株式会社 富士経済
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国内の高齢者向け食品市場と介護食品市場を調査

2021年 介護食市場は1,577億円(2010年比:161.2%)
在宅向け需要が拡大(2010年比:173.1%)、やわらか食の普及進む(構成比:24.3%)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 阿部界 代表取締役)は、2011年5月〜7月にかけて、施設給食、宅配、小売、卸における高齢者向け食品の動向と介護食品市場について調査を実施した。その結果を報告書「高齢者向け食品市場の将来展望 2011」にまとめた。

◆調査結果の概要

1.介護食市場

2010年
2011年見込
2021年予測
21/10年比
介護食市場
978億円
1,036億円
1,577億円
161.2%

今回の介護食市場は、流動食、やわらか食、栄養補給食、水分補給食、とろみ剤・固形化補助剤(以下:とろみ剤)を対象とした。市場は2011年に1,000億円を突破する見込みである。 各品目とも中長期的に成長が続くと見られるが、流動食ととろみ剤は価格競争の激化により単価が低下しており、成長率の鈍化が予測される。一方で、やわらか食はムース食の浸透により市場が活性化しており、栄養補給食はゼリーやムースなどバリエーションの開拓により需要喚起が進んでいる。

2010年は市場の70%弱を流動食が占めており、とろみ剤が10%強、やわらか食と栄養補給食が10%弱と続いている。2021年には流動食が60%に落ち、やわらか食と栄養補給食が15%に上昇するが、とろみ剤は2010年と同水準にとどまると予測される。

従来、嚥下(えんげ)困難者には、キザミ食やミキサー食にとろみ剤を使用することで嚥下しやすくしていたが、ムース食(やわらか食の一つ)の投入により切り替えが進み、やわらか食ととろみ剤は競合関係にある。また、流動食は完全栄養食として利用されるが、栄養補助用途でも採用されており栄養補給食と競合している。 高齢化の進展という要因だけでなく、流動食やとろみ剤といった従来からの介護食の底堅い需要と、嗜好性や簡便性を訴求した新しい介護食の普及により、新たなユーザーや利用シーンを獲得することで市場は拡大し、2021年には1,577億円に達すると予測される。

2010年
2011年見込
2021年予測
21/10年比
在宅向け
119億円
129億円
206億円
173.1%
施設向け
859億円
907億円
1,371億円
159.6%
合計
978億円
1,036億円
1,577億円
161.2

介護食は、施設向けとして市場が形成されたため、需要も施設向けが9割を占めている。しかし、要介護者の増加により、在宅介護の需要は年々拡大すると予測される。 在宅向けのチャネル別市場は、通信販売が8割近くを占める。現在はカタログ通販が主流であるが、今後インターネット通販の伸びが見込まれる。通信販売の他に小売店舗でも販売されているが、回転率の低さから量販店などは試験的に取扱いを開始しても時間の経過とともに棚が縮小されるケースが多い。しかし、2010年頃よりドラッグストアで取扱いを増やすケースが増えつつあり、今後の拡大が期待される。

■やわらか食

2010年
2011年見込
2021年予測
21/10年比
在宅向け
16億円
20億円
50億円
312.5%
施設向け
72億円
75億円
170億円
236.1%
88億円
95億円
220億円
250.0%

やわらか食は、通常メニューでは、やわらかいものしか食べられない咀嚼(そしゃく)困難者及び誤嚥を引き起こす可能性がある嚥下困難者に対するキザミ食やミキサー食、ソフト食、ムース食などを指す。常食をベースにキザミ食やミキサー食を調理することも多いが、この手間を簡便化するために使用される。また、キザミ食やミキサー食は常食と形状が異なるため、食欲が湧かない利用者も多い。舌や歯茎で押しつぶせる柔らかさに加工したソフト食やペースト状にしたものをムース状に固めたムース食など、見た目や味を常食と似た形に加工しながら、咀嚼・嚥下しやすくした商品も2000年頃から投入されており、市場の活性化が進んでいる。この他にも、見た目や香り、食感、栄養素はそのままに、食材の固さのみを柔らかくする「凍結含浸法」や「酵素均浸法」などを採用した商品も現れ、やわらか食の理想的な製法として注目され、今後の市場への貢献が期待される。

需要別では、施設向け、在宅向けの比率は8:2である。介護食全体でも在宅向けの比率の高まりが見込まれるが、やわらか食も同様である。また、在宅向けの介護食に占めるやわらか食の比率は2010年には13.4%であったが、2021年には24.3%まで拡大が予測されるなど、在宅向けでのやわらか食の普及が進むと見られる。
なお、在宅向けでは、やわらか食の利用により調理の軽減を図ることが目的であり、電子レンジなどで加熱してそのまま提供できる調理済み食品のニーズが高い。また、主食や汁物は対応しやすいことから、特におかずに対する需要が高い。施設向けでは調理済み食品の他に、調理の際に素材を柔らかくする手間を省ける野菜・肉・魚などの素材系ムース食が人気である。

名称
意味
流動食 1gあたり1kcal以上のエネルギーを有し、3大栄養素をバランスよく含む完全栄養食
やわらか食 常食では誤嚥を引き起こす可能性がある咀嚼・嚥下困難者向けのキザミ食、ミキサー食、ソフト食、ムース食など
栄養補給食 不足しがちな5大栄養素と食物繊維の補給を目的としたゼリー状、ムース状の加工食品
水分補給食 水分補給の摂取を目的としたゼリー状、ムース状の加工食品
とろみ剤・固形化補助剤 キザミ食やミキサー食に加えることでジェル状にし、嚥下困難者が食事をしやすくするためのもの
常食 健常者が食する食事、高齢者向けに配慮された設計は行われていない
キザミ食 食べ物を噛む力の弱くなった高齢者向けに、常食を食べやすい大きさに刻んだ食事
ミキサー食 キザミ食を食べることが困難な高齢者のために食事をミキサーにかけて噛まずに食べられるようにした食事
ソフト食 見た目や味は普通の食事と同じだが、食べ物をつなぎにして、舌や歯茎でつぶせる柔らかさに加工してある食事
ムース食 素材や料理をペースト状にしたものをムース状に固めた食事
凍結含浸法、酵素均浸法 香り、食感などを損なわず、見た目もそのままに食材の固さのみを柔らかくする加工法

2.宅配サービス市場 (65歳以上向けサービスを対象とする)

(1)高齢者向け弁当宅配サービス

2010年
2011年見込
2021年予測
21/10年比
高齢者向け弁当宅配サービス
532億円
599億円
1,060億円
199.2%

元々は糖尿病や腎臓疾患など食事制限を必要としている患者向けであったが、買物や調理が困難になった高齢者向けの栄養バランスのよい食事提供が支持され、市場は急拡大を遂げた。近年では宅配だけでなく、安否確認や家事代行など、配食だけに留まらないサービス展開が進められ、各社差別化や顧客満足度の向上を図っている。

メインユーザーは80代前後であり、市場の半数以上を占めると見られる。需要別には在宅向けが大半であるが、施設向けでもデイセンター・デイケア、グループホームを中心に需要を獲得している。食事の提供形態は、ご飯付きとおかずのみの2パターンあり、常食での提供が多い。キザミ食やミキサー食を展開する事業者は少なく、ウェイトは1%にも満たない。 今後も高齢者人口の増加により市場は拡大するが、出店や配食エリアの拡大による企業間の競争も進むと見られ、継続して利用してもらうための、新たなメニュー開発やサービス提供が求められる。

3.施設給食市場

2010年
2011年見込
11/10年比
病院・診療所
5,195億円
5,210億円
100.3%
高齢者福祉施設
3,886億円
4,167億円
107.2%
 (有料老人ホーム)
1,039億円
1,193億円
114.8%
サービス付き高齢者向け住宅
52億円
65億円
125.0%

(1)病院・診療所

施設数は減少し、食材調達コストの削減などを理由に給食業者への委託率が上昇している。病院・診療所では入院患者の体調や疾患により食事量や味付けが異なるため、委託か自家調理での食事供給が中心となっており、宅配を利用する施設の割合は低い。

(2)高齢者福祉施設

2006年の「改正介護保険法」の施行により、総量規制※が導入され介護付き有料老人ホーム等の特定施設の新規開設は抑制されていたが、2012年の規制撤廃が決定し各施設とも増加が見込まれる。また、施設数の伸びに伴い給食市場の拡大も見込まれる。 ※総量規制:居住型の介護施設の定員が自治体の地域計画を超過した場合、施設の新設を拒否できる。

(3)有料老人ホーム

3食の食事提供が基本であり、調理の作業負担軽減などを理由に給食の委託比率が高い。しかし施設の小規模化が進んでおり、委託費用が割高になるケースもあることから、自家調理の他、主食と汁物を調理しおかずは調理済食品や宅配を利用する施設もある。

(4)サービス付き高齢者向け住宅

2011年4月に成立した「改正高齢者住まい法」により、従来高齢者向け住宅として登録されていた高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、高齢者円滑入居賃貸住宅を廃止し、サービス付き高齢者向け住宅に一本化された。居住空間の提供のみならず、安否確認などのサービスの提供が義務付けられている。単身高齢者の増加に伴い需要の拡大が見込まれ、施設数も増加すると見られる。住宅のため各部屋にキッチンがあり入居者が自炊をするケースが多い。近年ではオプションサービスとして食事を提供する施設も見られる。弁当宅配が主であるが、共同のキッチンを設け隣接する有料老人ホームで提供されている調理済食品を利用した食事サービスを提供するケースもある。食事の提供形態は、常食の割合が7割以上を占めている。

◆調査対象

施設給食編 病院・診療所、高齢者福祉施設、介護保険施設、有料老人ホーム、デイセンター・デイケア、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅
宅配サービス品目編 高齢者向け弁当宅配サービス、食材宅配サービス
小売チャネル編 量販店、CVS、百貨店、薬局・薬店、病院売店、通信販売
卸チャネル編 食品総合卸・業務用食材卸、医薬品卸、全病食卸
介護食・病者食編 流動食、在宅用やわらか食、施設用やわらか食、栄養補給食、水分補給食、とろみ剤・固形化補助剤、低たんぱく食、カロリーコントロール食

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2011/09/09
 
     

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