マーケット情報


医療用医薬品 国内市場調査(1)
生活習慣病領域、糖尿病合併症治療剤などを調査

−2024年市場予測(2015年比)−
糖尿病治療剤 6,431億円(39.9%増)、 抗凝固剤・ヘパリン製剤 2,289億円(74.1%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医師の診断に基づいて処方される医療用医薬品の国内市場を2016年から2017年にかけ、7回に分けて調査する。今回は第一回目として、生活習慣病領域(5品目)、糖尿病合併症治療剤(3品目)、その他循環器疾患治療剤(7品目)、脳卒中治療剤、介護関連医療品(2品目)の市場を調査した。その結果を報告書「2016 医療用医薬品データブック No.1」にまとめた。

◆調査結果の概要

1.生活習慣病領域

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
1兆5,459億円
98.1%
1兆3,815億円
87.7%

生活習慣病領域は「高血圧症治療剤」「糖尿病治療剤」「脂質異常症治療剤」「痛風・高尿酸血症治療剤」「肥満治療剤」を対象としている。脂質異常症治療剤「リピトール」(ファイザー)、高血圧症治療剤「ブロプレス」(武田薬品工業)、「ディオバン」(ノバルディス ファーマ)といった大型品のジェネリック医薬品が相次いで発売されたことで市場はマイナス成長が続いており、2016年は前年比1.9%減の1兆5,459億円が見込まれる。今後は、糖尿病治療剤はDPP-4阻害剤による伸びは一段落したが、代わってSGLT2阻害剤および配合剤がけん引していくことで伸びが続く。一方、高血圧症治療剤の縮小や脂質異常症治療剤も既存の大型品にジェネリック医薬品が多数発売されていることから縮小し、市場はマイナス成長が続くと予想される。

2.糖尿病合併症治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
142億円
96.6%
177億円
120.4%

糖尿病合併症治療剤は「糖尿病性神経障害治療剤」「糖尿病性腎症治療剤」「その他糖尿病合併症治療剤」を対象としている。糖尿病性神経障害治療剤の構成比が最も高く、6割以上を占めている。糖尿病性腎症治療剤、糖尿病性皮膚潰瘍治療剤では新規薬剤が10年以上出ていないことや大半の製品でジェネリック医薬品が発売されている影響もあり、2016年の市場はマイナス成長が見込まれる。糖尿病性神経障害治療剤と糖尿病性皮膚潰瘍治療は開発品が見られないことから縮小が続くが、糖尿病性腎症治療剤は開発品が増えており、2018年以降から順次発売され伸びるとみられ、市場は2021年以降プラス成長に転じると予想される。

3.その他循環器疾患治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
5,791億円
99.7%
6,496億円
111.9%

その他循環器疾患治療剤は、「抗凝固剤・ヘパリン製剤」「抗血小板剤・末梢血管拡張剤」「心不全治療剤」「不整脈治療剤」「狭心症治療剤」「肺高血圧症治療剤」「利尿剤」を対象としている(利尿剤はその他循環器疾患治療剤市場の合計値から除いている)。抗血小板剤・末梢血管拡張剤の大型品「プラビックス」(サノフィ)、「プレタール」(大塚製薬)がジェネリック医薬品の影響を受け縮小し、2016年は前年割れが見込まれる。今後は、抗凝固剤・ヘパリン製剤が適応拡大、肺高血圧症治療剤は疾患啓発よる認知度・理解度向上と開発品も多く控えていることなどから続伸するとみられ、市場は2024年に2015年比11.9%増の6,496億円が予測される。

4.脳卒中治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
307億円
91.1%
218億円
64.7%

脳卒中治療剤は近年、新製品の発売がなく、市場はマイナス成長が続いている 。また、ほとんどの先発品に対しジェネリック医薬品が発売されているほか、薬価の引き下げが大きいことも影響している。脳卒中の薬物治療に関して「脳卒中治療ガイドライン2015」によって抗凝固剤や抗血小板剤の推奨度がさらに高まったことで需要が減少し、市場は厳しい状況が続くとみられる。

5.介護関連医薬品

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
2,437億円
98.2%
2,374億円
95.6%

介護関連医薬品は「栄養補助剤」と「褥瘡治療剤」を対象としている。栄養補助剤が約98%を占め、市場を左右している。栄養補助剤は薬価の下落や新製品投入が少ないことに加え、ジェネリック医薬品の影響などにより縮小している。褥瘡治療剤も飽和状態にあるほか、競合の被覆材のニーズが増していることから縮小が予想される。

◆注目の市場

1.糖尿病治療剤 【生活習慣病領域】

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
4,886億円
106.3%
6,431億円
139.9%

糖尿病治療剤の市場は2016年に前年比6.3%増の4,886億円が見込まれる。今後も糖尿病治療患者の増加に加え、DPP-4阻害剤のように低血糖の副作用が少ない薬剤での血糖コントロールが以前よりも可能になってきたことから、市場は拡大するとみられる。また、脱水などの副作用報告で、安全面の不安から低調だったSGLT2阻害剤も2016年5月に使用を控えるべき患者が明確化されたことで市場が活性化するとみられる。DPP-4阻害剤は、2020年頃にジェネリック医薬品の発売が予想されるほか、薬価引き下げの影響を受けるが、心血管イベント抑制の研究などにより評価が高まってきたSGLT2阻害剤を筆頭にGLP‐1受容体作動剤や配合剤などの新しい薬剤の後押しにより市場は拡大が続くとみられ、2024年には2015年比39.9%増の6,431億円が予測される。

2.抗凝固剤・ヘパリン製剤 【その他循環器疾患治療剤】

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
1,531億円
116.4%
2,289億円
174.1%

抗凝固剤・ヘパリン製剤の市場は2016年に前年比16.4%増の1,531億円が見込まれる。抗凝固剤は新規の直接トロンビン阻害剤「プラザキサ」(日本ベーリンガーインゲルハイム)、Xa因子阻害剤「リクシアナ」(第一三共)「イグザレルト」(バイエル薬品)「エリキュース」(ブリストル・マイヤーズ スクイブ、ファイザー)の発売が相次ぎ、市場が活性化した。抗凝固剤は高齢化の進行に伴う心房細動患者や動脈硬化症患者、脳卒中の既往患者などの増加に加え、「プラザキサ」と「イグザレルト」の適応拡大を控えており、処方患者数はさらに増加するとみられる。ヘパリン製剤は人工透析時の血栓症予防に対する有効性は高く、処方患者数は堅調に推移するとみられるが、薬価引き下げの影響で縮小が予想される。今後も新規の抗凝固剤が市場をけん引し拡大を続け、2024年には2015年比74.1%増の2,289億円が予測される。

◆調査対象

生活習慣病領域 高血圧症治療剤、糖尿病治療剤、脂質異常症治療剤、痛風、高尿酸血症治療剤、肥満治療剤
糖尿病合併症治療剤 糖尿病性神経障害治療剤、糖尿病性腎症治療剤、その他糖尿病合併症治療剤
その他循環器疾患治療剤 抗凝固剤・ヘパリン製剤、抗血小板剤、末梢血管拡張剤(腰部脊柱管狭窄症を含める)、心不全治療剤、不整脈治療剤、狭心症治療剤、肺高血圧症治療剤、利尿剤
脳卒中治療剤
介護関連医薬品 栄養補助剤、褥瘡治療剤

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/10/31
       
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