PRESSRELEASE プレスリリース

第19106号

エネルギーマネジメントシステム(EMS)関連市場を調査
― 2030年度予測(2018年度比)―
EMS関連の国内市場は1兆7,134億円(94.0%増)。EMS関連サービス市場が拡大をけん引

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、サブスクリプションビジネスやデータ取引サービスなど、広がりの兆しを見せるEMS関連サービス、EMS関連サービスの広がりで活用シーンが多様化し利用価値が高まるEMSなど、国内のEMS関連市場を調査した。その結果を「2019 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査」にまとめた。

この調査では、EMS関連市場としてEMS/EMS関連システムや需要家側EMS関連設備、EMS関連サービスの市場動向を整理した。併せて、EMSデータ活用の新たな展開による市場の変化、卒FITや需給調整ビジネス本格化によるEMS市場への影響などについても分析した。

◆調査結果の概要

■EMS関連の国内市場

 

2018年度

2030年度予測

2018年度比

EMS/EMS関連システム

956億円

1,061億円

111.0%

需要家側EMS関連設備

4,592億円

8,672億円

188.9%

EMS関連サービス

3,286億円

7,401億円

2.3倍

合 計

8,834億円

1兆7,134億円

194.0%

EMSは労働効率化・省力化を目的としたソリューションへの需要顕在化、需要家側での需給調整ビジネスの立ち上がり、卒FITに起因するエネルギー自家消費ニーズの高まりなどにより活用シーンが多様化することで利用価値が高まり、採用が増加するとみられる。EMS市場自体が大きく拡大するわけではないが、創蓄連携や設備機器のデータを統合管理するプラットフォームとしての役割を担うことで、EMS関連システムやEMS関連設備、EMS関連サービスは相乗効果が期待される。

需要家側EMS関連設備は、特に、卒FITに起因するエネルギー自家消費ニーズの高まりにより蓄エネ設備が伸長する。そのほか、これまで需要家側EMS関連設備はエネルギーの見える化やエネルギーの使用効率化を図るための機器制御を目的とするものが中心であったが、今後は省エネに限らず、収集したデータに基づく予兆保全や生産効率向上などを図るソリューションに対応した設備の展開が進んでいくとみられる。

EMS関連サービスは省エネを目的としたエネルギー見える化サービスだけでなく、設備のサブスクリプションビジネスやエネルギー・リソース・アグリゲーション・サービス、データ取引など、ビジネスモデルや利用シーンが広がっており、市場が拡大している。

>>HEMS、BEMS(BAS、BEMS単独システム)の国内市場

 

2018年度

2030年度予測

2018年度比

HEMS

65億円

95億円

146.2%

BAS

491億円

486億円

99.0%

BEMS単独システム

81億円

110億円

135.8%

HEMS市場は依然として新築向けが中心であり、近年ほぼ横ばいとなっている。今後はZEH補助事業や蓄電システム補助事業が下支えし微増推移が予想される。また、エネルギーを効率的に使うためのツールから、住宅向けIoTサービスのプラットフォームとしての役割を担っていくとみられる。将来的にVPP(Virtual Power Plant)や需給調整ビジネスが立ち上がると、家電や畜エネ設備を制御するコントローラーとして、HEMSの位置づけはさらに高まるとみられる。

BASは首都圏の大型ビルの新築需要、リニューアル需要ともに順調であるが、市場は建物関連設備・システムの価格要求が厳しくなっていることから緩やかな伸びとなっている。今後市場は、短期的には、首都圏の大型案件が落ち着くため2020年度に縮小に転ずるが、東京都23区内や地方中核都市の再開発案件に加えて、建設作業員不足や資材費高騰から先送りになっていたリニューアル案件もあり、一定規模は維持されるとみられる。中長期的には、ビル管理で人手不足が顕在化することにより設備管理の省力化・自動化ニーズが高まり、これまであまり採用されてこなかった延床面積数千㎡規模の建物において安価なクラウドベースのシステムが普及するとみられる。また、環境投資(ZEBの採用など)へのニーズ拡大による導入も期待される。

BEMS単独システムは省エネを目的とした導入が一巡しており、市場はピーク時の60%程度まで縮小している。費用対効果や、旧一般電気事業者系小売電気事業者を中心とした高圧電力の値下げ競争激化などから、エネルギーの見える化やデマンド制御による省エネ機運が低下している。今後は従来の建物設備の付帯システムとしての導入や、省エネコンサルティングサービスの一環としての導入に加えて、電力小売サービスの高付加価値化や電力取引市場の立ち上がり、VPPの実運用開始による需要家側電源の取引が本格化することで小売電気事業者を介した省エネ・デマンドレスポンスサービスとしての導入が増加すると予想される。また、ビル管理などでの人手不足に伴い、設備管理の省力化・自動化の一環として、設備の予防保全・予兆監視を行うためにエネルギーデータを取得するケースが増加するとみられる。

◆注目EMS関連サービス市場

1.XaaS(建物設備向けアズ・ア・サービス)

2018年度

2030年度予測

2018年度比

1億円

500億円

500.0倍

建物設備向けアズ・ア・サービスは、快適なビル環境や施設環境の実現に利用できる新たなサービスである。空調設備では、ビル・商業施設の空調設備を施設のオーナーに代わって設置・保有し、建物の規模や空調の使用実態に応じた運用管理により、利用者に快適な空調空間を月額固定料金で提供するサブスクリプション型のサービスが一部で始まっている。設備導入や更新、運用段階で発生する費用や手間が軽減され、快適なビル環境の実現が可能となる。また、設備管理者に義務付けられたフロン排出抑制法に基づく法定点検や、既存設備の使用状況に応じた空調設備のリノベーション提案など、運用に関する総合的なサポートが受けられる。

現状では空調設備のほか、照明設備などの一部でサービス展開されている程度で本格的な市場形成には至っていないが、今後は新たなサービス提案が活発化すると予想される。また、アズ・ア・サービスを入り口として、さまざまなサービスやソリューションの提案が行われると想定される。

2.エネルギー・リソース・アグリゲーション・サービス

2018年度

2030年度予測

2018年度比

10億円

840億円

84.0倍

エネルギー・リソース・アグリゲーション・サービスは、各地に分散している太陽光発電システムや燃料電池、蓄電システムなどのエネルギー・リソースをリソースアグリゲーターが集約し、さまざまなかたちで提供するサービスである。

2017年4月にサービス(ネガワット取引)が始まっている。現状では需要家への経済的インセンティブや事業収益性が確立されておらず、市場(取引)規模は小さい。市場が本格化するのは、政府主導による制度設計や参加事業者によるビジネススキームが定まる2025年頃になると予想される。以降は卒FITによる再生可能エネルギーの自家消費分の増加など、エネルギーリソースの状況も変化するとみられ、新たな市場創出が期待されている。

3.ビル設備遠隔監視サービス

2018年度

2030年度予測

2018年度比

204億円

400億円

196.1%

ここでは、空調設備や受配電設備などのビル設備において、稼働状況や警報信号の発生をクラウドサーバー上で管理し、設備のトラブルや故障予兆を遠隔監視するサービスを対象とする。なお、市場はサービス利用にかかるランニングコスト(クラウドサーバー運用費用、データ通信費用など)とし、サービス導入時のシステム構築費などのイニシャルコストは含まない。

ビル管理会社に設備管理の外部委託をしている施設や中央監視システムを導入している施設など、主に大規模施設や複数拠点を有する大手企業で、保守管理サービスの一環として採用されている。中小規模施設の採用は限定的であるが、今後は業務・産業施設における設備管理での人手不足が顕在化することにより、設備管理の自動化・省力化ニーズが高まるとみられ、採用が増加すると予想される。監視だけでなく、取得したデータは保守メンテナンスや改修、更新提案など、コンサルティングビジネスで活用が広がるとみられる。

◆調査対象

EMS/EMS関連システム

HEMS

FEMS

分散型電源監視システム

MEMS

CEMS

直流給電システム

BEMS(BAS/BEMS単独システム)

顧客情報管理システム(CIS)

 

REMS

設備監視システム(ビル関連設備)

 

需要家側EMS関連設備

電力スマートメーター

分電盤

コージェネレーションシステム

ガススマートメーター

高圧受電設備(キュービクル式)

V2X(自動車用充放電器)

水道メーター(通信機能搭載タイプ)

絶縁監視装置

空調コントローラー

見える化ツール※

需要家用蓄電システム

照明制御システム

IoTゲートウェイ(エネルギー管理用途)

ハイブリッドパワーコンディショナー

 

EMS関連サービス

家庭向け省エネ/IoT住宅関連サービス

IoT通信サービス(LPWA)

業務・産業向け省エネサービス

エネルギー設備リース事業

エネルギー・リソース・アグリゲーション・サービス

電源設備レンタルサービス

需給管理システム・需給管理代行サービス

XaaS(建物設備向けアズ・ア・サービス)

マンション高圧一括受電サービス

V2G(Vehicle to Grid)サービス

エネルギーコスト削減支援サービス

データ取引(エネルギーデータ)

ビル設備遠隔監視サービス

ディスアグリゲーションサービス

テレメータリングサービス(自動検針サービス)

電力融通サービス

※単回路電力モニター、多回路計測ユニット、マルチ指示計器、計測機能付ブレーカー、データ収集サーバー


2019/12/05
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