PRESSRELEASE プレスリリース
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2014年8月より3回に分けて、健康(Health)や美容(Beauty)に良いというコンセプトを持った食品(以下、H・Bフーズ)の国内市場を調査している。
その第1回目の結果を報告書「H・Bフーズマーケティング便覧 2015 No.1 健康志向食品編」にまとめた。 この報告書では、機能性を訴求する一般加工食品の明らか食品※1およびドリンク類※2の市場を各訴求効能別、成分種類別に調査・分析した。また、今回より2015年4月以降に施行される食品の新しい機能性表示制度※3の対応状況についても取り上げ、明確にした。
※1:一般加工食品に機能成分を添加、強化することで商品の機能性を訴求する食品群とする。
※2:明らか食品のうち、飲料に属するものとする。
※3:国ではなく企業などの責任において科学的根拠のもとに機能性を表示することが可能となり、容器包装への表示は「機能性関与成分名」「1日摂取目安量」「栄養成分の量」とともに「機能性表示の内容」を記載できる見通しである。
◆調査結果の概要
健康志向食品市場
2013年 |
2014年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
1兆2,485億円 |
1兆2,889億円 |
103.2% |
2013年の市場は前年比6.8%増の1兆2,485億円となった。2013年は、血糖値改善の「三ツ矢サイダープラス」(アサヒ飲料)や体脂肪"分解"を訴求した「伊右衛門 特茶」(サントリー食品インターナショナル)などの特定保健用食品(以下、トクホ)が発売された。2014年は「伊右衛門 特茶」が大ヒットしており、また中性脂肪と血糖値の改善を訴求した「アサヒ食事と一緒に十六茶W」(アサヒ飲料)、「からだすこやか茶W」(コカ・コーラシステム)が発売され好調となるなど、トクホの茶系飲料が市場をけん引している。
訴求効能別の滋養・強壮ではエナジードリンクの伸長が続いている。「レッドブル」(レッドブル・ジャパン)や「モンスター」(アサヒ飲料)がラインアップの拡充で実績を伸ばしており、新たに参入する企業も相次いで見られるが、下位ブランドは撤退を迫られるものもあり、ブランドにより明暗が分かれる。
種類別比率は、2014年に明らか食品が32%、ドリンク類が68%と見込まれ、ドリンク類の構成比が年々高まっている。明らか食品では、整腸効果を訴求したヨーグルトの需要が落ち着きを見せるが、食物繊維やオリゴ糖で新たに整腸効果のトクホ認定を取得した商品が発売されている。一方、ドリンク類では熱中症対策飲料やエナジードリンク、また、トクホの茶系飲料の伸びが市場を押し上げている。
◆注目市場
1.生活習慣病予防
2013年 |
2014年見込 |
前年比 |
|
明らか食品 |
271億円 |
260億円 |
95.9% |
ドリンク類 |
1,338億円 |
1,584億円 |
118.4% |
合 計 |
1,609億円 |
1,844億円 |
114.6% |
中性脂肪値・コレステロール値改善、血糖値改善、高血圧予防などの機能を訴求する商品を対象とする。 2013年の市場は1,609億円となった。明らか食品は、健康油やマヨネーズなどの調味料が中心であるが、2009年に一部の健康油が販売休止となって以降、需要が回復し切らず、その他にも目立った新商品が登場していないことから縮小が続いている。
ドリンク類は、2012年にトクホコーラがヒットしこれまでの縮小推移から回復、さらに2013年発売の「ヘルシアコーヒー」(花王)、「伊右衛門 特茶」の登場で大きく拡大した。2014年は中性脂肪値と血糖値の2つの改善を訴求した商品が好調であり、また、「伊右衛門 特茶」が大ヒットするなど、ドリンク類は今後も拡大していくとみられる。
2.美肌効果
2013年 |
2014年見込 |
前年比 |
|
明らか食品 |
82億円 |
78億円 |
95.1% |
ドリンク類 |
408億円 |
412億円 |
101.0% |
合 計 |
490億円 |
490億円 |
100.0% |
コラーゲン、ヒアルロン酸、アスタキサンチン、プラセンタなどの成分を含有し、美肌効果を訴求する商品を対象とする。 2013年の市場は490億円となった。小瓶ドリンクを中心に市場が形成、拡大してきたことから、ドリンク類が市場全体の8割を占める。2014年のドリンク類は、消費税改正直後に苦戦したが、夏以降は徐々に需要が回復し、最終的には微増と見込まれる。明らか食品はシェア上位企業が前年割れとなっていることや、その他の企業も好調であったスティックゼリーの需要の落ち込みがあり、減少と見込まれる。
3.免疫賦活作用
2013年 |
2014年見込 |
前年比 |
|
明らか食品 |
200億円 |
215億円 |
107.5% |
ドリンク類 |
262億円 |
342億円 |
130.5% |
合 計 |
462億円 |
557億円 |
120.6% |
β-カロチン、プロポリス、甜茶、高機能乳酸菌など免疫機能の強化を訴求する商品を対象とする。 2013年は明らか食品が4割強、ドリンク類が6割弱となっている。ドリンク類の主力商品であるドリンクヨーグルトは、明らか食品より摂取しやすいため、特に需要が高く、年々拡大している。2013年の市場は462億円となった。明らか食品、ドリンク類ともに需要が拡大した。明治はヨーグルト、ドリンクタイプともに製造ラインを増強し、需要に応え市場をけん引した。2014年も、明治は新たに2商品を発売するとともに、生産能力をさらに増強して高成長を維持するとみられるため、市場は引き続き拡大が見込まれる。
4.マルチバランス
2013年 |
2014年見込 |
前年比 |
|
明らか食品 |
46億円 |
46億円 |
100.0% |
ドリンク類 |
1,585億円 |
1,646億円 |
103.8% |
合 計 |
1,630億円 |
1,692億円 |
103.8% |
ビタミン、ミネラルなど複数の成分を含み、各種栄養成分の補給やバランス維持を訴求した商品を対象とする。 2013年の市場は1,630億円となった。ビタミンCを配合した錠菓などの菓子が中心である明らか食品は、「塩分チャージタブレッツ」(カバヤ食品)が実績を伸ばした。 ドリンク類では、熱中症対策をコンセプトとした「サントリー GREEN DA・KA・RA」(サントリー食品インターナショナル)や「キリン 世界のkitchenから ソルティライチ」(キリンビバレッジ)が浸透し、止渇、水分補給の需要を取り込んだことで、実績を大きく伸ばした。2014年は伸びが鈍化するものの、引き続き拡大すると見込まれる。熱中症対策以外の商品は苦戦しているものも多く、乾燥期となる冬場の需要回復が期待される。
H・Bフーズの定義 H・Bフーズの分類 (1)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 2015 No.1 健康志向食品編」に掲載) (2)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 2015 No.2 機能志向食品編」に掲載) 「保健機能食品」とH・Bフーズの関係 |
◆調査対象
以下の各効能を訴求した健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)
滋養・強壮、肝機能改善、美肌効果、整腸効果、ダイエット(食事代替ダイエット、ダイエット・その他)、生活習慣病予防(中性脂肪値・コレステロール値改善、血糖値改善、高血圧予防、その他)、血行促進、免疫賦活作用、栄養バランス、骨・関節サポート、覚醒効果、貧血予防・改善、喉の不快感除去、虫歯予防、エチケット、アイケア、マルチバランス、ホルモンバランス、リラックス、グリーンチャージ |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。