PRESSRELEASE プレスリリース

第15119号

中国医療の現状と病院の実態を調査
−中国医療・ヘルスケア市場調査シリーズ−
華北地区5施設の診療件数は2015年(見込)合計で1,315万件(1施設当たり263万件)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)の中国の現地法人である中聯富士経済咨詢有限公司は、「深化医薬衛生体制改革」施行以来、“看病難、看病貴”(医療費が高いため、病院で治療を受けるのが難しい)の問題が緩和されつつあり、また、国民の生活水準の向上や高齢化に伴ってニーズが高まり続けている中国の医療・ヘルスケアビジネスについて、その市場の現状と今後の方向性をあらゆる角度から分析している。調査は4回に分けて行い、第1回目となる今回は、中国医療の現状と病院の実態を調査・分析した。その結果を報告書「中国における病院流通の全貌と将来展望 2016」にまとめた。

この報告書では、華北、華東、華南、華中、東北、西北、西南7地区の病院40施設について、病床数、年間診療件数と診療報酬額、診療科目別/主要疾患別の診療件数と診療報酬額、医薬品・医療機器・消耗品の種類別年間購入額、主要医療機器の保有状況などを明らかにした。併せて、医薬品専門卸15社、医療機器専門卸10社、医療機関向け消耗材卸15社、合計40社のサプライヤーについても売上高、商材別/流通チャネル別売上構成、ストック能力、アフターサービス体制、中核販売先病院・施設などを明らかにした。

なお、第2回の調査は、処方箋薬局・ドラッグストア市場、第3回は予防医療・ヘルスケア市場、第4回は高齢者市場および看護・介護市場を調査・分析する。その結果については順次発表していく予定である。

◆中国病院事例

事例分析した華北、華東、華南、華中、東北、西北、西南7地区の病院40施設のうち、ここでは華北地区の三甲医院3施設、二甲医院2施設の計5施設を対象とした。病床数は5施設合計6,027床(1施設当たり1,205床)、1日当たりの外来患者数は同30,290人(同6,058人)である。

1. 診療件数

2015年見込
2014年比
2018年予測
2014年比
5施設合計
1,315万件
102.5%
1,417万件
110.4%
(1施設当たり)
263万件
102.3%
283万件
110.1%

華北地区5施設の診療件数は2015年合計で1,315万件(1施設当たり263万件)が見込まれる。ここ数年、都市部及び農村部における医療保険制度の改善が進んでおり、多くが大規模病院、知名度の高い病院を選択するようになってきた。病院によってその度合いは異なるものの総じて外来患者数は増えており、診療件数は伸びている。2018年には2014年比10.4%増の1,417万件が予測される。

2.年間購入額(2014年)

医薬品
医療機器
消耗材
5施設合計
39億4,400万元
15億4,400万元
6億8,700万元
(1施設当たり)
7億8,880万元
3億0,880万元
1億3,740万元

施設によって診療科目数や得意診療科目などに相違があることから購入する医薬品・医療機器・消耗材と、そのボリュームは違うが、5施設の合計で医薬品は39億4,400万元(1施設当たり7億8,880万元)、医療機器は15億4,400万元(1施設当たり3億880万元)である。医薬品と消耗材の購入額は患者数の増加に伴い増えている。また、大規模病院であることからニーズに応え新たな設備を常に導入しており、医療機器の購入額も増えている。

◆中国医療の現状

1. 中国医療の現状

2009年4月に「深化医薬衛生体制改革」が施行され、医療制度改革と基本的な公共医療衛生サービスの均等化が進められてきた。しかしながら、医療と医療サービスの高度化があまりにも急速であったため、国民1人当たりの医療費支出は上昇し、2015年には1,360元(1元20円で27,200円)と見込まれる。

国民1人当たりの医療費支出(政府負担分含む)

2015年見込
2014年比
2018年予測
2014年比
医療費支出」
1,360元
109.6%
2,100元
169.2%

今後も医療費負担は増加し、2018年には2,100元(1元20円で42,000円)まで上昇すると予測され、中国医療行政としては対策を打ち続けるとみられる。また、急速な高齢化も新たな課題として浮上しており、中央政府のみならず地方政府でも、高齢者医療への対応も急務だと認識され始めた。今後の高齢化問題と、望ましい養老・医療保険制度を睨みながら、追加的政策の公布や措置の準備が進んでいる。

医療の進歩や高度医療の普及、医療サービスの高度化が同時進行で加速していることが医療費高騰を招いているが、その側面として、先進的医療機器の市場が急拡大している。それは、逆説的には医療制度改革の促進が、地域中核医療施設に対する先進医療への時代的、地域的要請の高まりとなって現れた結果ともなっており、医療用医薬品のジェネリック品への切り替えなどによるコスト削減を迫られている半面、中国医療機器市場は、いまだ潜在力が大きく、商機に恵まれているとみられる。

2.中国医療保障政策

2015年11月に採択され、習近平体制下で初めてとなる“第十三次五ヵ年計画”では、医療衛生サービスとして以下の4大プロジェクトが組まれている。

1)郷鎮の衛生院を中心に基礎医療衛生サービス体系の構築を強化し、同時にそれら基礎医療機関の病床数を拡大する。
2) 県級医院における小児、重症医学等の領域の医療サービスレベルを重点的に向上させる。
3) 地方都市級および児童医院以上の専門病院、県級精神専門医院間の提携を進める。
4) 国家、省、市、県の各級人口健康情報プラットホームを整備し、更にネットで全国的な規模に拡大することで万人が享受可能な健康情報ネットワークを構築する。

重点改革政策としては、公立医院改革で医薬分開(医師が処方箋を書き、独立した薬局がそれに沿った薬の調合を行うとの制度、これにより医師の薬価つり上げ、不法取得が防止できる)を実施することにより、不法な薬価つり上げ解消などを通じて医療市場の壟断状況を打破し、科学的な医療サービス、価格体系を構築する。また、等級別の診療体系の構築で現在の医療サービス体系をより立体的で多様な共同サービスに発展させ、同時に三級医療システムを整備して基礎医療市場を強化する。

また、薬価や医療サービスの価格などを下げることも最重要課題で、そのための政策としての市場化促進、並びに医療保険への調整、監督を強化し、医療市場の運営効率を改善させることで医療制度と医療産業の安定した成長を促す。さらに、公平かつ持続可能な社会保障制度及び都市・郷鎮住民の大病保険制度を確立させ、実行することを目指している。

3. 中国医療の今後の課題と方向性

医療設備の老朽化対策が急務で、かつ医療費が高騰するなかで、国内景気の急速な不振によって、合理的医療経費の徴収メカニズムおよび安定的な医療費財源の不足、一部企業では経営不振などにより従業員の当然受けるべき基本医療保障が危機に陥る可能性がある。

また、医療保険のカバー範囲が狭く、その管理とサービスの一般化が遅れ、更に労働力の流動性から企業の社会負担の軽減がうまくなされていない。このままでは、財政投資は慢性的に不足の状況であり、さらに近年はその額自体も減少しており、公共衛生領域および一般庶民が享受すべき基本医療面で満足のいく保障が難しくなる可能性が否定できない。

現状では、医療資源は大都市、大病院に集中し、コミュニティや農村地区では基本的な医療を受けることが難しく、また、不法な薬価つり上げなどをはじめ、庶民に不利益をもたらす医療業務の改善を迫られるとみられる。

◆調査対象

病院事例分析 華北地区5施設、華東地区9施設、華南地区6施設、華中地区5施設、東北地区5施設、西北地区5施設、西南地区5施設
サプライヤー事例分析 医薬品専門卸15社、医療機器専門卸10社、消耗材専門卸15社

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/12/14
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