PRESSRELEASE プレスリリース
◆イートイン市場 11兆8,033億円 (11.9%増)
…人流回復による需要増加やインバウンド需要の回復から拡大
■外食産業総市場 32兆1,083億円 (6.5%増)
…価格改定や高単価・高付加価値メニューの導入による客単価アップも市場拡大に寄与
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、テイクアウトやデリバリーの定着に加え、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げによりイートイン需要が回復している外食産業の国内市場について総合的に分析した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2023 No.3」にまとめた。
この調査では、14カテゴリー130業態を対象とする外食産業市場について、カテゴリー別の市場動向のほか、時間帯や客単価、食材別の動向、テイクアウトやデリバリーなど提供形態動向、外食産業エリア動向など、総合的に分析した。
◆注目市場
●イートイン市場
|
2022年 |
前年比 |
2023年見込 |
前年比 |
|
全 体 |
10兆5,466億円 |
129.3% |
11兆8,033億円 |
111.9% |
|
|
料飲店 |
2兆8,792億円 |
196.3% |
3兆3,736億円 |
117.2% |
|
ファミリーレストラン |
8,456億円 |
114.9% |
9,492億円 |
112.3% |
※料飲店、ファミリーレストランはイートインの内数
※交通機関、レジャー施設、給食、宿泊宴会場は除外している
イートインは、テイクアウトやデリバリーの対義語として、広く店内での飲食全般を捉えている。
022年はまん延防止等重点措置が解除されたことにより、新型コロナ流行の影響を受けて特に落ち込みの大きかった料飲店などアルコールを伴う業態を含めて客数は回復に向かい、市場は前年比29.3%増の10兆5,466億円となった。2023年は新型コロナの5類引き下げにより、各業態でさらなる需要回復が期待されることや、インバウンド需要も本格的な回復期を迎えることから、市場は前年比11.9%増の11兆8,033億円が見込まれる。
料飲店はコロナ禍においてテイクアウト、デリバリーを強化する動きがあったものの、アルコールを伴う店内飲食が主体の業態であるため、イートインが大半を占める構造に変化はみられない。2022年はやきとり専門店や串カツ・串揚げ専門店などの専門店型居酒屋で、少人数グループを中心にイートイン客数の回復がみられた。2023年は宴会需要を含めた客数回復がさらに進むと予想される。
ファミリーレストランはイートインが大部分を占めていたため、新型コロナ流行以降客数の落ち込みから苦戦が続いた。2020年以降にテイクアウト、デリバリーへの注力度が高まったものの、2022年は人流の戻りを背景にイートイン需要の回復が顕著だった。2023年は大手チェーンによるテイクアウト、デリバリーへの対応は継続しているが、前年以上にイートイン需要の回復が進むとみられる。
【イートイン業態:2021年から2023年見込の増加額ランキング】
|
業態 |
2021年 |
2023年見込 |
1 |
スナック・クラブ・パブ |
7,250億円 |
1兆8,200億円 |
2 |
居酒屋・炉端焼 |
4,802億円 |
9,921億円 |
3 |
カフェバー・ショットバー |
1,741億円 |
3,623億円 |
4 |
そば・うどん |
3,834億円 |
5,172億円 |
5 |
焼肉料理 |
4,399億円 |
5,699億円 |
新型コロナの影響を受け、休業や時短営業、アルコール提供の自粛などの落ち込んだ料飲店などは、2022年のまん延防止等重点措置の解除以降はアルコールの提供再開に伴い、スナック・クラブ・パブ、カフェバー・ショットバー、居酒屋・炉端焼が少人数利用を中心に客数は回復し、大幅に伸びている。
そば・うどんは2023年は外出機会の増加に伴って客数が増えており、インバウンド需要の回復や価格改定による客単価アップも寄与することから高い伸び率が予想される。
焼肉料理は2022年以降に焼肉テーブルオーダーバイキングが好調なほか、焼肉ファストフード業態やセルフ飲み放題を導入するなど、ハレの日のみならず日常利用の需要も取り込むことで伸びている。
◆調査結果の概要
●外食産業総市場
2022年 |
前年比 |
2023年見込 |
前年比 |
30兆1,490億円 |
114.2% |
32兆1,083億円 |
106.5% |
2022年はまん延防止等重点措置解除などの制限緩和から人流の戻りを受け、ディナーを含めたイートイン需要が回復に向かった。また、コロナ禍を経て導入・強化が進んできたテイクアウト、デリバリーも定着したことから、市場は前年比14.2%増の30兆1,490億円となった。特に料飲店や交通機関、宿泊宴会場などの回復が目立った。
2023年は新型コロナの5類引き下げに加えて、インバウンド需要が本格的な回復に向かっていることや、価格改定の実施や高単価・高付加価値メニューの導入により客単価上昇から市場は活性化しており、前年比6.5%増の32兆1,083億円が見込まれる。新型コロナ流行以降、市場の落ち込みが激しかった、交通機関や料飲店、日本料理、東洋料理が回復するとみられる。
●時間帯別市場
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2022年 |
前年比 |
2023年見込 |
前年比 |
モーニング |
9,557億円 |
105.2% |
1兆 29億円 |
104.9% |
ランチ |
7兆 375億円 |
106.4% |
7兆3,434億円 |
104.3% |
アイドルタイム |
2兆3,773億円 |
105.9% |
2兆4,754億円 |
104.1% |
ディナー |
9兆2,253億円 |
126.2% |
10兆1,394億円 |
109.9% |
※ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食、宿泊宴会場は除外している
2022年はまん延防止等重点措置解除などの制限緩和から、通常営業の再開に加え、アルコールの提供再開により、ディナーが大幅に拡大した。そのほかの時間帯でも人流回復に伴い前年比プラスとなった。
023年はディナーは少人数の利用を中心に需要回復しており、前年比9.9%増が見込まれているものの、遅い時間帯の回復の遅れや大人数での宴会需要の低下などにより、アルコール需要の高い業態では、2019年の規模までは回復に至ってない。モーニングは出社率がさらに高まることでテイクアウト、喫茶が伸びるほか、総合ファミリーレストランがモーニングを強化していることから前年比4.9%増が見込まれる。ランチは焼肉料理でランチ利用の定着が広がったほか、日本料理ではインバウンド需要回復により伸びが期待され、前年比4.3%増が見込まれる。
◆調査対象
業態 |
ファストフード(20業態)、テイクアウト(15業態)、ホームデリバリー・ケータリング(7業態)、 交通機関(5業態)、レジャー施設(9業態)、給食(7業態)、料飲店(10業態)、 ファミリーレストラン(7業態)、喫茶(8業態)、西洋料理(13業態)、日本料理(12業態)、 東洋料理(9業態)、エスニック料理(3業態)、宿泊宴会場(5業態) |
外食産業マーケットデータ分析 |
外食産業総市場規模推移、カテゴリー別市場規模推移及び主要業態概況、飲食目的別業態動向、 業態別市場見通しと成長・回復ポイント、カテゴリー別2023年~2027年市場性分析、 外食企業売上高ランキング、同一カテゴリー・分野の比較分析、時間帯別構成比・市場分析、 客単価別市場動向、食材市場規模推移、使用食材ランキング、成長企業事例 |
提供形態別市場動向・テイクアウト&デリバリー市場動向 |
提供形態別市場動向、テイクアウト市場動向、デリバリー市場動向 |
外食産業トレンド分析 |
外食産業keyword特集、注目企業事例、複合業態戦略事例 |
需要回復分析・予測 |
人流回復による需要動向、都市別及び時間帯別人流回復動向、需要回復に伴う外食産業の可能性 |
外食産業エリアマップ |
全国エリア別市場規模マップ、業態別市場規模とエリア構成比、エリア別カテゴリー売上高動向、 エリア特性別分析 |
外食産業出店動向・分析 |
2022年~2023年新規出店状況・分析、新規出店リスト |
外食産業600社企業ディレクトリ |