PRESSRELEASE プレスリリース

第17063号

メンズコスメでは不快臭ケア訴求商品が好調
ヘアケア・ヘアメイク、メンズコスメティックスの国内市場を調査
ヘアケア・ヘアメイクヘアトリートメント、女性用スカルプケアの伸びが市場拡大をけん引
メンズコスメティックス不快臭ケアでメンズシャンプー・リンス、メンズボディシャンプーが大きく伸びる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2017年2月から6分野44品目の化粧品国内市場について、3回に分けて調査を行っている。その第2回目の調査結果を報告書「化粧品マーケティング要覧 2017 No.2」にまとめた。

今回の報告書No.2ではヘアケア・ヘアメイク7品目とメンズコスメティックス6品目を対象とした。なお、スキンケア9品目とフレグランス5品目を対象とした「(同)No.1」の調査結果は5月22日に報告している。「(同)No.3」ではメイクアップとボディケアの市場を調査・分析し、結果を報告する予定である。

◆調査結果の概要

1.ヘアケア・ヘアメイクの国内市場

2012年以降、市場は小幅ながら拡大を続けている。2014年秋から2015年にかけてトイレタリー系メーカーからパーソナルケア志向の強い新ブランドや新ライン投入が相次ぎ、ドラッグストア店頭での商品バリエーションの広がりが需要を喚起し市場は活性化した。また、業務用では高付加価値訴求のヘアカラーのヒットもあり、2015年のヘアケア・ヘアメイク市場は前年比1.5%増の5,352億円となった。

2016年のヘアケア・ヘアメイク市場は前年比1.8%増の5,446億円となった。前年に発売されたシャンプー、ヘアトリートメントブランドの「ボタニスト」(I-ne)の展開が大手ドラッグストアで本格化し、急伸したため、一般流通での単価が上昇して、シャンプーやヘアトリートメントが大きく伸びた。ヘアカラーは、外出機会の減少した高齢者が白髪染めを止めるケースもみられ家庭用の需要が減少しているが、業務用ではトレンドに合わせた色や質感の高付加価値訴求の商品投入が積極的に行われていることや、サロンカラーの利用者/頻度が増えていることにより大幅な市場拡大となった。一方、ヘアスタイリング剤やパーマネントウェーブ剤は、若年層の暗髪ブームやまとまり感のあるナチュラルなストレートヘアがトレンドであることから需要が減少している。

2017年は、業務用はヘアカラーやインバスヘアケアを中心に活況を呈しているが、一般流通ではインバスヘアケアのブランド間の競合激化を背景にアイテム数を削減するブランドの増加や、白髪用へアカラーの需要減が続くと予想されるため、ヘアケア・ヘアメイク市場の伸びは鈍化するとみられる。

2.メンズコスメティックスの国内市場

市場は2011年に一旦縮小したものの、2012年以降は拡大を続けている。30〜40代男性をメインターゲットとしたメンズシャンプーやメンズボディシャンプーの需要増加が市場拡大をけん引している。一方、市場規模の大きいメンズスタイリング剤は若年層を中心に、また男性用スカルプケアも価格競争の激化や一般用医薬品分類の育毛剤への需要分散により、需要が減少している。

2016年はメンズシャンプー・リンス、メンズボディシャンプーが、男性特有の加齢臭や汗・皮脂による不快臭ケアの需要を取り込み、市場拡大をけん引したことにより、前年比1.3%増の1,113億円となった。一方、メンズスタイリング剤やメンズスカルプケアは前年比マイナスとなった。

2017年は全国的に夏季の天候が良好と予想されており、メンズシャンプー・リンスやメンズボディケア、メンズフェイスケアなどの需要増加を後押しするとみられる。また店頭ではそれらの品目をラインアップしたブランドが制汗剤※についても注力しており、クロスセルによる販売を強化していることも、メンズコスメティックス市場にプラスの影響を与えるとみられる。(※制汗剤はメンズコスメティックス市場の対象外)

品目別にみると、メンズシャンプー・リンスやメンズボディケアが好調である。2016年は男性の不快臭ケアを訴求したブランドが実績を拡大したことにより、両品目が大きく伸びた。2017年は「デ・オウ」(ロート製薬)や「メンズビオレ」(花王)、「ギャツビー」(マンダム)といったブランドがロールオンタイプの制汗剤を相次いで投入しており、制汗剤との併用を推奨した店頭販促による相乗効果が期待される。また、メンズフェイスケアは、整肌料がエイジングケアや皮脂ケアを訴求した30〜40代向けブランドの好調と、付加価値品の動きも活発なことから今後も需要増加が期待される。若年層では女性用商品を使用するケースもみられるため、今後は店頭などで男性特有の肌特性への理解を浸透させることが必要である。

男性用スカルプケアは一般用医薬品への需要シフト、抜け毛予防をメインに訴求する育毛トニックは安価なPB商品との競合による単価の低下がみられることから、市場が縮小している。メンズスタイリング剤は特に若年層でキープ力を重視しないナチュラルなヘアスタイルが流行しているため、需要は減少している。

◆注目市場

1.スカルプケアの国内市場

2016年のスカルプケア市場は前年比0.8%減の362億円となった。女性用は前年比1.1%増の185億円となったが、男性用が前年比2.7%減の177億円となった。女性用は東日本大震災による買い控えや節約意識の高まりの影響を受けた2011年に縮小したものの、以降は伸びが続いている。一方、男性用は縮小が続いているため、2015年以降は女性用が男性用の市場規模を上回っている。

女性用は、2015年にサントリーウエルネスやドクターシーラボなど中高年女性を主要購買層とする通販メーカーが商品投入を開始したことや、業務用でヘッドスパやスカルプケアメニューが普及したことで、市場拡大が続いている。2016年は、業務用は目立った新商品がなかったためマイナスとなったものの、一般流通では3,000円以下の育毛エッセンスや、フケ・かゆみを防ぐことを訴求した頭皮ローションなどが、ライトな抜け毛ケアや頭皮トラブルケアに対する需要を喚起し好調だった。また、スカルプケアサロンを展開する企業がホームケア用の商品を通販ルートで販売する動きもみられ、市場は拡大した。若年層の抜け毛予防や頭皮ケア意識も高まりつつあるため、より早い段階でのケアとして値頃感のある価格帯の商品を中心に、今後も引き続き需要増加が期待される。

男性用は、大手メーカーの新商品投入や、商品リニューアルなどが行われたものの、一般用医薬品の育毛剤との競合や、抜け毛予防をメイン訴求する育毛トニックはPB商品の増加に伴い単価が低下しており、2016年の市場は前年を下回った。一般用医薬品との競合激化や、メーカーが女性用スカルプケアに注力していることもあり、今後も市場縮小が予想される。

◆調査対象

分野
品目
ヘアケア・ヘアメイク シャンプー、リンス・コンディショナー、ヘアトリートメント、女性用スカルプケア、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー 、パーマネントウェーブ剤
メンズコスメティックス メンズシャンプー・リンス、メンズスタイリング剤、メンズスカルプケア、シェービング料、メンズフェイスケア、メンズボディケア

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/07/13
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