PRESSRELEASE プレスリリース
●AI・ディープラーニング応用製品 444億円(2.5倍)
~2024年以降、中国を中心にアジアの製造業の設備投資が増加し導入が進む~
●自動車関連向け検査アプリケーション 82億円(151.9%)
~自動車部品外観検査装置は日本、LiB外観検査装置は中国が、市場拡大をけん引~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、車載電池やパワー半導体、食品・医薬品関連の製造現場で需要が底堅いほか、生成AIを活用したサービスの登場で注目が集まる画像処理システムの世界市場を調査した。その結果を2024年版 画像処理システム市場の現状と将来展望にまとめた。
この調査では、検査アプリケーション12品目、単体機器14品目、観察・測定関連機器5品目、AI・ディープラーニング応用製品3品目を対象とし、2026年に向けた画像処理システム市場を展望した。
◆調査結果の概要
■画像処理システム世界市場
2023年の市場は在庫過多となっている単体機器の需要は低調であるものの、検査アプリケーション、観察・測定関連機器、AI・ディープラーニング応用製品は部材不足解消や受注残などにより、底堅い需要がみられる。製造業の設備投資回復が期待される2024年下期以降は、キラーアプリケーションとなりつつあるEV関連(電池、パワー半導体、車載電装品)や、ネクストチャイナの動きによる東南アジアやインドなどの新興国での需要増加により、市場拡大が予想される。また、生成AIの活用に伴うAI外観検査の普及なども、市場拡大の後押しになるとみられる。
検査アプリケーション(外観等の検査装置)は、自動車関連、デバイス関連、基板実装関連、製紙・印刷関連、食品・医薬品関連向けを対象とする。
自動車関連向けは、公的支援による電池メーカーの車載電池への設備投資の増加によって、リチウムイオン電池外観検査装置が伸長していることから、市場は拡大している。2023年以降も設備投資の増加に伴ってリチウムイオン電池外観検査装置が伸びるほか、2024年には半導体や車載電装部品の不足解消によって自動車部品外観検査装置も回復に向かうと予想される。デバイス関連向けは、2022年は規模の大きいウェハー外観検査装置が市場拡大をけん引した。米中貿易摩擦に伴って中国が半導体の自給自足を目指し、設備投資を増加させていることも、ウェハー外観検査装置の伸長に繋がっている。日本でもTSMCの工場建設や政府主導の半導体産業再興を背景に伸びるとみられる。基板実装関連向けは、2023年は設備投資減少を受けて縮小が予想されるが、2024年以降はグローバルで車載電装部品や情報通信関連機器生産での設備投資が回復に向かうため、市場は拡大するとみられる。製紙・印刷関連向けは、Web外観検査装置は、車載電池や半導体用フィルム製造向けの伸びによって、印刷面外観検査装置は、部品不足の解消に加えデジタル印刷の本格普及や東南アジア、インドでの需要増加によって伸びるとみられる。食品・医薬品関連向けは、2023年は中国やインド、東南アジアなど新興国での需要の高まりや、日本や米州などでの安定した需要を背景に引き続き拡大が予想される。
単体機器は、処理装置、カメラ、キーコンポーネンツを対象とする。2023年は設備投資減少により市場は縮小するが、2024年以降は上向くとみられる。
処理装置は、2023年は前年までの大量発注の反動によって設備投資が減少しているほか、中国市場の減速やウクライナ情勢の影響による欧州市場の停滞で、電機・電子関連や半導体・FPD関連といった主要分野を中心に需要が低調である。今後は新規用途の拡大が望まれ、車載電池や電装部品などEV関連分野で需要増加が期待される。カメラは、2023年の上期は受注残に支えられたが、下期は新規案件が少なく、特に、前年に好調であったFA用ラインスキャンカメラの落ち込みが顕著である。一方、普及段階にある産業用CIS、ハイパー/マルチスペクトルカメラは比較的堅調である。2024年下期以降は設備投資回復や在庫解消に伴い、車載電池向けなどの伸びが期待される。キーコンポーネンツは、2024年以降、半導体をはじめとした電機・電子関連分野の設備投資が回復に向かうとみられ、また、EV向け車載電池やパワー半導体、物流分野などでの需要の高まりも期待される。
観察・測定関連機器は、2023年は国内や欧米で自動車関連や電子関連分野で設備投資が増加しているため、市場拡大が予想される。ただし、中国市場の減速によって、市場の伸びは前年よりも鈍化する。今後も、EVの普及やGXの進展を背景に、自動車や電池関連分野での採用が増えるため、市場は拡大するとみられる。
AI・ディープラーニング応用製品は積極的な設備投資が進められており、2022年の市場も高伸長となった。2023年以降も順調な伸びが予想される。
◆注目市場
●AI・ディープラーニング応用製品
AI・ディープラーニング応用製品は積極的な設備投資が進められており、2022年の市場は前年比30%程度の拡大となった。2023年は画像処理システムへの投資減少を受けて、産業用AI機能搭載カメラの需要は低調であるが、ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエアは中国やその他アジアを中心に好調が続くとみられる。また、生成AI活用画像生成サービスの提供が日本で2023年から開始されている。当面はPoC(概念実証)が中心となるが、将来的には本格導入が進み、ユーザーの増加が期待される。2024年以降は中国を含むアジアの製造業を中心に設備投資が積極的に行われるとみられ、市場は順調に拡大すると予想される。
エリア別では、ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエア市場は、中国がけん引している。産業用AI機能搭載カメラや生成AI活用画像生成サービスの市場は日本が中心となっている。特に、ロボット、AGVで採用が進む産業用AI機能搭載カメラは、専業メーカーであるHMSが日本を中心に展開を進めている。
●自動車関連向け検査アプリケーション
自動車部品外観検査装置の市場は、2022年に半導体や車載電装部品の不足による自動車の生産台数減少を受け設備投資が抑えられたことから縮小した。2023年も設備投資が抑制されていることから市場縮小が見込まれる。2024年以降は、部材不足が解消し自動車生産台数が増加、設備投資が進むことから市場は拡大するとみられる。
リチウムイオン電池外観検査装置は、車載電池生産に対する公的支援を受けて電池メーカーの設備投資が増加しているため、市場は拡大を続けている。また、2022年に大手電池メーカーが欧米での設備投資を開始しており、新たに欧米市場が立ち上がったことも追い風となっている。今後も積極的な設備投資を受けて、伸びが続くとみられる。
エリア別では、自動車部品外観検査装置は日本、リチウムイオン電池外観検査装置は中国で販売が多い。また、自動車メーカーや大手電池メーカーは、自動車部品や車載電池の現地生産を進めており、欧米で設備投資を増やしている。加えて、韓国ではEV販売の好況を受けて車載電池の生産に対する設備投資が増えており、導入が増加している。
◆調査対象
検査アプリケーションデバイス関連
・ウェハー外観検査装置
・FPD検査装置
基板実装関連
・クリームはんだ印刷外観検査装置
・インライン実装検査装置(リフロー前後)
・AXI
自動車関連
・自動車部品外観検査装置
・リチウムイオン電池外観検査装置
製紙・印刷関連
・Web外観検査装置
・印刷面外観検査装置
食品・医薬品関連
・飲料容器外観検査装置
・印字検査装置
・錠剤・顆粒剤検査装置
単体機器
処理装置
・画像処理装置(筐体型)
・画像処理装置(ボード型・ライブラリライセンス)
・画像センサー
・ロボットビジョン(2D/3D)
カメラ
・FA用エリアスキャンカメラ
・FA用ラインスキャンカメラ
・産業用CIS
・3Dラインプロファイルカメラ
・赤外線カメラ
・ハイパー/マルチスペクトルカメラ
・産業用ToFカメラ
キーコンポーネンツ
・画像処理用LED照明
・画像処理用レンズ
・産業用イメージセンサー
観察・測定関連機器
・CNC画像測定器
・デジタルマイクロスコープ
・共焦点レーザー顕微鏡(工業用)
・工業用X線検査装置
・レンズ測定器
AI・ディープラーニング応用製品
・ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエア
・産業用AI機能搭載カメラ
・生成AI活用画像生成サービス