PRESSRELEASE プレスリリース

第18045号

IoT、AIの導入が進みつつある
住設建材/システム関連の国内市場を調査
−2023年度市場予測−
住宅設備・建材市場4兆8,992億円
省エネ/創エネ分野などのけん引により市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、省エネ化、ゼロエネルギー化を目指した開発の動きが本格化している住宅設備・建材/システム関連の国内市場を調査した。その結果を「2018年版 住設建材/システム関連市場・技術の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、水廻り設備、水廻り関連機器、省エネ/創エネ、空調/家電といった住宅設備分野20品目、内装材、断熱、外部建具、外装材、エクステリアといった建材分野18品目の市場動向をまとめた。また、住設建材市場におけるIoT、AIへの取り組みについて整理した。

◆調査結果の概要

1.住宅設備・建材市場



2017年度の住宅設備市場は、2兆8,590億円(前年度比101.8%)が見込まれる。リフォーム向けの需要は伸び悩んでいるものの、HEMSや家庭用定置用蓄電システム、家庭用燃料電池を含む省エネ/創エネ分野などは好調である。また、ロボット掃除機の伸長が著しい空調/家電分野も好調で拡大に寄与している。今後も省エネ/創エネ分野、空調/家電分野がけん引し、市場は拡大するとみられる。

2017年度の建材市場は、1兆7,179億円(前年度比100.6%)が見込まれる。ZEHの普及や省エネ基準適合化により断熱分野と高断熱商品へのシフトが進む外部建具分野が好調である。2019年度までは、市場拡大が予想されるものの、以降は新設住宅着工戸数の減少により、市場は縮小が予想される。

◆注目の分野

省エネ/創エネ分野

2017年度見込
2016年度比
2023年度予測
2016年度比
市場規模
3,318億円
93.4%
5,298億円
149.2%

HEMS、住宅用太陽光発電(PV)システム、家庭用定置型蓄電システム、家庭用燃料電池を対象とする。

省エネ/創エネ市場は、補助金政策や2019年にPVによって発電された電気の買取義務が終了するユーザーの増加が予想される「2019年問題」が市場に影響を与えるとみられる。

HEMSは、新築戸建住宅における採用が中心となっている。近年市場は、大手ハウスメーカーの実績が伸び悩んでおり、停滞している。しかし、2018年度以降は施策として導入が進められているZEH での採用増加が予想される。さらに、「2019年問題」以降、PVシステムの自家消費ニーズは高まるとみられ、HEMSとの組み合わせ提案の増加が予想され、拡大するとみられる。

住宅用PVシステムは、「2019年問題」以降、HEMSや家庭用定置型蓄電システムなどの周辺システムと併用での採用が増加すると予想される。

家庭用定置型蓄電システムは、東日本大震災後の補助金政策によって拡大してきたが、2016年に補助金の打ち切りがあったことから縮小した。2017年度は、ZEH関連の補助金継続や、「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルプラント構築実証事業費補助金」の新設が市場拡大に寄与した。今後は、自家消費ニーズの高まりによって拡大が期待される。

家庭用燃料電池は、補助支援政策や都市ガス会社による割引キャンペーンにより拡大している。今後は、給湯器更新のタイミングでエネファームへの切り替えが進むとみられ、市場は拡大すると予想される。

◆住宅業界におけるIoT、AIの導入状況

1.住宅設備分野

開発ポイント <水廻り設備/水廻り関連機器分野>
⇒家事効率化、健康管理、見守り、快適性向上など
<省エネ/創エネ分野>
⇒HEMSの効率運用、自動最適制御、遠隔監視・制御など
<防犯設備分野>
⇒利便性の向上、遠隔確認など
<空調・家電分野>
⇒見守り、健康、自動最適制御、遠隔操作など

比較的多くの品目でIoT、AIの導入検討が進んでおり、対応商品・システムが市場に投入されている。

HEMSを含む省エネ/創エネ分野では、スマートフォンなどによる遠隔操作・状況確認をはじめ、天候情報や電力消費パターンの把握による余剰電力の試算や関連機器との連動による効率的な運用を可能としている。

水廻り設備/水廻り関連機器分野では、家庭用給湯器の遠隔操作のほか、異常情報の把握による見守り機能、浴室内の温度測定をベースとしたヒートショック対策などが充実しつつある。

防犯設備分野では、テレビドアホンで導入が進んでいる。スマートフォンとの連動により外出先での来客対応などが可能となっている。

空調/家電分野では、ルームエアコンなどで導入が進んでおり、温度や湿度などの室内環境を検知し、時系列に分析することで快適性や効率化を追求する動きがみられる。

2.建材分野

開発ポイント <水廻り設備/水廻り関連機器分野>
⇒家事効率化、健康管理、見守り、快適性向上など
<省エネ/創エネ分野>
⇒HEMSの効率運用、自動最適制御、遠隔監視・制御など
<防犯設備分野>
⇒利便性の向上、遠隔確認など
<空調・家電分野>
⇒見守り、健康、自動最適制御、遠隔操作など

製品の特性上、IoT、AIの導入が難しい品目が多く、対応はあまり進んでいない。

分野別では、外部建具分野での導入が目立っている。サッシでは、透明有機ELを活用し、情報端末の機能を盛り込む動きがみられるほか、電動式シャッターでは、スマートフォンとの連携や天候情報に応じた自動制御などが可能となっている。

エクステリア分野では、セキュリティの向上を目指した動きがみられる。宅配ボックスについては、遠隔着荷確認の機能が付加されている。

断熱分野では、複層ガラスで導入が進んでおり、情報を表示させる媒体としての利用が進む可能性がある。

◆調査対象

 
住宅設備分野 水廻り設備 キッチン、浴室ユニット、温水洗浄便座/一体型温水洗浄便器、洗面化粧台、水栓金具
水廻り関連機器 浄水器、ビルトインコンロ、レンジフード、家庭用給湯器、浴室暖房乾燥機
省エネ/創エネ HEMS、住宅用太陽光発電システム、家庭用定置型蓄電システム、家庭用燃料電池
防犯設備 テレビドアホン、住宅用火災警報器
空調/家電 床暖房、ルームエアコン、空気清浄機、ロボット掃除機
建材分野 内装材(木質) フローリング材、室内ドア、収納部材、階段ユニット
断熱 発砲系断熱材、繊維系断熱材、複層ガラス
外部建具 サッシ、玄関ドア、住宅用シャッター
外装材 窯業系サイディング材、金属系サイディング材 ・薄型平板瓦(新生瓦)
エクステリア 門扉、フェンス、カーポート、ガーデンルーム、宅配ボックス

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/05/21
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