PRESSRELEASE プレスリリース

第26078号

LiBで使用されるリチウムの需要量や
廃LiBからのリチウム抽出・回収の動向を調査
― LiBで使用されるリチウムの需要量、ブラックマス発生量【2040年予測】 ―
■LiB市場の拡大に伴いリチウムの需要(世界)は490万トンに増加
■廃LiBをすべて回収した際に発生するブラックマス量(世界)は1,716万トンに拡大。
効率的なリチウム抽出・回収のため、大規模施設の整備が必要に

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、LiB(リチウムイオン電池)の正極材で使用されるリチウムの需要が急増する中、カントリーリスクや枯渇リスクに対応し必要なリチウム量を確保する手段として注目されている、LiBのリサイクルプロセスにおけるリチウムの抽出・回収技術の動向を調査した。その結果を「経済安全保障上の最重要鉱物 リチウム抽出・回収技術の最新動向」にまとめた。

この調査では、LiBリサイクルによるリチウムの抽出・回収技術に関する開発動向を捉え、リチウムの将来的な需要量と枯渇リスクや、廃LiBから発生するブラックマス量、そこから抽出・回収が可能なリチウム量、また、技術的課題やロードマップを整理した。

カーボンニュートラルに向けたEVやESS(電力貯蔵システム)の普及に伴うLiB市場の成長によって、正極材の主要原料の一つであるリチウムの需要も大幅に増えている。しかし、リチウムは資源埋蔵量が特定エリアに偏在しているため、経済安全保障上のカントリーリスクが懸念されており、特に、鉱物資源に乏しい日本ではリチウムの安定的な確保が喫緊の課題となっている。また、LiB需要の増加が続くことで資源枯渇も懸念されることから、効率的なリサイクルを実現する観点でもリチウム抽出・回収技術の確立が求められている。

◆調査結果の概要

■LiBで使用されるリチウムの需要量(世界)[炭酸リチウムベース]

 

LiBで使用されるリチウムの需要量(世界)[炭酸リチウムベース]

LiBで使用されるリチウムの需要量を対象とした。LiB需要の大幅な増加に伴い、リチウムの需要量も大きく増えると予想される。正極材別では、長期的には車載やESSで採用される三元系LiBやLFP系LiBが伸び、リチウム需要量の増加をけん引するとみられる。

LiBで使用されるリチウム需要量は今後採掘量を大幅に上回ると予想されるため、LiBのリサイクルや海水からの抽出など、現在埋蔵量として算出していないリチウム含有物からの抽出・回収技術が重要になる。LiB市場の伸びに伴い廃LiBも増えることから、リサイクルプロセスで抽出・回収できるリチウム量増加が期待されるが、大量の廃LiBに対応した大規模処理施設が必要となり、それらへの設備投資が課題となっている。

■ブラックマス発生量(世界)

ブラックマス発生量(世界)

世界で発生する廃LiBをすべて回収した際に、リサイクルプロセスで発生するブラックマス量をxEV、ESS、民生機器、その他(工程端材を含む)の用途別に捉えた。

ブラックマスは、使用済みLiBのリサイクルプロセスで回収される粉状物質で、リチウムをはじめ、ニッケルやコバルト、マンガンなどを含み、いくつかの抽出技術によってそれら金属類の抽出が可能である。なお、大量の金属類を処理する際には大規模施設が必要となる。

ブラックマスの発生量はLiB需要の伸長により拡大が続いている。2024年、2025年は中国での発生量が多かった。用途別では、現状、車載用や使用年数が短い民生機器用の廃LiBや工程端材からの発生量が大部分を占めている。将来的には車載用やESS用の廃LiBからの発生量が大部分を占めるとみられる。車載用LiBは中国を中心に大幅に伸長し、また、ESS用LiBは急速に需要が増えていることから、2035年ごろから大量のブラックマス発生が予想される。2040年に車載用とESS用の合計で8割以上を占めるとみられる。

ブラックマス発生量に対するリチウム回収については、主に欧州規則の目標に沿った回収率が指標とされている(欧州規則:2027年末までに50%)。なお、100%のリサイクル回収が達成された場合、2040年には300万トンを超えるリチウムが回収されるとみられる[炭酸リチウムベース]。

日本のブラックマス発生量は工程端材や民生機器用、車載用が中心であり、現在は工程端材の占める割合が大きい。発生するブラックマスの大半が韓国など海外に流出しているのが実状とみられる。国内のリサイクル施設の整備が不十分なことなどにより、日本での処理量は低いレベルにとどまっている。長期的には、ESS用からの発生量が大きくなると予想される一方、EVの普及が他国よりも進まないとみられ、車載用が占める割合は他国と比較すると低くなると予想される。

◆調査対象

リチウム抽出・回収関連
・リチウム需要量、ブラックマス発生量、リサイクルリチウム量
・乾式精錬(+湿式精錬)、湿式精錬、吸着分離、イオン交換法、分離膜抽出、その他


2026/7/24
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