素センサー

・アンモニア発電

・車載用燃料電池スタック

・車載用高圧容器

その他

・次世代水素キャリア

・次世代発電システム

 

・次世代水素製造

 

 


2021/10/19
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