PRESSRELEASE プレスリリース

第23127号

冷凍食品、農畜水産加工品など
加工食品の国内市場を調査
― 2024年市場予測(2022年比) ―
●冷凍食品 1兆2,909億円 (5.0%増)
~簡便性需要の高まりを追い風に伸長。外食監修や健康など、
コンセプトを明確にした商品の展開による市場活性化に期待~
●めかぶ 190億円 (15.9%増)
~“朝めかぶ”や“めかぶファースト”による血糖値上昇抑制効果などが話題~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、加工食品(27カテゴリー385品目)のうち、簡便性需要の高まりを追い風にしている冷凍食品やチルド調理済食品、その他調理済食品、農産加工品や畜産加工品、水産加工品、計6カテゴリー98品目の市場を調査した。その結果を「2024年 食品マーケティング便覧 No.2」にまとめた。

◆注目市場

●冷凍食品

2023年見込

2022年比

2024年予測

2022年比

1兆2,724億円

103.5%

1兆2,909億円

105.0%

簡便性需要の高まりを追い風に伸長し、2023年の市場は1兆2,724億円が見込まれる。市販用は巣ごもり需要が落ち着いた後も個食対応や外食監修などの付加価値が受け入れられており、価格改定による消費者の買い控えなどのマイナスもカバーするとみられる。業務用はコロナ禍からの回復は著しいものの、価格改定により一部ユーザーの離反がみられている。

幅広い品目を展開する企業ではアイテムの整理が進められており、生産効率を高めながら工場増設などの設備投資を特定の領域に集中する傾向が強まっている。また利便性、外食監修、健康などコンセプトを明確にした商品開発を進める企業がみられ、今後も冷凍食品だからこそできる価値を持った商品が展開されることで、市場が活性化していくと期待される。

●納豆

2023年見込

2022年比

1,395億円

104.7%

2024年予測

2022年比

1,400億円

105.0%

2022年は、国産大豆の収穫量減少や、輸入大豆の需給ひっ迫などにより市況は高止まりが続き、価格改定に踏み切るメーカーもみられた。業務用は回復に向かいつつあったが、巣ごもり需要の落ち着きにより市販用は前年を下回り、市場は前年割れとなった。

2023年は、前年に続き、価格改定が行われたことで販売単価は上昇している。しかし、一品でもご飯のお供を担えることや、食品全体が値上がりする中でのコストパフォーマンスの高さが支持され、需要は再び増加しており、市場は前年比4.7%増が見込まれる。

近年はひきわり納豆の納豆菌の多さに起因する健康性が注目されており、それ以外にもナットウキナーゼや豊富なビタミンKに加え、発酵食品として高い健康性を訴求できる商品であることから、値ごろ感と健康志向の両軸での商品展開が進み、市場拡大が続くとみられる。

●めかぶ

2023年見込

2022年比

2024年予測

2022年比

208億円

126.8%

190億円

115.9%

血糖値改善など健康効果がメディアで取り上げられることで市場拡大につながっていたが、2020年、2021年と業務用の落ち込みにより市場は縮小した。2022年は、価格改定に加え、メーカーによるキャンペーンの実施や、めかぶの健康効果および食べ方提案などにより改めて消費者へ健康性が浸透したことで、市場は拡大へ転じた。

2023年は、再び価格改定が行われたが、6月にTV番組でめかぶによるダイエット効果、血糖値上昇抑制効果などが特集され、小売店では9月頃まで供給が追い付かないほどの売れ行きが続き、市場は前年比26.8%増が見込まれる。2024年以降は反動によるマイナスが予想されるものの、“朝めかぶ"や“めかぶファースト"など健康に寄与する食べ方や食シーンの浸透とともに、話題性の継続を促す活動がメーカーにより行われており、市場は2022年の規模を上回る水準を維持するとみられる。

●韓国のり

2023年見込

2022年比

2024年予測

2022年比

79億円

105.3%

80億円

106.7%

国産のりの原料の不作により2015年以降、焼きのりの代替需要を獲得し、近年ではジャバンのり・韓国風もみのりが人気となっている。2022年は、市販用でジャバンのり・韓国風もみのりが若年層に浸透し、おつまみやトッピングという新しい食べ方が定着したことや、業務用が回復に向かったことから堅調だった。

2023年は、有明海産のりの記録的な不作により、CVSおにぎりなどののりを韓国のりで代用するケースがみられるほか、市販用でも小売店での品揃えや特売強化などがみられ、市場の拡大が予想される。

●冷凍ギョーザ

2023年見込

2022年比

2024年予測

2022年比

657億円

102.3%

676億円

105.3%

コロナ禍で業務用の外食向けは苦戦したものの、巣ごもり需要の高まりを背景に市販用や業務用の中食向けが好調であったことから、市場の拡大が続いた。2022年は、夕食のおかずやおつまみ需要を取り込んで市販用が好調だったほか、参入企業の増加、高付加価値商品や大袋入り商品の広がりもみられた。

2023年は、価格改定により消費者の買い控えが予想されるものの、高付加価値商品のラインアップが広がっており、業務用の外食や給食向けも回復に向かっていることから、引き続き、市場拡大が予想される。

◆調査結果の概要

 

2023年見込

2022年比

2024年予測

2022年比

冷凍食品(再掲)

1兆2,724億円

103.5%

1兆2,909億円

105.0%

チルド調理済食品

3,447億円

104.4%

3,500億円

106.0%

その他調理済食品

1,572億円

98.4%

1,573億円

98.4%

農産加工品

1兆1,231億円

102.2%

1兆1,225億円

102.1%

畜産加工品

8,655億円

101.8%

8,697億円

102.3%

水産加工品

9,483億円

102.6%

9,543億円

103.3%

チルド調理済食品は、畜肉や小麦粉の原料高騰を受けて値上げや規格変更による減量が行われているため、一部では需要減退がみられる。しかし、業務用が本格的に回復に向かっていることや、市販用で低価格商品や付加価値商品、簡便ニーズ対応商品など訴求ポイントが明確な商品を中心に伸長していることから、2023年の市場は前年比4.4%増が見込まれる。

今後も調理負担軽減など家庭内喫食需要の継続による簡便ニーズへの対応や、少人数世帯を主力ターゲットとした夕食向けの付加価値商品の展開強化が進められるとみられる。

その他調理済食品は、業務用が回復に向かっていることからアメリカンドッグやうなぎの蒲焼などは伸びるものの、鶏卵の価格高騰によって卵豆腐類では値上げや規格変更による減量、卵焼き類では出荷調整や休売などが行われたことで減少し、2023年は市場の縮小が予想される。今後の市場の正常化のためには、鶏卵の相場高や供給不足の解消が必要とみられる。

農産加工品は、中小規模の企業参入が多いことから価格改定のタイミングにばらつきがあり、2022年は値上げされた商品から価格を維持した商品への需要シフトが目立った。2023年に入るとほとんどの企業で価格改定が実施されたことで、商品間のシフトは落ち着きがみられる。

値ごろ感の高さから豆腐、納豆が惣菜需要を獲得し伸長している一方、煮豆や漬物は苦戦している。その中でも、漬物のうちキムチは調理用途としての需要を、煮豆のうち金時豆がスイーツ需要を獲得している。また、タイムパフォーマンス、健康ニーズなどからこんにゃく・豆腐めんが旺盛な伸びを維持しているほか、豆腐バーなどたんぱく質訴求品も注目されている。

畜産加工品は、ソーセージ類、ハム類の市場が大きい。価格改定による消費者の買い控えで販売量が減少する一方で、単価上昇によって市場は拡大している。また、物価高による節約志向の高まりを背景に、連パック商品のPBや値ごろ感のある大袋商品など廉価商品に需要が集中している。

一方で、参入企業によっては、切り落としやブロックタイプなど幅広い商品形態でメニューや用途提案をすることによって価格に依らない利用頻度の向上に努めたり、原料などの製造コスト高が続く中で生ハムやフランクフルトなどの高単価な付加価値商品の拡販を進めるケースもみられる。

水産加工品は、国内を中心とした水産物の不漁、円安による輸入原料の高騰など原料事情が悪化したことで、のり、スモークサーモンや水産缶詰などは商品の供給不足を生じ通常の販促活動ができないケースがみられた。加えて、輸送、包材、人件費の高騰などにより度々値上げを実施した品目が多く、市販用では消費者の買い控え、業務用では仕入れ価格を見直す動きもみられた。

新たなユーザー獲得に向け、これまで行われていた魚のDHA・EPA訴求から、良質なたんぱく質摂取源としての提案や、食前摂取による血糖値の上昇を抑える効果の周知など、健康訴求に広がりがみられる。また、パンやパスタなど小麦製品の値上がりによる米飯回帰をチャンスと捉えて、調理用途への活用やトッピングなど食べ方提案を展開する企業もみられる。

◆調査対象

冷凍食品

 

 

 

・冷凍ハンバーグ

・冷凍春巻

・冷凍えび・いか・かきフライ

・冷凍野菜

・冷凍肉団子・ミートボール

・冷凍天ぷら

・その他冷凍水産フライ

・ポテト加工品

・冷凍から揚げ

・冷凍お好み焼き

・冷凍米飯類(成型タイプ)

・素材系ミックス(市販用)

・冷凍フライドチキン

・冷凍たこ焼き

・冷凍米飯類(バラタイプ)

・冷凍果実(市販用)

・冷凍グラタン類

・その他冷凍スナック

・冷凍そば

・冷凍スープ

・冷凍ギョーザ

・冷凍コロッケ

・冷凍うどん

 

・冷凍水ギョーザ

・畜肉系カツ

・冷凍中華めん

 

・冷凍シューマイ

・水産系カツ

・冷凍パスタ

 

チルド調理済食品

 

 

 

 

・チルドハンバーグ

・チルドギョーザ

・チルドそば・うどん

・チルド焼きそば類

・チルド茶わんむし

・チルドミートボール

・チルドシューマイ

・チルドラーメン

・チルドパスタ

 

その他調理済食品

 

 

 

 

・ワンタン

・卵焼き類

・卵豆腐類

・うなぎの蒲焼

・アメリカンドッグ

農産加工品

 

 

 

・漬物

・豆腐加工品

・はるさめ

・素材缶詰

・キムチ

・味付油揚げ

・加工ごま

・果実缶詰・パウチ

・煮豆

・こんにゃく

・ジャム類

・はちみつ(市販用)

・納豆

・なめ茸茶漬類

・スプレッド類(市販用)

・マヌカハニー(市販用)

・凍豆腐

・山菜加工品

・素材系トマト

・こんにゃく・豆腐めん

・豆腐

・味付けメンマ

・サラダ類

 

畜産加工品

 

 

 

・ハム類

・ソーセージ類

・焼豚

・食肉加工品缶詰・パウチ

・生ハム

・ドライソーセージ

・焼肉類

・やきとり缶詰

・ベーコン

・サラダチキン(市販用)

・コンビーフ類

・おつまみ缶詰

水産加工品

 

 

 

・魚肉ハム・ソーセージ

・のり

・塩辛

・青魚缶詰・パウチ

・水産練製品

・韓国のり

・もずく酢

・ツナ加工品

・風味かまぼこ

・海苔佃煮

・めかぶ

・辛子明太子

・ちくわ

・昆布佃煮

・スモークサーモン

・鮭フレーク(市販用)

・パックおでん

・削り節・花かつお

・水産缶詰・パウチ

・乾燥わかめ(市販用)


2023/11/29
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。