PRESSRELEASE プレスリリース

第23125号

自動車向け二次電池の世界市場を調査
―2050年予測(2022年比)―
■自動車向け二次電池の世界市場 74兆3,556億円( 4.0倍)
xEVシフトが進み駆動用が72兆4,961億円、2022年比4.4倍
一方、補機用は1兆8,595億円、同11.9%減

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、世界的なxEVシフトにより、電池メーカーの積極的な投資や生産拡大で注目される自動車向け二次電池の世界市場を調査した。その結果を「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2023 電動自動車・車載電池分野編」にまとめた。

この調査では、自動車向け二次電池市場を駆動用と補機用に分け、明らかにした。また、世界各国の補助金政策、燃費規制、電池セルの大型化で注目される電池パックや電池モジュール・セル構成部材の市場についても整理した。

◆調査結果の概要

■自動車向け二次電池の世界市場

 

2023年見込

2022年比

2050年予測

2022年比

駆動用

21兆9,153億円

133.2%

72兆4,961億円

4.4倍

補機用

 2兆2,236億円

105.3%

 1兆8,595億円

88.1%

合 計

24兆1,388億円

130.0%

74兆3,556億円

4.0倍

※市場データは四捨五入している

走行の動力源となる駆動用は今後、xEVの需要増加に伴い市場の急拡大が予想される。世界各国の環境規制強化や、2035年までに欧州の大半や中国などでICEV(内燃自動車)の販売禁止が実施される予定であり、自動車メーカーは環境性に優れるEVを中心とした販売、新規投入に力を入れていく。2050年の市場は2022年比4.4倍の72兆4,961億円が予測される。市場をけん引している欧州、北米、中国は20兆円前後の市場規模まで拡大するとみられる。

補機用はICEVやISSV(アイドリングストップ自動車)、12V系MHV(マイルドハイブリッド自動車)にはエンジン始動用として、48V系MHVやHV、PHV、EVおよびFCVには電池システム(ECU)起動用として搭載される。自動車世界市場が半導体供給不足による減産から回復基調にあることから、2023年の市場は前年比5.3%増の2兆2,236億円が見込まれる。今後中期的には、EVが増えることで内燃自動車が減るものの、自動車生産台数が伸びていることから市場は堅調に推移していく。しかし、長期的には自動車生産台数の伸びも徐々に鈍化していくとみられ、2050年に市場は2022年比で縮小が予想される。

◆注目市場

●車種別駆動用二次電池の世界市場

 

2023年見込

2022年比

2050年予測

2022年比

EV向け

16兆5,113億円

131.8%

66兆3,012億円

5.3倍

EVトラック・バス向け

   8,660億円

114.8%

 3兆1,635億円

4.2倍

HV向け

   6,146億円

112.4%

   5,855億円

107.1%

EV向けは、2023年以降にEVを購入する消費者が税額控除を受けられる米国の「インフレ抑制法」や欧州などの環境規制の強化による市場成長が予想される。また、カーボンニュートラル実現に向けたEVシフト戦略を背景とした、EVモデルの大幅な投入増加が予想される。日本、欧州、米国、中国などによるICEVの販売終了によってEVが中心になるとみられる。多くの国がカーボンニュートラルの実現目標とする2050年の市場は2022年比5.3倍の66兆3,012億円が予測される。

EVトラック・バス向けは、中国が大型EVトラックの積極的な導入を始めたことから市場が拡大した。現在もEVトラック向けが市場の中心となっている。今後は燃費規制の強化などに伴い、欧州や北米の需要拡大が予想される。また、物流におけるカーボンニュートラル実現を目的としたEV化、都市の環境対策として公共交通機関のEV化が想定され、市場は2050年に2022年比4.2倍の3兆1,635億円が予測される。

HV向けの市場は、2023年に前年比12.4%増の6,146億円が見込まれる。近年、EV需要の拡大でHV需要の低下がみられるものの、燃費規制強化などの対策として、研究開発が続くと想定されるため、当面は電動自動車の主力車種として、好調を維持すると予想される。将来的にはEVシフトに伴い、欧州主要国や中国のHV需要は縮小していくとみられるが、新興国では一定の需要が期待される。また、日本においても2035年までに乗用車の新車販売は電動車率100%を目指す政府方針や、2030年以降ICEVの新車販売禁止を打ち出す東京都の政策などが、HV需要の増加に作用すると予想される。そのためHV向け市場は2050年に2022年比7.1%増の5,855億円が予測される。

●CMUの世界市場

2023年見込

2022年比

2050年予測

2022年比

4,774億円

134.3%

2兆4,170億円

6.8倍

CMU(Cell Management Unit)とは、LiBなどの電池セルの電圧や電流、温度などを測定して、管理するためのユニットであり、1個で複数の電池セルの監視が可能で、セル数によって自動車へ搭載される個数が変化する。市場はxEVに搭載される電池のセル数に依存するため、xEV市場と連動する。特に、EVはセル搭載数が多く、搭載容量が大きいことから影響が強い。

2023年以降の環境規制強化、また、カーボンニュートラル実現に向けたICEV/ISSVからのシフトによるxEV市場の伸長を背景に、市場拡大が予想される。ただし、近年は直接電池セルを電池パックに統合し、電池パックの空間利用率とエネルギー密度を効果的に向上させるCell to PACK技術が採用トレンドになっており、EVを中心に1台当たりのセル搭載数の減少に伴い、CMUも減少するため、長期的にはxEV市場の伸びほどの市場成長率は期待できない。

◆調査対象

二次電池

・鉛電池(Pb)

・電気二重層キャパシタ(EDLC)

・ニッケル水素電池(NiMH)

・リチウムイオンキャパシタ(LiC)

・リチウムイオン電池(LiB)

・その他次世代電池

 

 

駆動用電池/補機用電池搭載車両

・MHV(12V系/48V系マイルドハイブリッド自動車)

・FCV(燃料電池自動車)

・HV(ハイブリッド自動車)

・HV/PHVトラック・バス

・PHV(プラグインハイブリッド自動車)

・EVトラック・バス

・EV(電気自動車)

 

駆動用電池搭載車両

・マイクロEV(ミニカー、超小型モビリティ)

補機用電池搭載車両

・ICEV(内燃自動車)、ISSV(アイドリングストップ自動車)

 

車載電池モジュール・セル構成部材

・CMU(Cell Management Unit)

・LiB/次世代電池用負極活物質

・xEVバッテリー用高圧ハーネス

・LiB/次世代電池用電解液

・LiB/次世代電池用セル筐体

・LiB/次世代電池用セパレータ

・高圧電流遮断器(パイロヒューズ)

・LiB/次世代電池用正極集電体

・LiB/次世代電池用正極活物質

・LiB/次世代電池用負極集電体


2023/11/27
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