PRESSRELEASE プレスリリース
介護福祉ロボット(歩行・移乗)155億円(19.4倍)国の助成金や優遇政策が市場拡大の追い風に
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、病気や加齢などによる心身的なマイナス部分を取り除き、「介護」「リハビリ」「介護予防」「自立支援」などを目的に使用する機器、用具・用品、サービスの国内市場(Welfare関連市場)を調査した。その結果を報告書「Welfare関連市場の現状と将来展望 2016」にまとめた。
この報告書では、機器・器具・システム(14品目)、消耗品・用具・用品(18品目)、サービス(5品目)の3カテゴリー37品の市場を調査・分析した。また、注目トピックスとして、高齢者施設動向、介護事業者における人材確保と育成、新規性と革新性の高い関連機器、用具・用品、サービス、産官連携の状況についてもまとめた。
要介護認定者は2015年に600万人を超え、それに伴い介護保険給付費用は2014年には9.3兆円に膨れ上がり、社会福祉費を圧迫している。また高齢者人口の増加は介護保険給付費用のみならず医療費でも毎年1〜2%増加し、2014年度は約40兆円まで上がり介護保険給付費用と合わせ削減が急務となっている。そのような中、政府は2015年に介護保険法を改正した。この中には、一定額以上の所得世帯における自己負担率の引き上げ、介護報酬の減算などが盛り込まれておりWelfare関連市場の成長を鈍化させると懸念されている。一方で、これらの課題解決は新たなビジネスチャンスと捉え関連企業のみならず異業種からも注目を集めている。
◆調査結果の概要
介護福祉関連機器、用具・用品、サービス市場
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
|
機器・器具・システム |
1,529億円 |
2,116億円 |
144.8% |
消耗品・用具・用品 |
2,697億円 |
3,191億円 |
122.9% |
サービス |
4,042億円 |
5,572億円 |
145.6% |
合 計 |
8,268億円 |
1兆0,879億円 |
138.0% |
2015年の全体市場は8,268億円が見込まれる。2015年の介護保険法改正における市場への影響は、現在のところは軽微にとどまっているものの、福祉用具の購入や貸与で、高額な品目への影響が懸念される。
カテゴリー別にみると、機器・器具・システム市場において、最も構成比が高い品目は介護用電動ベッドで4割を超えている。徘徊・転倒防止機器や服薬支援ロボットは認知症対策で需要が増加している。介護福祉ロボットは市場成長期に移行している。
消耗品・用具・用品市場では大人用紙おむつの構成比が6割を超えている。口腔保湿剤などのオーラルケア、手すりなどの起立・歩行支援品目の伸長率は高い。消耗品は価格競争が進んでいる。
サービス市場では福祉用具貸与サービスの構成比が7割以上となっている。また、健康管理サービス、高齢者見守りサービスなど介護保険対象外のサービスの伸びが順調である。
◆注目市場
1.介護福祉ロボット(歩行・移乗)(機器・器具・システム)
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
16億円 |
155億円 |
19.4倍 |
加齢から足腰が弱った高齢者や自力での歩行が難しい患者の歩行、要介護者の移動、リハビリ訓練などをサポートするロボットを対象とする。
経済産業省ロボット革命イニシアティブ協議会による「ロボット新戦略」では、2020年までに介護分野で500億円の事業規模を創造することを揚げ、助成金や優遇政策で後押ししており、多数の企業が市場参入を目指して開発、実証実験を進めている。また、厚生労働省も2015年4月より「地域医療介護総合確保基金」で介護施設への介護ロボット導入助成を実施している。これらが市場の追い風となり、今後拡大が加速すると予想される。
2.高齢者向けコミュニケーションロボット(機器・器具・システム)
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
5億円 |
17億円 |
3.4倍 |
市場は2004年にタカラトミーアーツから「ユメル」、2005年に産業技術総合研究所が開発した「パロ」が知能システムから発売され、その癒し効果などが注目された。しかし、導入やメンテナンスなどのコストが高いことから、市場は緩やかな成長にとどまっていた。
近年は高齢者向けコミュニケーションロボットのみならず様々なタイプのロボットが開発されており、ロボットがいる生活に対し、違和感がなくなりつつある。厚生労働省による2015年度の福祉用具貸与品目としての採択は見送られたが、今後高齢者向けコミュニケーションロボットが採択されれば、市場は大幅に拡大すると期待される。
3.高齢者向けシューズ(消耗品・用具・用品)
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
60億円 |
87億円 |
158.2% |
市場は1995年に徳武産業が高齢者用ケアシューズ「あゆみ」を発売したことにより立ち上がった。その後、参入メーカーが相次いだことや、介護保険給付の対象外で購入者は全額自己負担となるが、徐々に認知度が高まり、市場は活性化した。
近年は左右サイズ別や片足だけの販売、パーツオーダー対応などがあることから、顧客層が重度な要介護者から一般シニアへ広がったことに伴い、市場は拡大している。今後も要介護度の高い人とアクティブなシニア層両方への販売を注力することで、市場は更に拡大していくと予想される。
4.福祉用具貸与サービス(サービス)
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
|
市場規模 |
2,910億円 |
4,100億円 |
149.1% |
市場は貸与売上と貸与事業の介護福祉用品売上げも含む。
市場は2000年の介護保険制度開始とともに立ち上がり、高齢者人口の増加、要介護認定者数の増加を背景に順調に拡大し続けている。一方で、介護保険制度に頼るところが大きく、福祉用具貸与対象品目の増減、対象範囲の拡大縮小により市場が影響を受けている。今後は介護保険制度における福祉用具貸与対象品目にコミュニケーションロボットなどの追加が期待される一方で、絞り込みも懸念されており、2018年の法改正が分岐点と考えられる。
5.手すり(消耗品・用具・用品)
2015年見込 |
2021年予測 |
2014年比 |
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市場規模 |
89億円 |
215億円 |
2.8倍 |
玄関や階段、廊下などに設置し、歩行者が掴まることにより段差を昇る、降りる、歩くなどの動作をサポートする商品のうち、取り付けに際し工事を伴わないものを対象とする。
市場は2000年に施行された介護保険給付の対象品目になったことで大きく拡大した。その後2006年の介護保険法改正によって、要支援1、2、要介護1の人が車いすや電動ベッドを貸与で介護保険を利用できなくなったことで、転倒防止や移動補助を目的に利用者が更に増加した。また、寝室、居間、トイレ、玄関、階段など家庭内の様々な場所やシーンで必要となるため、一人複数台の貸与が一般的となっていることも拡大要因となっている。近年はある程度普及が進み、伸び率が鈍化しているものの、その他の福祉用具貸与品目と比較し、高い伸びとなっている。
◆調査対象(※介護保険給付対象品目)
| 機器・器具・システム市場品目(14品目) | 介護用電動ベッド※、車いす(手動型)※、電動車いす※、シルバーカー/歩行車・歩行器※、徘徊・転倒防止機器※、在宅用無線呼出し装置、介護福祉ロボット(歩行・移乗)、高齢者向けコミュニケーションロボット、薬支援ロボット、在宅用電動吸引器、リハビリ向け評価測定機器、筋力トレーニング用リハビリ機器、起立・歩行訓練用リハビリ機器、介護事業者向けシステム |
| 消耗品・用具・用品市場品目(18品目) | 床ずれ防止マット※、体位変換・保持クッション※、介護用ポータブルトイレ※、シャワーチェア※、手すり※、杖※、防水シーツ、寝間着、高齢者用肌着、高齢者向けシューズ、高齢者向け靴下、大人用紙おむつ、尿漏れ対応パンツ、軽失禁ライナー・パッド、介護用ウェットティッシュ、介護用スポンジブラシ(口腔用)、口腔保湿剤、介護事業社向けユニフォーム |
| サービス市場(5品目) | 福祉用具貸与サービス、高齢者向け食事宅配サービス、健康管理サービス、高齢者見守りサービス、高齢者向けフィットネス |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
