PRESSRELEASE プレスリリース
第17106号
機能性塗料の国内市場と塗料の世界市場を調査
国内塗料市場は横ばいも、機能性塗料市場は拡大、2020年に3,000億円突破の予測
国内塗料市場は横ばいも、機能性塗料市場は拡大、2020年に3,000億円突破の予測
- ■耐火塗料市場 2021年予測 90億円(2016年比55.2%増)
- 屋外使用が可能などのメリットがあり、屋外耐震補強用鉄骨材向け伸びる
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、使用環境によって多岐にわたる機能が求められる塗料の市場について調査した。その結果を報告書「2018年版 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」にまとめた。
この報告書では塗料市場を用途別に22品目に分類したほか、機能性に着目し物理・化学的機能塗料7品目、熱的機能塗料3品目、光・電気的機能塗料4品目、環境対応塗料3品目の計17品目の機能性塗料、さらに塗料用樹脂8品目の市場について現状を調査し、将来を予想した。
- ■注目の機能性塗料 国内市場
- ■遮熱塗料
太陽光(近紫外線)を効率的に反射することで、温度上昇を抑える機能を有する塗料である。
地球温暖化やヒートアイランド現象への有効な対策として以前から普及が進んでいた遮熱塗料は、2011年の東日本大震災の発生により節電や省エネへのニーズが高まる中、施工が簡易ですぐに効果が期待できることからさらに需要が増加した。
汎用性も高く、住宅、工場、倉庫など建築物の屋根や外壁、コンテナやタンクなどの設置物、自動車やバスなどのボディ、路面などさまざまな用途で利用される。特に建築向けでは政府や自治体の補助金があることから、遮熱塗料の採用が増加している。
一般塗料を代替する形で今後も市場は拡大し、2021年には2016年比20.3%増の255億円が予測される。 - ■耐火塗料
火災など熱の影響を受けると不燃性ガスを放出しながら数十倍に発泡・膨張し、断熱性に優れた炭化層を形成することで、被塗装部を火災から守ることを目的とした塗料である。
ロックウールや耐火ボードなどの耐火被覆材と比較し美粧性に優れ、屋外使用が可能、2ミリメートルと薄膜ながら耐火効果が期待できるといったメリットがある。認知度の高まりや屋外耐震補強用鉄骨材向けなどの需要獲得もあり、市場は拡大している。認定取得が進むことで耐火塗料の使用が可能となる鋼材の種類が増えていくことや、2020年のスポーツイベントでの建築需要の増加により今後も伸びが予想され、2021年には2016年比55.2%増の90億円が予測される。 - ■調査結果の概要
- ■機能性塗料国内市場
2017年見込 2021年予測 2016年比 塗料 7,435億円 7,480億円 101.0% 機能性塗料 2,911億円 3,029億円 105.0% - 国内の塗料市場は成熟し、ほぼ横ばいが予想される。一方、機能が付与された塗料は存在感を高めており、塗料市場の40%近くを占めている。重防食塗料や高耐候性塗料など汎用的に使用される製品に加え、耐熱塗料や耐火塗料などの付加価値の高い製品の採用も増えており、参入メーカーによる新たな製品開発が活発化している。
塗料市場は2021年に2016年比1.0%増にとどまるが、機能性塗料市場は同5.0%増の3,029億円と堅調な拡大が予想される。 - ■機能別構成比 2021年予測
物理・化学的機能塗料は、既に汎用的に使用される重防食塗料と高耐候性塗料の比率が高い。この他の品目においても既に普及している品目が多く、塗り替え需要が中心のため、ほぼ横ばいでの推移が予想される。主な需要は、橋梁や鉄骨などの構造物用と屋根や屋上・ベランダなどの建築用であり、構造物用は防食性、建築用は耐候性の付与が主な採用理由である。
熱的機能塗料は、半数を占める遮熱塗料が補助金制度の後押しもあり、環境対策の一環として順調に需要が増加し、市場をけん引していくとみられる。規模は小さいものの耐火塗料が認知度の上昇や屋外耐震補強用鉄骨向けの需要獲得により大きく伸びるとみられる。
光・電気的機能塗料は、UV硬化塗料や帯電防止塗料の比率が高く、建築の需要が中心である。
環境対応は、VOC(揮発性有機化合物)の排出がない塗料、環境浄化機能や抗菌機能などを付与する塗料を対象とする。溶剤系塗料の代替として需要が増加してきた粉体塗料が中心で、需要は工業用の比率が高い。規模は小さいものの光触媒・親水性塗料がセルフクリーニングによる防汚ニーズにより拡大が期待される。 -
■塗料世界市場 2017年見込 2021年予測 2016年比 14兆5,711億円 16兆1,910億円 118.3%
※構成比は四捨五入しているため、合計が100%にならない。 - 世界的な環境意識の高まりから、水性塗料や粉体塗料などの需要が拡大している。
最も需要が大きい中国では、2015年の環境保護法の改正によりVOC(揮発性有機化合物)規制が強化され、2018年には環境保護税の導入が予定されるなど、工業用、自動車用、建築用の塗料において脱溶剤化がさらに進むとみられる。
また、世界市場において比率は低いものの、インドの伸びが著しい。建築用が需要の中心であるが、工業用や自動車用も大きく伸長している。
先進国の安定した需要に加え、新興国向けが拡大することで、2021年には2016年比18.3%増の16兆1,910億円が予測される。 - ■注目の塗料 世界市場
- ■金属製品用塗料【工業用】
土木・建築、電子機器、金属部品、産業機械などの金属製品に用いられる塗料を対象とする。
世界市場は、新興国の経済成長に伴って土木・建築用途で需要が増えている。また、水性塗料や粉体塗料など環境対応製品のラインアップ増加もあり、拡大が予想される。なお、国内においては、2020年のスポーツイベントなどによるインフラ整備に伴い、2019年頃まで微増が続く見通しである。
機能性塗料としては、粉体塗料、耐熱塗料、電着塗料、蛍光塗料、着雪氷防止・超撥水性塗料などがある。 - ■プラスチック用塗料(内装・外装)【自動車用】
自動車内装・外装向けのプラスチック用塗料を対象とする。
自動車はバンパーやインストルメントパネルなどさまざまな部分でプラスチック部品が使用されており、近年では低燃費化を目的とした軽量化の進展により金属部品からプラスチック部品への切替えが増加している。被塗物となるプラスチックはPP、オレフィン系熱可塑性エラストマー、PC、ABSなどが多いが、それぞれ塗料への要求が異なるため、樹脂素材や要求特性に応じた材料設計がなされている。
世界市場は、新興国を中心とした自動車生産台数の増加に伴い、市場拡大が予想される。なお、国内においては、内装は樹脂練りこみによる無塗装化がすすんでおり、外装では高級車による限定的な採用にとどまっている。しかしメタリック塗装などのデザイン性を重視した高価格塗料の需要が大きい傾向にある。
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。
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