PRESSRELEASE プレスリリース
インフラ維持管理の次世代技術・システム関連市場を調査
次世代技術・システム関連市場2,166億円
老朽化が進む道路関連の維持管理や目視が難しい生活インフラ関連の点検などで需要増加
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、老朽化が急速に進む国内インフラの維持管理業務に求められる課題を把握し、効率化する上で有望視される次世代の技術・システム関連(サービス含む)市場を調査した。その調査結果を報告書「2016年版 次世代インフラ維持管理技術・システム関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
本調査では、「道路関連」「鉄道関連」「空港・港湾関連」「治水関連」「生活インフラ関連」の5分野20インフラを取り上げ、これらの維持管理で注目される「画像処理・カメラ機器/システム」「センシング機器/システム」「ロボット機器/システム」「現場支援ツール機器/システム」「データ管理・マネジメント支援システム」といった5つの技術領域について市場の現状を把握し、将来を展望した。
◆インフラ分野別の動向
インフラ維持管理の次世代技術・システム関連市場
2016年度見込 |
2020年度予測 |
2030年度予測 |
|
道路関連 |
56億円 |
128億円 |
1,211億円 |
鉄道関連 |
34億円 |
66億円 |
362億円 |
空港・港湾関連 |
11億円 |
38億円 |
76億円 |
治水関連 |
1億円 |
15億円 |
96億円 |
生活インフラ関連 |
46億円 |
82億円 |
420億円 |
合 計 |
148億円 |
329億円 |
2,166億円 |
市場は、今後維持管理業務に従事する人員の確保が困難になることや、業務の質を落とさず、低コストで確実かつ効果的に実施する必要性が高まることなどから急拡大が予想される。
道路関連では、画像処理・カメラ機器/システムが舗装状態を点検する路面性状調査で導入されている。目視点検から点検車両の活用が進むことにより、作業効率の改善が期待でき、需要が高まっていく見通しである。現在、道路関連市場の過半を占めるが、2030年度は、4分の3以上を占めるまでに構成比が拡大すると予想される。データ管理・マネジメント支援システムは予兆診断サービスとしての需要が有望視されており、2025年度以降に需要が増加するとみられる。
鉄道関連では、中長期的には人口が減少し、運賃収入の先細りが予想される中、維持管理業務の従事人員の確保と業務の質の保持が必要となっており、維持管理技術の向上によって、画像処理・カメラ機器/システムの需要が高まって行くとみられる。また、老朽化が懸念される橋梁などを中心に常時モニタリングなどの需要が高まっていくとみられ、センシング機器/システムの必要性が増加すると予想される。
空港関連では、センシング機器/システム、画像処理・カメラ機器・システムが滑走路面の亀裂など、路面状況の把握を目的とした用途で採用が期待されており、需要拡大が予想される。今後、滑走路面のクラック検知などでは、ロボット機器・システムにより簡便で作業効率改善が図られると想定される。港湾関連では、施設の規模が大きいことからUAV(無人航空機)を利用する広域測量の維持管理サービスや水中構造物の維持管理で高精度な水中カメラを利用した劣化診断サービスなどが活発化していくとみられる。
治水関連では、2015年度はダム、河川(堤防・護岸)、砂防施設の外観調査、空洞調査などで画像処理・カメラ機器/システム、またはセンシング機器/システムの採用率が高かったが、山間部にあることや、目視では確認が難しい箇所も多く、今後はロボット機器/システムの採用率が高くなっていく見通しである。また、国土交通省では「平成27年度次世代社会インフラ用ロボット現場検証技術」を公募し、2015年度に実証実験を行っており、ダムや河川での新技術の採用が進んでいくとみられる。
生活インフラ関連では、今後、上水道管路や都市ガスなど、管内の目視やカメラ検査の難しいインフラにおいて地上から水漏れ、ガス漏れなどを正確に検知するセンシング機器/システム、ロボット機器/システムの普及が進むとみられる。また、配電線・電柱ではUAVの応用も期待される。
◆注目の技術動向
1.ドローン/UAV関連 【ロボット機器/システム】
2016年度見込 |
2020年度予測 |
2030年度予測 |
|
市場規模 |
− |
25億円 |
130億円 |
これまで人による近接目視が難しかった場所(橋脚部分、ダム壁など)での点検を可能とする機器として注目されており、開発やサービス展開が進められている。安定・安全飛行のための操作スキル、用途に応じたカスタマイズなども必要となり、カメラで撮影した映像解析までを含め、今後はサービス提供型のニーズが高まるとみられる。国土交通省による「平成27年度次世代社会インフラ用ロボット現場検証技術」や新エネルギー・産業技術総合開発機構の「インフラ維持管理・更新などの社会問題対応システム開発プロジェクト」などの国家プロジェクトでも実用化を前提とした開発が進められているため、今後参入企業数はさらに増加していくとみられる。
2.予兆診断関連 【データ管理・マネジメント支援システム】
2016年度見込 |
2020年度予測 |
2030年度予測 |
|
市場規模 |
2億円 |
10億円 |
120億円 |
インフラ設備の長寿命化や維持管理コスト削減を目的とした情報提供サービスである。インフラ設備の振動やその他各種情報をセンサーで監視するサービスとして、巡回点検時やパトロール車で巡回時に受信したデータをデータベース化し、そのデータを人工知能などの機能を用いて分析後、インフラ設備の「予兆診断データ」をクライアントに報告、またはクラウド上で確認するサービスとなっている。老朽化対策が必要な橋梁、トンネルなどの構造物の維持管理などで提案が活発化していくと予想される。
3.インフラデータ包括マネジメント関連 【データ管理・マネジメント支援システム】
2016年度見込 |
2020年度予測 |
2030年度予測 |
|
市場規模 |
9億円 |
14億円 |
25億円 |
自治体が管理する公共インフラ全般の維持管理を目的とするデータ管理・マネジメント支援システムである。過去の点検結果や補修履歴データなどをもとに施設の健全度診断や劣化予測、ライフサイクルコスト試算、長寿命化計画を可能にする統合データベースで、これらを通じて、自治体はインフラの老朽化対策の実施策定や予算管理の業務支援事業コストの平準化と適正化が実現できる。技術系職人が減少傾向にあり、維持管理予算の財源確保も必要に迫られる中、これらのシステムを活用することは、自治体にとってメリットが大きく、今後大手ITベンダーを中心に公共インフラ維持管理から防災管理まで幅広く対応したソリューションが活発化していくとみられる。
◆調査対象
| 道路関連 | 高速道路(舗装)、高速道路(橋梁)、高速道路(トンネル)、 一般道路(舗装)、一般道路(橋梁)、一般道路(トンネル) |
| 鉄道関連 | 鉄道(線路)、鉄道(橋梁)、鉄道(トンネル) |
| 空港・港湾関連 | 空港(滑走路)、湾岸(土木構造物)、海岸(堤防・護岸) |
| 治水関連 | ダム構造物、河川(堤防・護岸)、砂防施設 |
| 生活インフラ関連 | 上水道管路、下水道管路、都市ガス管路 |
| 配電線・電柱 | 通信基盤設備(管路・とう道) |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
