PRESSRELEASE プレスリリース

第22131号

セキュリティ関連の国内市場を調査
無人化/省人化、非接触化などをキーワードに拡大
―2026年国内市場予測(2021年比)―
■セキュリティ関連 1兆1,125億円(12.3%増)
~新型コロナ流行に伴う非接触ニーズの高まりなどから「無人化/省人化」が大きく伸びる~
●スマートロック 223億円(2.9倍)
~現状は住宅やオフィス向けが中心。施設管理の無人化/省人化の流れで用途の広がりに期待~
●バイオメトリクス(生体認証) 181億円(38.2%増)
~静脈認証や顔認証を中心に堅調に拡大。虹彩認証への注目度も高まる~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、労働人口の減少に伴う人手不足や、コロナ禍における非対面や非接触化の広がりによる無人化/省人化をキーワードとして新たな展開が進む国内のセキュリティ関連市場について調査した。その結果を「2022 セキュリティ関連市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、監視カメラシステム分野5品目、アクセスコントロール分野8品目、イベント監視/通報関連機器分野3品目、自動車分野2品目、家庭向け機器/サービス分野6品目、防災関連機器/サービス分野3品目、「無人化/省人化」分野2品目の計29品目の国内市場について現状を調査し、将来を予想した。また、無人化/省人化関連システム/ソリューション7品目の市場動向についても整理した。

◆調査結果の概要

■セキュリティ関連の国内市場

 

2022年見込

2021年比

2026年予測

2021年比

全体

1兆 183億円

102.8%

1兆1,125億円

112.3%

 

監視カメラシステム

1,148億円

106.8%

1,278億円

118.9%

アクセスコントロール

526億円

104.6%

599億円

119.1%

「無人化/省人化」

146億円

171.8%

340億円

4.0倍

※監視カメラシステム、アクセスコントロール、「無人化/省人化」は全体の内数

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、企業の設備投資の抑制や相次ぐ感染症対策の発令によるオフィスビルや住宅の新築案件の遅れなどにより、2020年の市場は縮小した。2021年以降は滞っていた案件が動き始めたことから、監視カメラシステムやアクセスコントロールなどが堅調に伸びており、2022年の市場は前年比2.8%増が見込まれる。また、無人化/省人化がキーワードとして注目されており、人口減少に伴う人手不足への対応だけではなく、新型コロナ流行を受けた非接触ニーズの高まりやワークスタイルの変化などにより、関連する機器/サービスの需要が急増している。

監視カメラシステム分野は、半導体不足などにより一部の機器生産が影響を受けているものの、需要は堅調なため、2022年は監視カメラをはじめ、多くの品目が伸びるとみられる。従来は防犯目的が主軸であったが、近年は製造現場での作業効率化や事故防止対策、災害対応、省人化対応などでAI/画像解析技術が活用されている。特に、製造現場での検品、各種施設の車両管理、店舗などでの在庫管理、防犯・防災を目的とした監視カメラと組み合わせた自動検知システム/ソリューションは、従業員や警備員の省人化につながるため注目されている。

アクセスコントロール分野は、前年までみられた需要の高まりからの反動減、新型コロナ流行の影響を受けたオフィス向けの落ち込みから、2020年の市場は大きく縮小した。しかし、2021年以降は、EC市場の成長を受けた物流施設の増加や、住宅、店舗、工場などでのバイオメトリクス採用の拡大、地方でのセキュリティ意識の高まりなどにより、市場は回復に向かっている。特に、首都圏のオフィスビルが中心だった機器/システムの需要が、地方のオフィスや工場向けでも増えている。また、静脈認証や顔認証のPCアクセス管理用途では、官需から民需への広がりもみられるため、中長期的な市場拡大が期待される。

「無人化/省人化」分野は、無人/省人決済システムとスマートロックを対象とする。スマートロックは、新型コロナ流行に伴う非接触ニーズの増加やワークスタイルの変化を背景に、鍵の受け渡しなどの管理業務や非接触決済などの需要が増えている。特に、ユーザー不在時における家事代行、宅配などのサービス提供が本格化しており、無人営業が可能な施設でのニーズが高まっている。今後も対応機器の性能向上や、関連サービスの充実により、大幅な市場拡大が予想される。

イベント監視/通報関連機器分野は、法人向け機械警備サービス市場が中心であるが、新型コロナ流行以降、ユーザーによる設備投資の動きが一部停滞しているため、市場は微増にとどまっている。ただし、中長期的には、警備業界の人手不足もあり、常駐警備からの代替需要の増加が期待される。

自動車分野は、自動車の販売台数や所有台数の影響を受ける市場であるが、あおり運転や自動車盗難などに対して、今後もカーセキュリティに対する意識の継続的な高まりが予想される。

家庭向け機器/サービス分野は、ホームセキュリティサービスや高齢者在室安否確認サービスが堅調に伸びている。今後、新設住宅着工戸数の減少が予想されるため、機器需要は中長期的に減少するが、サービス需要は順調な増加が予想される。

防災関連機器/サービス分野は、新型コロナ流行の影響で滞っていた建築案件が回復し始めたことにより2021年の市場は前年比プラスとなったが、2022年は半導体や部品材料不足の影響を受けて火災報知設備やガス漏れ警報器は前年比マイナスになるとみられる。

◆注目市場

●スマートロック

2022年見込

2021年比

2026年予測

2021年比

130億円

171.1%

223億円

2.9倍

スマートフォン、ICカード、テンキーなどを活用して、物理キー無しで施開錠ができるシステムである。インターネット経由で遠隔での施錠確認や施錠、また、本人以外の施解錠のために時間制限を設けたワンタイムパスコードの発行も可能である。

市場は住宅・コンシューマ向けと業務施設向けに大別される。住宅・コンシューマ向けは、物理キーが不要となることから需要が増えている。業務施設向けは、従業員や来客の入退室・ログ情報を活用した勤怠管理や来訪者管理、また、クラウド活用で外部からの管理や多拠点の一括管理ができる点が受け入れられている。

住宅・コンシューマ向けは、インターネット通販や量販店などで個人が購入して設置するケースや、販売、賃貸住宅の集合住宅住戸での一括導入、分譲マンションのエントランス向けを中心に市場は拡大している。特に、賃貸住宅向けでは、大手賃貸事業者の管理物件での大型導入が予定されており、今後急速な伸びが予想される。

業務施設向けは、オフィス用途で従来型の入退室管理システムからの代替需要を獲得することで市場が本格化しつつある。新型コロナ流行の影響で一時的にオフィス向けの契約解除やベンダーの営業展開に支障が出たものの、テレワークの定着や働く場の多様化などにより、遠隔で複数拠点の一括管理が可能である点が評価されていることから、需要が増えている。一般オフィス用途以外にもレンタル・シェアオフィスや貸会議室、24時間稼働のフィットネスクラブや美容院、トランクルーム、宿泊施設などを中心に、鍵の受け渡しが不要である点や無人での受付対応が可能となる点などが受け入れられている。

●バイオメトリクス(生体認証)

 

2022年見込

2021年比

2026年予測

2021年比

全体

148億円

113.0%

181億円

138.2%

 

静脈認証

109億円

116.0%

134億円

142.6%

顔認証

22億円

104.8%

28億円

133.3%

※静脈認証、顔認証は全体の内数

指紋、静脈、顔、虹彩認証を対象とする。現状は静脈と顔が中心であり、虹彩も今後の伸びが期待される。

静脈認証の入退室管理用途は、2022年は、設備投資が回復していることからオフィス向けの大型案件が増えている。今後、高いセキュリティレベルが要求される施設向けで採用が増えると期待される。PCアクセス管理用途は自治体、官公庁向けが中心であり、2021年の市場はリプレース需要により好調だった。ただし、今後は設備投資抑制の流れを受けたリプレース需要の停滞が懸念されている。一方、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」改定により、2027年時点で稼働している医療情報システムに二要素認証または相当する対応が策定されたため、今後は医療分野での普及が加速すると期待される。

顔認証は、スマートフォンの本人認証や、東京五輪関連の施設で導入が進んだことから認知度が向上した。新型コロナ流行を受けた非接触や検温ニーズの高まりにより伸びている。入退室管理用途は、従来は非接触カード式の入退室管理システムを導入していたユーザーが、顔認証に移行していることから伸びている。PCアクセス管理用途は、2019年の市場は大手生命保険会社の導入で大幅に拡大したが、2020年は反動減で落ち込んだ。2021年以降、需要は堅調に増えており、2022年以降は官公庁の需要を下支えに、テレワークの増加に伴う民間企業での導入なども増えるとみられる。

指紋認証は、他のバイオメトリクスへの移行が想定されるが、コスト面に優位性があるため、一定の需要が期待される。虹彩認証は、非接触やマスク着用時の認証精度が高いことから、他のバイオメトリクスからの切り替えが進みつつある。今後、高いセキュリティレベルが要求される施設を中心に導入が進むと予想される。

◆調査対象

セキュリティ関連システム・サービス

監視カメラシステム分野

 

 

・監視カメラ

・映像総合管理ソフトウェア 

・クラウド録画サービス

・画像録画装置

・画像伝送装置

 

アクセスコントロール分野

 

 

・入退室管理システム 

・バイオメトリクス(指紋認証)

・バイオメトリクス(虹彩認証)

(非接触カード式)

・バイオメトリクス(静脈認証)

・鍵管理ボックス

・フラッパーゲート 

・バイオメトリクス(顔認証)

・セキュリティキャビネット

イベント監視/通報関連機器分野

 

 

・警備用ロボット/ドローン関連

・侵入センサー

・法人向け機械警備サービス

サービス

 

 

自動車分野

 

 

・ドライブレコーダ

・後付け盗難防止装置

 

家庭向け機器/サービス分野

 

 

・ホームセキュリティユニット

・テレビドアホン/住宅情報盤

・緊急通報サービス

・ホームセキュリティサービス

 防犯ロック

・高齢者在室安否確認サービス

防災関連機器/サービス分野

 

 

・火災報知設備

・ガス漏れ警報器

・被災者安否確認サービス

「無人化/省人化」分野

 

 

・無人/省人決済システム

・スマートロック

 

無人化/省人化関連システム/ソリューション

・作業効率化

・施設無人管理

・自然災害遠隔監視

・集合住宅無人管理

・無人店舗運営管理

 

・クラウド型入退室管理

・自動警備

 


2022/12/13
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。